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カテゴリー: 社会

パラサイト難婚社会

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 山田 昌弘 、 出版 朝日新書
 戦前の日本社会は「離婚大国」だった。明治時代も、その前の江戸時代も離婚は多かったのです。東北地方では2組に1組は離婚した。結婚が50万5千組で離婚は18万組ですから、およそ3対1の割合です(2022年)。
 離婚の8割は協議離婚で、裁判離婚は1%。私も常時、離婚裁判をかかえています(現在2件)。結婚して10年以内の離婚が半数に近い。私も、弁護士として、子どものいないカップルには気安く離婚するよう勧めています。
離婚の多くに経済問題がある。
 非嫡出子の割合は明治時代の半ばまで10%だった。今では2%。ところが、フランスではなんと60%にもなる。うひゃあ、これはすごいことですね。
 離婚は二極化している。富裕層と貧困層に離婚が多い。経済条件があまり変わらないからでしょう、きっと…。
 離婚は、今では「人生を左右する非常事態」ではなくなり、「人生の一大イベント」にすぎない。離婚は人生のステップアップなのです。ためらう必要はあまりありません。
 男性の3割弱、女性の2割弱が結婚せずに人生を終えている。
 生涯未婚率は、50歳の時点で「未婚」の人たちの割合をいう。
日本人の結婚観、そして離婚についての考え方は大きく変わりつつあるという実情がよく分かる新書です。
(2024年2月刊。990円)

「漢語四方山話」

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 一海 知義 、 筧 久美子・文生 、 出版 岩波書店
 呉(ご)音と漢音の由来(ゆらい)と相違点。
 呉音は昔の中国の南方音で、漢音は北方音が日本に伝わったもの。
 仏教は奈良朝より前、つまり漢音が日本に渡来するより前に日本に伝わったものなので、お経は呉音で読まれてきた。したがって、仏教関係の言葉はだいたい呉音で読む。
 792(延歴11)年以降、朝廷はこれから漢文は漢音で読むようにという布令を繰り返し発した。ところが、なかなか徹底しなかった。
 たとえば、元号についてみると、大正は漢音ならタイセイで、ダイショウは呉音。昭和も漢音ならショウカであり、呉音でショウワとなる。つまり、現実には、呉・漢混同で読まれている。
生は、呉音ではショウと読み、セイというのは漢音。
 漢文の読み方は、いろいろあって難しい。捲土重来は「けんどちょうらい」と読むべきもの、ただ、「じゅうらい」と読んだら間違いかというと、そうでもない。この語句は唐の杜牧(とぼく)の詩に由来するもので、土を捲(ま)きあげ、重ね来たらんという意味。
 傍若無人を、「そばに若い人がいない」などと間違って理解されることがある。本当は、「傍(かたわ)らに人無きが若(ごと)し」と読むべきもの。つまり、世間体を気にせず、心のおもむくままに自由に行動することをいう。
 御用は、もともとは皇帝が使用するもの、という意味の言葉。明治維新のころ、官尊民卑の風潮のなかで、政府のお先棒をかつぐ新聞は、自ら「御用新聞」という看板を掲げ、それによって民衆の信用と尊敬を得ていた。ところが、自由民権運動の高まりのなかで、「御用」の価値が逆転した。それから、「御用学者」というと、軽蔑の意味が込められて用いられている。
 不夜城というのは、たとえば夜の銀座を指して使われたりする。もとは、古代中国の幻の町につけられた名前。遊仙志向の方士が架空の世界をあたかも実在するかのように語り伝えてつくり出した地名。それが、唐の玄宗皇帝のとき、夜も昼間のように灯火が明るく輝いているという意味で使われるようになった。
 「春風に坐するが如し」とは、まるで春風にでも吹かれているかのような心地よさを意味している。
 漢語について、認識を深めました。
(2005年2月刊。2400円+税)

