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カテゴリー: 社会

「わたしの日本語修行」

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                             (霧山昴)
著者  ドナルド・キーン 、 出版  白水社
 ニューヨークで生まれて、ニューヨークで育った著者が、今は日本に住み、日本語ペラペラなのです。
 あまりにも成績優秀なので、著者は大学には16歳で入りました。信じられませんね。高校生が、そのまま大学に入ったというようなものですね・・・。
 著者は、徹底した反戦主義者です。にもかかわらず、海軍の日本語学校に入学します。でも、平和主義者であることと海軍へ入ることに著者は矛盾を感じませんでした。日本語を勉強するために日本語学校に入ったというだけなのです。軍隊については、何も学びませんでした。
 わずか11ヶ月で、日本語の新聞を読み、手紙を書き日本語で会話できるようになりました。すごいですよね、日本語をマスターするのに1年もかからなかったというのです。とんでもない速さです。
 海軍の日本語学校では、日曜日を除いて毎日4時間の授業があった。2時間は読解、1時間は会話、そして残る1時間は書き取り。一番むずかしかったのは、書き取り。
 そして、ハワイに派遣されて、日本兵の日記の解読に従事した。
 日本人の日記に感銘を受けた。日本兵は、新年ごとに日記を支給され、日記を書くことが、むしろつとめとされていた。外国人が日本兵の日記を読むことへの警戒心はなかった。
 兵士は、自分の本当の気持ちを書いたので、夢中になって読んだ。兵士のなかには、自分の死を覚悟し、これがアメリカ兵によって発見されることを見こして、最後の頁には英語で伝言が記されていた。
日本語を勉強するときには、はじめから漢字と一緒に覚えたほうがいい。はじめはローマ字のテキストを使うというのには反対だ。
 すごいアメリカ人がいたものですね。これでは、日本はアメリカに勝てるわけがありませんよね・・・。
(2014年11月刊。1800円+税)
 日曜日の午後、庭のジャガイモを掘りあげました。2月に植え、早過ぎてダメかと心配しました。地上部分の葉と茎が枯れたので、梅雨に入る前に掘りあげることにしたのです。立派なジャガイモがたくさんできていました。感動します。メークインとキタアカリです。さっそくオーブンで焼いて、バターをのせていただきました。昔、札幌の街頭で食べたジャガバタを思い出し、あつあつを美味しく食べました。至福のひとときです。
 暗くなってホタルを見に行ったのですが、途中の道路工事現場で足をすべらせ、地面に顔面を激突させてしまい、せっかくの美顔が台無しです。
 とっさに手を出して顔をかばえなかったのは、やはり反応が鈍くなったせいでしょう・・・。クスン。

