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カテゴリー: 社会

世界一のおそうじマイスター

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者  若月 としこ   出版  岩崎書店
 私も羽田空港の利用者の一人ですが、「世界一美しい空港」に選ばれているとのことです。たしかに、羽田空港にはチリひとつ落ちていませんし、トイレも清潔感にあふれ、安心、快適です。そこで、清掃のプロとして働いている新津春子さんの半生と清掃の極意が紹介されています。
 清掃の仕事は誰でも出来そうだし、「下等な仕事」と見下されそうですが、プロ意識をもって日夜を問わず働いている大勢の人がいることを知ると、決して生半可な仕事ではないことが理解できます。
主人公の新津春子さんは17歳のときに日本へやってきた(帰国した)在留孤児の一人です。中国でいじめにあったり、日本でも大変な苦労をされたようですが、素敵な笑顔で毎日がんばっています。頭の下がる思いです。
 新津春子さんは、ビルクリーニング技能競技会で、日本一になりました。見事な技です。
 羽田空港の利用者は毎日20万人。従業員は3万人。そして清掃チームが500人。
 職業訓練校には建築物衛生管理系ビル衛生管理科という部門があるそうです。新津春子さんは、そこに入って学びました。
新津春子さんは、1個5キロのダンベルを左右にひとつずつ持って、顔の前で、上下に動かす運動を毎朝20分間も続けているそうです。これで両腕だけでなく胸筋、腹筋、背筋をきたえているのです。そして毎日1万7千歩は歩いています。
 新津春子さんがつかっている洗剤は80種類以上もある。用途別に使い分ける。
 さすが清掃のプロです。
 小学校高学年から一般向けの本です。大人が読んでも、もちろんいいのですが、子どもたちが読むと、清掃することの意味を再認識させられ、とても意義深くなると思いました。
(2016年4月刊。1400円+税)

キリンビール高知支店の奇跡

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者  田村 潤 、 出版  講談社α新書
 売れているビジネス書なので、どこか参考になるところがあるだろうと思って羽田空港の書店で買い求め、読んでみました。
私はビールを飲むのを5年前に止めましたし、飲んでいたときもキリンとアサヒ、サッポロの味の違いは分かりませんでした。エビスだけは味がなんだか違うなとは思いましたが・・・。
だから、キリンのラガービールがキレのいい味だったと言われても、そうなのかなと、思うだけです。そして、アサヒのスーパードライの味も違いが分かりません。ちなみに私はビールを飲むのを止めてからはノンアルコールのビールも一切飲みません。
海外で日本企業がたたかうにしても、日本の地方のあるエリアで勝ち方をきわめていることが非常に大事なこと。そのエリアをよく見て、エリアの特性や住んでいる人、国土とかチャンネル全部をひっくるめて、もっとも適切な正しい手を打って実績をあげることが出来た人間こそ、海外にいっても通用する。
 ふむふむ、なるほど、恐らくそういうことなのでしょうね・・・。
価格営業とは、安売りのこと。価格を下げたり、リベートを厚くしたりすると、一時的にはそれで売上伸びるかもしれないか、長続きはせず、自分の首を締めるだけ・・・。
 それまでのキリンのラガービールは、喉にガツンとくるコクと苦味が特徴だった。それをスーパードライと同じように若者や女性層に受けようと、飲みやすいタイプに変えた。これが大失敗だった。
上に立つリーダーは、自分が考えて確証の持てることしか部下に言ってはいけない。
また、総花的な営業もダメ。多くの施策を適当にこなしているだけで、競争に勝てるはずもない。大切なことは、約束した目標を達成すること。
結果が出なくても、ガマンして4ヵ月も営業の外まわりを続けていると、みな身体が慣れてきた。すると、いい反応がすこしずつ返ってくるようになった。
ほとんどの客は、ビールの味にはそれほど差がないと思っている。ビールは情報で飲まれている。
高知の人は、なんでも「いちばん」が大好き。離婚率が全国第1位から2位に下がっても悔しがるというのが高知の県民性。
 ええっ、本当でしょうか・・・。
 営業マンの行動スタイルを変えることができるかどうかは、簡単にいうと、視点や心の置き方を変えてみられるかどうか。人によっては身を捨てられるかどうかということなのだ。
1997年に37%に落ち込んでいたシェアは1998年に反転し、2001年に44%となり、高知県では、トップの座を奪回した。ところが、同じ2001年に、キリンビール全体では、40数年ぶりに2位に転落した。
高知支店のがんばりを紹介する本なのですが、あっと驚くような奇抜な策がとられたわけでは決してありません。
著者は高知から名古屋へ転勤し、名古屋でしたのは、会議廃止。
 会議を廃止したため、内勤の人数を減らし、現場の営業を増やすことが出来た。
 日本企業の勝ちパターンは、ひとりひとり、個人では勝てなくても、チームでならば勝てるということ。部分最適の考えを捨てて、全体最適を達成する。そこに成長がある。
 さすがです。売れる本には、なるほど学ぶべきところがたくさんあると感心しました。
(2016年4月刊。780円+税)