社会を変える学校、学校を変える社会

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 工藤 勇一 、 植松 努 、 出版 時事通信社
 著者の工藤さんは、東京の麹(こうじ)町中学校の校長を6時間つとめ、定年後の今は横浜の中学・高校の校長です。
麹町中学校の校長として、学級担任制を廃止して学年担任制とし、中間・期末テストそして宿題を廃止して単元テスト・再テストをセットで導入し、校則を廃止し、また数学の一斉指導を全廃しました。いやあ、すごいことです。日本でも、校長がその気になれば、今だって、これくらいの画期的な革命は実現できるのですね…。ぜひ、全国の校長先生に勇気をもって追従・普及してほしいと思います。
 「先生が教えない授業」をすると、子どもたちが自分の意思で教師に質問するようになるそうです。子どもは、言われて嫌々やれば、教師への反発する気持ちが生まれるし、サービスに慣れ切ってしまった子どもは、他力本願で自己決定ができない。逆に自分の意思でやれば、とんでもない力を発揮する。なるほど、そうなんですね。自発性が大事なんです。
 親が先回りして、どんどんやってしまうと、子どもが自分で考えたり、リスクを取って挑戦することができなくなってしまう。子どもには、どんな小さなことでも、自己決定させることが大切。  
学年担任制にすると、子どもたちや保護者が相談したい教師を自由に選べる。すると、教師へのクレームが劇的に減る。教師のほうもメンタル的に解放されて、連携しやすくなる。たしかに教師が学校で伸び伸びしていると、子どもたちへの好影響は甚大だと私も思います。
 日本は明治維新から、ずっと毎年70万人ずつ人口が増加してきた。ところが、今では毎年80万人ずつ人口が減っている。山梨県クラスが毎年一つずつなくなっているということ。これは大変なことですよね。結婚しない、子どもをつくりたくないという主要な要因の一つに、若者に収入の不安定な非正規雇用が多いということがありますよね。
 もう1人の著者の植松さんは、北海道の赤平市で会社を経営している。この会社は小さいながらも、世界的に注目されているモノをつくっている。たとえば、低電力で強力なマグネットを発明したので解体した資材の中から、鉄だけを拾い上げる機械をつくっている。そして、その業界シェアは、なんと日本一。
 また、宇宙空間と同じ微小重力状態を地球上でつくり出せる実験装置を生み出した。これは世界に3台しかない。なので、アメリカの企業も実験したいと日本にやって来る。いやはや驚きますね…。
 植松さんは、大卒理系はすぐに「それは専門外です」とかいうので採らず、高卒文系の子を採用している。その豊かな発想を大切にしているというのです。
 植松さんは、大学に入るのに「学歴」という他者評価のためだけに行くのでは、時間とお金がもったいないと考えている。
 また、宇宙のことだけをやりたいと就職希望の学生がいたら、採用しないようにしている。宇宙専門の会社ではないから…。このように、植松さんの発想は「あたりまえ」ではありません。
植松さんの会社では「ベーシック」インカムの給料制度をとっている。具体的にはどうなっているのか、知りたいところです。
 植松さんが従業員を選ぶ基準は、雑談が弾(はず)む人、いい文章が書ける人である。
 国立大学の学費が再び値上げされようとしています。年に10万円も値上げするというのです。とんでもないことです。政府はオスプレイやトマホークを購入するのを大胆カットして、その分を教育・福祉にまわせば、値上げなんかする必要がないどころか、学費をタダにできるのです。すべては自民・公明の間違った軍事予算偏重政策のせいです。
 子どもにもっと「投資」すべきだし、豊かな発想を育てる環境を大人はつくりあげるべきだと、改めて痛感しました。
(2024年3月刊。1800円+税)
 庭のジャガイモを掘り上げました。今年は不出来じゃないかと心配していましたが、まあまあの収穫ではありました。
 でも、大きいのは赤い細い虫が食い込んでいて、中くらいのと小さいのばかりで、昨年ほどはとれませんでした。
 ポテトサラダは最高です。とはいうものの、私は「食べる人」なので、何でも美味しくいただいています。ブルーベリーがもう少しで食べられそうになっています。
 ノウゼンカズラの橙色の花が咲きはじめました。
 朝顔のタネをまいたら、少しずつ芽が出ています。夏の朝には、真紅の花がよく似合います。

