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カテゴリー: 社会

NHK-危機に立つ公共放送

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者  松田 浩 、 出版  岩波新書
 私はテレビを見ませんので、NHKを利用しているのは、毎朝のラジオ・フランス語講座と日曜日の「ダーウィンが来た」(録画しておき、寝る前に見ます)だけです。
 昔々は、朝の連続テレビ小説の「おはなはん」(樫山文枝の主演)を楽しみにしていました。その後は、「Nスペ」などの真面目な番組を見ることもありません。映像よりも活字の世界で生きていたほうが、私の要求を満たしてくれると思っているからです。
 それにしても、いまの籾井(もみい)という会長はお粗末すぎます。恥を知らない日本人という典型ではないでしょうか。いくら安倍首相のお気に入りといっても、これほど愚劣な人物が日本を代表する天下のNHKの会長とは信じられません。自分に、資格がないことの自覚がないのは安倍首相と同じで、救いようがありません。
 三井物産出身ということですが、その会社も大したことがないと言うしかありませんよね。だって、こんな大会社の副社長が、こんなつまらない男でもつとまるというのですから・・・。いやはや、日本の大会社のレベルも地に墜ちたものです。
 NHKの元総合企画室局長が、「NHKは、創設以来、過去最大の危機に直面している」と言うのに、同感するばかりです。
 公共放送にとって大切なことは、政治家を監督すること。「籾井発言」の問題の本質は、公共放送にとって生命である「自主・自立」が根底から脅かされているということにある。
 NHKには、公権力に対峙して、国民の「知る権利」や言論・表現の自由を守るためにたたかったという実績はない。常に永田町(自民党)の動向にばかり気をつかい、政府による政治介入に対して妥協と譲歩を重ね、自主規制に終始してきた。したがって、「権力監視」の意識はNHKでは育ちようがない。なんだか、そこまで言われると、悲しくなってきます。
 戦争に反対し、抗議デモをしている人々について、全国的そして国際的な現実の一部として報道すべきなのだ。
 私も、本当にそうだと思います。いまのNHKは、本当に不甲斐ないとしかいいようがありません。
 公共放送の「自主・自立」を守るためにたたかわない、そしてたたかってこなかったNHKの不甲斐なさに問題がある。
 まったく同感です。あまりにも安倍政権の言いなりになりすぎです。
 NHKのなかにも、リベラルな人材や見識を持った幹部がいないわけではない。しかし、そんな良識派が多数派になり、主流派になることができない権力構造がある。組織として権力とたたかってでも自主・独立を守ろうという伝統はない。
 これって、本当に残念ですよね。そこが、イギリスのBBC放送とNHKの最大の違いではないでしょうか・・・。困りました。
(2014年11月刊。840円+税)

日本はなぜ基地と原発を止められないのか

カテゴリー:社会

                                (霧山昴)
著者  矢部 宏治 、 出版  集英社
 憲法論のところでは、疑問も感じましたが、本書の指摘は日ごろの私の実感によくあっていましたので、つい、うんうんと大きくうなずきながら、どんどん読みすすめていきました。
 まずは沖縄です。安倍首相が、沖縄県民が選んだ翁長知事を無視しているのは、とんでもないことです。
 アメリカ軍の飛行機は、日本の上空をどんな高さで飛んでもよい。日本政府は、そのことについて文句は言えない。
 もちろん、私たち国民は文句が言えるわけですが・・・。
 アメリカ軍の飛行機は、アメリカの棲んでいる住宅の上空では、絶対に低空飛行訓練はしない。なぜか? それは、危険だから。では、それ以外の土地で低空飛行しているのはなぜか? 日本人は、アメリカ人ではないから。つまり、日本人は保護する必要がないからなのです。
 アメリカ軍の飛行機は、沖縄という同じ島のなかで、アメリカ人の家は危ないから飛ばないけれど、日本人の家の上は平気で低空飛行する。ところが、アメリカ本土ではアメリカ軍がアメリカ人の住む家の上を低空飛行することは、厳重に規制されている。これは当然のことです。要するに、日本人の生命がアメリカ人とは比較にならないほど軽んじられているのです。
 アメリカべったりの右翼・保守陣営は、このような現実を見ようとはしません。アメリカにタテつくなどということは、恐ろしくて出来ないのです。そのくせ、愛国心を、ことさら強調するのですから、矛盾過ぎますよね・・・。
 鳩山由紀夫首相(当時)が、アメリカに独自姿勢を示そうとしたとき、外務防衛官僚は、真正面から堂々と鳩山首相に反旗をひるがえした。日本の高級官僚はアメリカべったりの思考にこり固まっているからです。
 沖縄のアメリカ軍基地には、最大で1300発もの核兵器が貯蔵されていた。そして、日本からソ連や中国を核攻撃できるようになっていた。三沢基地では、連日、すごい訓練が実施されていたようです。
日米合同委員会のなかで、日本側は、アメリカの言いなりになるのだが、その日本側の委員はみな各省庁で大出世していった。
 次に、福島原発事故について取りあげています。
 私は前にも書きましたが、東電の当時の会長や社長たちが刑事訴追されることなく、のうのうとしていることを許すことができません。彼らこそ、日本をダメにした元凶です。少なくとも有罪を宣告され、無期懲役刑が相当だと思います。なにしろ、15万人もの日本人の住む家を奪ったのです。その罪責は途方もなく大きいと思います。許せません。
 先日の鹿児島地裁における原発差止仮処分の却下決定は、3.11福島第一原発事故の教訓をまったく学んでいない裁判官による、とんでもなく勇気の欠如したものでした。残念です。東大工学部出身の裁判官だということですが、人間としての勇気がないと、目まで曇ってしまうのですね・・・。困ったものです。
(2014年11月刊。840円+税)