「働くこと」を問い直す

カテゴリー:社会

                                  (霧山昴)
著者  山崎 憲 、 出版  岩波新書
 フォード・システムは、アメリカにおいて自動車の大量生産として確立した。
 一人の労働者が一つの工程でになう作業にかかる時間をタクトタイムと呼ぶ。現代で、もっとも生産性が高いとされる自動車工場のタクトタイムは50秒ほど。その作業を、人間が一日中、数百回くり返す。私には、とても耐えられません。
 アメリカで一般的なフォード生産方式では、職務が一人ひとりに固定され、重なりあうことはない。そこに労働組合も便乗していた。経営側にとって効率がよいだけでなく、労働組合にとっては、労働条件を引きあげる基準としても、都合が良かった。
 不良品は最終工程で取り除き、ベルトコンベアーの速度を上げて生産性を高めるという方法をとっていた。すべての工程に品質をチェックする機能をつけ加えようとするならば、一人ひとりの働き方を根本的に変えなければならない。それには、大きな痛みをともなう。
 日本的労使関係システムは、生産性運動、高度経済成長、春闘の三つを必要条件としたが故に、そのどれかが欠けたときには崩れてしまう弱さを内包していた。
 日本のホンダがアメリカに工場を作ったとき、すべての従業員を平等に扱う、役員と従業員の賃金格差を大きくしない、作業の業績が悪くなっても簡単に解雇はしない、労働組合はつくらせない、などなどだった。
 そのため、職務の範囲を広くして、従業員同士や部門同士の仕事を重なりあうようにする。チームワークを高めるため、教育訓練をする。そして、定期的に配置転換する。
 日本の自動車メーカーの成功の要因は、価格が安いというだけではなかった。燃費の良さ、価格の安さ、品質の良さが、日本の自動車メーカーの本当の競争力の源泉だった。価格の安さや品質の良さは、偶然の産物ではない。
 品質を高めることに全社を挙げて努力し、不良品の出る割合を下げることで、日本企業はコスト削減につなげてきた。
日本企業の強さは、働く一人ひとりが惜しみなく自分の能力を企業経営のために提供することにある。そのことを前提として、一人ひとりの仕事を他人とつなぎ合わせる。個の能力を高めるとともに、組織としても効率的に、かつ有機的に機能させるためだ。
 弁護士も多くは高給取りにはいりますが、その大半は夜遅くまで働いています。首都圏の弁護士について言うと、帰りは決まって終電車という人も少なくないのです。
 それはともかく、何のために、そんなにアクセク毎日、働いているのかを考え直させる本でもありました。
(2014年11月刊。780円+税)
 東京・銀座の映画館でイギリス映画「パレードへようこそ」をみました。
たまに、いい映画をみると、本当に生きていて良かったなと思います。人間同士の心の触れあいによる温かさを感じると、よーし、明日もがんばろうと思えるからです。
 舞台はサッチャー政権下のイギリスです(1984年)。炭鉱労働者がサッチャー政権の炭鉱閉鎖に反対してストライキを続けるのですが、4ヶ月目に入って展望を見出せません。そのとき、ロンドンのゲイの若者たちが、炭鉱労働者と連帯しようと考え、そして行動に立ち上がったのです。募金を届けようとすると、炭鉱の街の方でゲイへの抵抗が強く、なかなか受けとってもらえません。ついに、ひょんなことから連帯行動が始まります。
 実話にもとづく展開なので、痛快な場面があり、また挫折もさせられます。
 でも、最後には、大同団結を勝ちとることができるのです。
 権力に屈せずたたかう炭鉱労働者と、同じように権力に抗して自分たちの生きる権利を主張して行動するゲイとレズの人々が、一致点で街頭パレードをするラストシーンは、思わず涙があふれ出してくるほど、感動的でした。

政党助成金に群がる政治家たち

カテゴリー:社会

                             (霧山昴)
著者  小松 公生 、 出版  新日本出版社
 政党って、同じ目的をもった有志の集まりのはずなのですから、自前でお金を集めて維持するのが当然でしょう。それを支持してもいない国民の税金で維持するなんて、そもそも考えが間違っています。堕落のはじまりです。
 しかも、企業献金を禁止するので税金で補助するという話だったのが、今や企業献金は堂々と復活しています。だったら、政党助成金は即刻廃止すべきです。
 そのうえ、この政党助成金の使い方はまるでデタラメです。こんなことを許している政権党が、子どもに対して学校での道徳教育に熱心だというのですから、アベコベとしか言いようがありません。だから「アベ」コベと言うのですね・・・。
国会議員が一人しかいない「政党」に2年も3年も、1億円以上もの税金が投入されている。理不尽としか言いようがない。
 助成金をもらって消えたサギ政党、「年末新党」というのは、政党助成金を受けとるためだけに結成され、最大の「使命」であり、「任務」であり、「目的」である助成金の受け取りさえ終われば、雲のごとく霧のごとく消えてしまった「党」のこと。
 政党助成金をもらうために、とにかく5人以上の国会議員が寄り集まる。5人の政党を立ち上げるだけで、議員一人あたり数千万円の政党助成金を労せずして手にすることができる。国会議員の年間の給与(議員歳費)は2000万円。その2~3倍ものお金がもらえるのだ。
 1994年以来、42もの政党が誕生し、そのうち33党が解党あるいは消滅した。これらの政党の平均寿命は、なんと2年。
 政党助成金が党収入の半分以上を占めるのは、民主主義や政党活動の原点に照らして正しくない。自民党も、当初は、そのように明言していた。
 政党助成金の最大の支出項目は、宣伝事業費。これはメディアのピンチを救っている。メディアの収入全体に占める広告費の割合は、新聞で半減、テレビは32%が30%へと減っている。それを埋めているのが政党助成金による宣伝広告費。メディアにとって、政党助成金を原資とする広告費が干天の慈雨になっている。
 政党助成金の使い方はデタラメだ。議員たちの飲み食いに使われ、また選挙の供託金としても使われている。
 麻生太郎は、六本木の会員制サロンバーで、1回100万円、1年間で800万円も政治活動費として使っていた。うひゃあ、これって許せませんよね・・・。
 これまでに消滅した政党に配分された助成金のトータルは745億円。自民党の収入の3分の2が、この政党助成金。
典型的な税金のムダづかいが、この政党助成金です。1995年から、2014年までの累計6311億円もの税金が、意味もなく、不合理に費消されてしまいました。すぐに廃止しましょう。私は怒っています。こんな不合理は許せません。今日の生活に困っている国民がいるというのに、こんなムダづかいが横行しているなんて、日本の政治は狂っているとしか言いようがありません。
(2015年4月刊。1400円+税)