流出する日本人

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 大石 奈々 、 出版 中公新書
 海外移住の光と影というサブタイトルがついています。
 最近は聞きませんが、少し前までは退職して年金生活者になったら、物価の安い東南アジアの国に移り住んで優雅な生活を送っている日本人高齢者がいるというのがニュースになっていました。でも、コトバも生活習慣もまるで違い、何より身近な友だちもいないなかで、何を楽しみに生きていくことになるというのか、私にはまったく想像できない話でした。
 通産省は「シルバー・コロンビア計画」なるものをすすめていたのですね。オーストラリア、カナダ、スペインなどに、退職した日本人の移住者村を建設して、老後の海外生活を支援する計画でした。でも、「老人輸出」とか「棄民計画」と批判されて頓挫してしまいました。当然です。そんなものがうまくいくわけがありません。思いつきで良いことは何ひとつないのです。  
日本人の海外移住は52万人。アメリカに41万5千人、中国に10万人強、オーストラリア10万人、カナダ7万人、タイ7万人。そしてアメリカには20万人以上の日本の永住者がいる。
海外移住するのは、女性のほうが多い。カナダでは8割近いし、オーストラリアでも7割が女性。
日本人の帰化率は5割に達しない。中国は7割、インドは8割近いのと対照的。
日本人の大卒率で海外に永住するのを希望するのは25%。
この40年間に、ワーキングホリデー制度を利用した日本人は50万人以上。
この30年間に、20万人の日本人女性が国際結婚によって海外へ流出した。
離婚をきっかけに単身で海外に出る日本人女性もいる。ただ、海外に移住したあと、クレ被害者となった女性も少なくなく、帰国したくても帰国できないというケースもある。
海外で暮らすことのメリットとあわせてデメリットも考えておく必要があることがよく分かる新書でした。
(2024年3月刊。840円+税)
 久しぶりに筑後川でしかとれないエツのフルコースをいただきました。刺身は、叩きみたいにしてミソだれで食べます。塩焼き、煮つけ、天ぷら、つみれ(団子)、どれも美味しく、すっかり満腹となりました。
 目下、6月中旬のフランス語検定試験(1級)を目ざして猛勉強中です。過去問が1995年からありますので、30年も受験していることになります。残念ながら、成績は低下する一方で、最高で5割近くまでいった(6割で合格)のですが、今や4割もとれず、3割ほどでしかありません。ボケ防止のつもりで、がんばっています。

あたりまえという奇跡

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 山下 欽也 、 出版 センジュ出版
 「岩手・岩泉ヨーグルト物語」というサブタイトルのついた本です。
 51歳の著者が2億8千万円の累積赤字をかかえる会社の社長に就任し、3年目で黒字を達成して、今や年間20億円を売り上げているというのです。主力はアルミパウチに入った「岩泉ヨーグルト」。社員20人の社員をかかえているというのもすごいことです。
 舞台となる岩泉町は、岩手県の中央~東部の小さな町。人口は8千人ですが、本州の町の中では、もっとも広い面積を誇っています。といっても、町の総面積の9割以上は山林。
社長としての決断は、ヨーグルトに特化すること。牛乳ではもうからない(ヨーグルトのほうが利益率が高い)。
 岩泉ヨーグルトが他のヨーグルトと違うのは、必ず生乳、それも岩泉町とその近辺のホルスタイン牛の生乳を使うこと。
 他のメーカーのヨーグルトは粉乳を水で溶き、そこに乳酸菌を入れているので、水っぽいヨーグルトになる。
 生乳でこそ生まれる濃厚なコクと風味豊かな味わいがある。そして、後発酵と低温・長時間発酵。後発酵とは、生乳に乳酸菌を入れて、パック詰めにしたあとに発酵させるもの。発酵温度は33~35度。かなりの低温状態で20時間、通常の3~4倍の時間をかけて、じっくりと発酵させる。大量にはつくれないが、これによって酸味のないまろやかな味とコク、決して水っぽくない、しっかりとした食感をもつヨーグルトになる。
 凝固剤や酸化防止剤、香料などの添加物は一切使わず、ひたすら自分の力でヨーグルトが固まるまで、じっくりと待つ。
アルミパウチを使うと、酸素を通しにくいし、遮光性があるので風味が劣化しにくい。湿気も通しにくいし、香りを逃しにくくて、匂い移りも防げる。バリア性が高く、断熱性もあるので、熱がじっくり伝わる。アルミパウチの熱の伝導性が低温長時間発酵に最適。
生乳を生み出す牛は町有牛。町が所有して、酪農家に貸し出す。仔牛が生まれたら、町に返す仕組み。
 美味しい生乳を出してくれる牛を育てるためには、美味しい草が必須。そのためには、良質な土壌をつくる必要がある。1年を通して安定した品質の草を生産し、栄養状態のもっとも良いタイミングで収穫する。それを乳酸発酵させて飼料にする。なので牛乳が甘い。
 かつて60軒あった酪農家が、今では20軒にまで減少した。
大企業と同じ土俵には乗らない。大手と同じことをやっても絶対に勝てない。戦おうとしたら価格や量の競争になり、コストダウンに重きを置いて品質をあとまわしにしてしまう。それでは負けてしまう。
あの大谷翔平選手が何かのインタビューのとき、岩手県の名物として「岩泉ヨーグルト」をあげたそうです。すばらしいことです。
 「辞めたくない会社」を心がけている社長は、直感を大事にしています。そのためには、自分の目できちんと見て、触れ、食べて、しっかり観察して、自分なりに情報収集して、そのうえで直感に頼ったらいいと断言しています。傾聴に値するコトバですね。
ぜひ、「岩泉ヨーグルト」を味わってみたいと思います。
(2023年12月刊。1600円+税)

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