子どもに貧困を押しつける国・日本

カテゴリー:社会

                                 (霧山昴)
著者  山野 良一 、 出版  光文社新書
 とても豊かになった日本ですが、そのなかで子どもの貧困が深刻化しているのです。
 「強い国」づくりを目ざす安倍政権の弱者切り捨て政策によってつくられた現象です。なかなか目に見えてこない現象ですが、日本の国を底辺から大きくむしばんでいます。
 子どもの貧困は、見ようとしなければ見えないものになっている。日本の貧困ラインは、個人単位で年収122万円。親子2人世帯では月14万円、年173万円。親子4人世帯だと月20万円、年244万円。
 貧困率は16%。ここを切り捨ててしまうと、日本経済は全体として底上げができず、結局、消費向上、景気回復はできません。
 日本のひとり親世帯の貧困率は、先進国のなかで2番目に高い。
保育を受けられないこと、保育から排除されることは、貧困な子どもに非常に大きな影響を与える。
 乳幼児期に身につけた認知能力、社会性、情緒的な安定性などは、より効果的に、より継続的に、より困難な障壁なしに、その後の学習への取り組みの支えとなる。つまり、学習が学習を生む。
 大学への進学は、貧困の世代間連鎖から抜け出すためのもっとも適切な手段でもある。
 日本は、もっとも大学に行きにくい国だ。ヨーロッパは、大学の授業料がタダか、とても安い。高くても年間15万円。
 そして、私立大学は、ヨーロッパにはほとんどない。私立大学に学生の大半が通うのは、日本と韓国くらい。アメリカでも、3割ほどでしかない。
 子どもを日本はもっと大切にすべきです。道徳教育を子どもに無理矢理押しつける前に、大学まで全部の授業料をタダにして、学生への生活援助制度をもうけるべきです。利子のつく奨学金貸与なんて、論外です。
 軍需産業育成ではなく、人材育成にこそ国の予算をつかうべきだと思います。
 人間こそ、国の宝なのです。
(2014年10月刊。820円+税)

遺品整理士という仕事

カテゴリー:社会

                                (霧山昴)
著者  木村 榮治 、 出版  平凡社新書
 遺品整理士という仕事があることを初めて知りました。まだ国家資格ではありません。でも、今の日本には必要な仕事だと私も思います。だって、一人暮らしの年寄りがたくさんいて、孤独死で発見される人が次々にいるんですから・・・。
遺品整理とは、故人のもちものを受け継ぐものと、受け継がないものとに分け、リサイクルに出すか、ゴミとして処分する。遺品整理は、分別、清掃、査定、搬出、処分である。
 遺族の指示のもと、この一連の作業を、心をこめて請け負うのが遺品整理士の仕事である。遺品整理士の仕事は大まかに言うと、分別と運搬に分けられる。そして、作業する前に、召集・消毒・脱臭の専門業者に来てもらうことがある。
 遺品整理の関連業者は、今や日本全国に5000~6000業者もいる。
 そして、高額請求によるトラブルが目立つ。
 「ゼロ円回収」と無料をうたう業者は、「ゼロ円」という値段をつけて引きとったのだから、受けとった品物はリサイクル価格のあるもので、廃棄物ではない。だから、廃棄物処理法は適用されない。つまり、許可がなくても回収できると主張する。
 日本は、ひとり暮らしのおばあさんの多い国。女性における単独世帯の割合のピークは、80~84歳。独居していた女性の部屋の9割から、現金が出てくる。男性の場合には、お金よりもいかがわしいものが出てくる。
仏壇は、海外へ日本の高給民芸品として輸出されることがある。
 セルフネグレクト。怠慢、無関心が自分自身に向けられること。ゴミ屋敷で生活している人です。風呂に入らない。規則正しい生活をしない。きちんとした食事をとらない。ゴミを捨てず、家の中を悪臭の漂うままにする。自分を社会的な存在として保とうとしないので、周囲とも交流しない、引き込もってしまう人が大半。孤立死の8割は、生前、セルフネグレクトだった。
 著者は、遺品整理士鑑定協会をたちあげ、通信制で認定している。受講期間は2ヶ月間。合格率70%。現代日本に必要な職業だと思いました。
(2015年3月刊。760円+税)