「女、東大卒、異国で失業。50代半ばから生き直し」

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                                (霧山昴)
著者  栗崎 由子 、 出版  パド・ウィメンズ・オフィス
 50代の海外で一人暮らしの女性が、突然リストラにあって失業したとき、どうやって明日から生きていくのか・・・。現在進行形のブログが本になっていますので、臨場感たっぷりです。
 東大教養学部を卒業してNTTに就職し、カナダに渡って、フランス、スイスと移り住んで働いていたのです。すると、突然、リストラに遭って失業してしまいました。そこから、苦難の就活が始まるのです。
 ジュネーブの日本寿司店でレジ係のアルバイトをしていたこともあるようです、なるほど、中年の日本人女性がスシ店でレジ係にいたら、客は安心しますよね・・・。
 といっても、私はせっかく海外へ旅行するときには、日本食は食べないように心がけています。現地の食事を楽しみたいからです。日本のカップラーメン持参なんて、とんでもありません。
 人間、無視されるほどの心のエネルギーを奪われることはない。就活のための履歴書を200通ほども送ったのに、まったく反応がなかったときの著者の総括です。
 ある日、友人から、仕事とは、他の人があなたにしてほしいことだ、そう言われた。なるほど、そうだったのか・・・。それまで、仕事とは、自分の得意なことを他の人にオファーする、指図することだと思っていた。ここで価値観が逆転した。
 別の友人は、こう言った。せっかく失業したんだから、その体験記をブログに書くのよ。それで、「失業してスイスに暮らす」というブログのタイトルが決まった。
 家庭教師の給料の値段決めの交渉は、初回が最後と思え。仕切り直しは不可能。
スイスのジュネーブの寿司店で、
 「マクドナルドは、どこに店を出せばもうかるのか、お金をかけてちゃんと調査している。だから、その近くに店を出せばいい」
 なーるほど、私も初めて認識しました。そう言われたら、そうでしょうね・・・。
 応募書類を送ったあと、1週間たっても面接の連絡がないときには、きっぱりあきらめ、次を探すこと。
学んだら、すぐに行動に移せ、初めてのことは、必ず失敗する。失敗をくり返せ。できるまでチャレンジせよ。できるまで覚悟があるかどうかだ。
仕事が見つかったとき、楽しいというより、安心できることがありがたい。それが本心だった。
 どんな仕事にも、それを必要としている人がいる。どんなに単純で、誰にでもできそうに思える仕事でも、簡単なものは何ひとつない。すべて、経験と熟練が必要なのだ。
日本で仕事をしていたときは、上司や同僚から、あなたはモノをはっきり言いすぎると言われた。ところが、ヨーロッパに来て20数年たっても、もっとはっきりモノをいいなさい、ヨーロッパの友人には、このように言われ続けている。
 人は言わなければ、分かりあえない。そして、人はいつも相手の耳に心地よいことばかり言って生きていくことは出来ない。
 そういうとき、自分を、自分の考えをどうやって相手に伝えるか、相手の心の壁を低くできるか、そこが生きる力の腕試しというものではないか・・・。伝わると、うれしい。
 舌に油を塗る。舌に油を塗って、日本語で、安心して、洗いざらい、心の中をコトバにして外に出してしまう。これが、最高の心のクスリであり、最高の娯楽であり、最高のバカンスだ。それは日本語でないといけない。他の言葉では、自分の心をここまでトコトン語りきれない。これを半年に1回しないと、どうにもいけない。こうやって、頭と心を整理し、心の垢落としをする。
 ここのところは、なんとなく、私にも分かります。やっぱり母国語というのがあるのですよね。
今では、しっかり働き、そして50代女性の求職支援ワークショップまでしているそうです。たいした女性です。ひとまわり年下の元気な女性です。一度、お会いしたいものです。
(2014年7月刊。2500円+税)