税金を払わない巨大企業

カテゴリー:社会

                                (霧山昴)
著者  富岡 幸雄 、 出版  文春新書
 大企業がもうかっているというのは間違いありません。その従業員の賃金も上がっているようです。問題は、それが社会全般にきちんと還元されているか、ということです。
 誰だって、大企業は、もうかっているだけ税金もちゃんと国に治めていると思いますよね。ところが、この本によると、それが全然ちがうというのです。驚きました。呆れてしまいます。
日本を代表する世界的な大企業は日本国へ税金を納めていない。
 ソフトバンク。あの孫さんの超大企業は、800億円近い純利益を上げているのに、納税額はわずかに500万円。うひゃあ・・・。ケタがいくつも違いますよね。
 では、柳井さんのユニクロは?
 純利益が750億円で納税額は50億円。少しはましです。でも、本当に、そんなことでいいのでしょうか・・・。読めば読むほど、腹の立つ本です。血圧が高い人は読まないほうがいいかもしれません。この本を読んで。プチッと脳血管がキレてしまっても、決して私の責任ではありません・・・。
 三井住友フィナンシャルグループは、1500億円近い利益を上げているのに、税金は、わずか300万円しか納めていない。300万円といったら、小さな小さな零細企業レベルの納税額でしかありません。
 みずほフィナンシャルグループも2400億円の純益に対して2億円ほどの納税額。同じく三菱UFJフィナンシャルグループも900億円近い純益に対して51億円ほどの納税額でしかありません。
 あまりにも低すぎます。「政商」をかかえているということで有名なオリックスも、1700億円という純利益に対して、納税額は、わずか210億円。やめられませんよね。超大企業にとって、日本は天国そのものです。
 日本の法人税は高い、いや高すぎるから下げろと経団連や一部のエコノミストが声高く主張しています。
 実のところ、日本の法人税率は35%で、ドイツの30%、フランスの33%、アメリカの40%に比べて、そんなに高いわけではない。
 日本の法人税の現状はまるでタックス・ヘイブン(租税回避地)と言うしかない。
 日本の法人税は高い、高すぎると言っている超大企業のすべが、実は、驚くほど軽い税金しか納めていない。信じられませんね。超大企業というのは、世の中に貧しく、苦しんでいる人がいることなんて忘れ、切り捨ててしまっているのです。
 企業グループ内の各企業が、株式を保有しあえば、各企業の利益による配当金を、グループなの企業で、ほとんど支払わずに内部留保することも可能になる。
 日本の富裕層の税金は世界一安い。
 5000万ドル(49億円)以上の純資産をもつ超大金持ちが、日本に2885人もいる。すごーい、ですよね・・・。安倍内閣は、消費税を10%に必ずすると断言しています。これでは、私たち庶民の経済状況を直撃し、苦しめます。
 日本のヒドイ経済格差を強めている安倍政権は、本当に血も涙もない、あこぎな政治をすすめています。怒り、そして、それを支える事実と論理を身につけてくれる本でもあります。
(2015年2月刊。700円+税)
 ゴールデンウィークは、どこにも出かけず、庭の手入れにいそしみました。今は、キョーブ、ハナショーブが花盛りです。ところどころにジャーマンアイリスも咲いています。ライトブルーだけでなく、黄・茶色そして純白の花もあり、心が惹きつけられます。5月の庭は、色とりどりで心も楽しく軽やかになります。
 2月に植えたジャガイモの苗が大きくなってきました。6月が楽しみです。
 庭のアスパラガスをとって口にすると、香りもよく、春を実感します。ウグイスの声が元気に響きわたります。カササギの巣は完成しましたが、産卵にはまだ至らないようです。二羽で、ときどき巡回しています。

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