世界でいちばん石器時代に近い国

カテゴリー:社会

                               (霧山昴)
著者  山口 由美 、 出版  幻冬舎新書
 パプアニューギニアの素顔を紹介した面白い本です。
 パプアニューギニアは、世界で2番目に大きな島である、ニューギニア島の東半分などからなる国。日本からは6時間半かかるが、これはハワイと同じ飛行時間で行けるということ。
 パプアニューギニアという国の面白さは、ついにこの前まで石器時代だったことにある。
 内陸部のジャングル地帯には、マラリアなどの病気のため、ヨーロッパ人は入り込むことができず、昔のままの姿が残っていた。
 パプアニューギニアには鉄道がない、道路がない。だから自動車を目にすることもない。だけど、奥地には滑走路があり、飛行機の離発着はできる。宣教師たるもの、飛行機の操縦は不可欠なのだ。そして。飛行機の整備も、燃料の補給も、セルフサービスである。
パプアニューギニアでは、親しくなった人から騙されるということはない。
 パプアニューギニアでは、800以上の言語が話されている。世界に6000ある言語のうち、なんと1000もの言語がニューギニアに集中している。もっとも小さいものは数十人、多いものでも30万人ほどの言語だ。だから、公用語は英語であり、ピジン語が共通語として広く話されている。
 パプアニューギニアでは戸籍や住民票が存在しない。だから、自分の誕生日や年齢を知らないという人は多い。
 パプアニューギニアの人々は、ブアイを好む。ビートルナッツ、檳榔子(びんろうじ)、少量の石灰とマスタードと一緒に、口の中でくちゃくちゃと嚙む。このとき吐くつばは真っ赤になる。決しておいしいものではない。じわじわと口の中でしびれてくる。軽い酩酊感のような、ふわふわするような感覚。慣れてくると、これが癖になる。
 5年に一度、国民全員が熱狂し、大騒ぎになるイベント。それが選挙だ。投票率は100%をこえる。一人で何度も投票する人が後を絶たないことによる。
 パプアニューギニアでは贈収賄が犯罪にならない。そして候補者の公約違反は、裁判で訴えられることがある。
 『ゲゲゲの鬼太郎』で知られるマンガ家の水木しげるは、ニューギニアのラバウルに行き、そこで、現地のトーライ族と親しくなった。
 日常の買い物で「貝」を使うことはないが、公立学校の授業料や魚市場での支払はシェルマネーでもOK。冠婚葬祭では、むしろ現金は失礼で、シェルマネーを用意するのが礼儀である。
 パプアニューギニアの食生活の基本は味がないこと。主食は、イモかサゴヤシ。味はなく、スープに灰で味をつけて食べる。
 パプアニューギニアは、結婚の結納金として豚が重要なものとされているが、豚と並んでトヨタのランドクルーザーが交渉事の金額の基準にされている。未舗装の道を走るのは、トヨタのランクルだけ、ということ。パプアニューギニアでは、日本製品に対す信頼がいまだに絶大なのである。
 こんな不思議な国が世の中には存在するのですね・・・。
(2014年11月刊。780円+税)

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