戦車の戦う技術

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 木元 寛明 、 出版 サイエンス・アイ新書 
著者は防衛大学校を出て、自衛隊に入り、戦車一筋の人生を過ごしています。
戦車小隊長、戦車中隊長、そして戦車大隊長、戦車連隊長をつとめました。
乗った戦車は、アメリカ軍供与のM4A3E8戦車、国産の61式、74式、90式戦車です。最新の10式戦車は引退したあとなので、乗らなかったようです。
国産の61式戦車は100%マニュアル。74式戦車はオートマチック操縦。90式戦車は完全オートマチック操縦。コンピュータ制御による射撃統制システム。10式戦車となると、ほとんどロボットに近い戦車。
戦車の世界は人車一体。火力、機動力、防護力と乗員がコラボしなければ、戦車は単なる鋼鉄のかたまりに過ぎない。
戦車のもっとも強力な敵は戦車。現代の戦車は120ミリ級の長大な戦車砲を搭載し、最新式の徹甲弾を発射する。徹甲弾は、マッハ5(秒速1600メートル)という猛スピードで飛翔する。
90式戦車の暗視能力は3000メートルで敵戦車を発見し、射撃できる。これに対してロシア軍の主力戦車T-72とT-80の夜間暗視能力は1000メートルしかない。
90式戦車のサーマル・センサは、目標(戦車)が発する熱と周囲の温度差により映像を形成するパッシブ型暗視装置。
劣化ウラン弾は、安価で貫徹力が大きいので、徹甲弾の弾芯として使われている。装甲板に命中すると、高熱で貫通し、酸化ウランの金属微粒子(放射性物質)を周辺に飛散させる。
90式戦車は砲塔上部まで水没させることができる。
ロシア軍の戦車は、水深5~6メートルでも潜水渡渉できる。これは、ヨーロッパの大河を想定しているため。
戦車というものの初歩を学びました。
(2016年6月刊。1100円+税)

靴下バカ一代

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 越智 直正 、 出版 日経BP社 
今どき、こんな経営者もいるのですね。見上げたものです。とても勉強になりました。やはり、ビジネスの極意は、自分だけがもうかればいいというのではありませんよね。
我以上に、相手よし。そして、我が社を支える社員を大切にするということです。そうやってこそ、企業は社会に貢献できるのです。下請企業の単価をいかに切り下げるか、それしか考えない大企業がいかに多いことでしょうか・・・。
「奇天烈(きてれつ)経営者」の人生訓というサブ・タイトルがついています。なるほど、常識の枠からは相当はみ出しているようです。でも、本人がやりたいことを精一杯やっていて、それで客も社員も、取引先もみんな喜んでいるのだったら、何も言うことありませんね・・・。
靴下専門店の店「靴下屋」をあちこちで見かけます。全国チェーン店なんですね。著者はその会社(タビオ)の創業者(会長)です。
この会社は、すべて国産の靴下をつくっていて、今や海外にまで店を構えて売っているそうです。原料となる綿までつくり出したというのですから偉いものです。
靴下の弾力を確かめるためには、嚙むのが一番。いい靴下は、嚙んだあとに歯形が残らず、自然と原状に戻る。品質の落ちる靴下は噛み跡が残ってしまう。ただ、噛み方にはコツがあって、数分間、一定の力で噛み続ける必要がある。そのため、水を張った洗面器に顔をつけて息を止める練習までした。
靴下なんて、どれも同じ。どれを履いても、そんなに変わらない。そう思うかもしれないが、少しの違いでも、こだわり続けたら、商品に差が出てくる。その差を生むのが、靴下屋の心なのだ。
うむむ、これはスゴイ言葉ですね・・・。
著者が丁稚奉公をしていたときの経営者の言葉。
「万事、まず頭を使え。次に体を使え。銭は切り札だ。銭を使ってやるんなら、バカでも出来るんじゃ」
「一生一事一貫」。一生を通じて、一つのことを貫き通すということ。著者は靴下で、これを実践してきた。私の場合は、それは弁護士ですね。40年以上も弁護士をやっていますが、これほど自分にあった仕事はありません。
経営に奇策なし。経営者に必要なのは、原理原則を身に付けること。本を読んで、もし難解で分からないところがあれば、今の段階で、その部分は不要だということ。
「おまえに起こってくる問題は、人の生き死に以外は全部、おまえが解決できるから起こった人や。だから、おまえが本気になったら、解決できる。おまえが逃げ腰になっとるから、解決できないんや」。なーるほど、そういうものなんでしょうね・・・。
借金したときには、必ず約束した返済期限を守る。よそから借りてでも必ず返す。
この二つが借金の大原則。他人から借金するときには、初めは、その人がもっていると思う額の半分を借りるのが借金の極意。
得意先になってくれた店は、とことん面倒をみる。価格競争はしない。デザインで競うこともしない。「3足1000円の靴下」なんかで勝負はしない。あくまで、より良い品質の靴下を適正な価格で提供する。仕入れを値切ることはしたことがないし、支払日も守り通した。
品質にこだわった商品をつくっていくには、工場との信頼関係を築くのが一番大切。
いい本でした。今度、この店で靴下を買って、はいてみたいと思いました。
(2016年5月刊。1800円+税)

潜水艦の戦う技術

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者  山内 敏秀 、 出版  サイエンス・アイ新書
 日本が国産の潜水艦をつくっているのは私も知っていましたが、アベ政権になってから、日本がつくった潜水艦を海外へ輸出しようとしたのには驚いてしまいました。
アベ政権は、世界の戦場へ日本人の若者を送り出し、そこで殺し、殺されを企図していますが、同時に戦争で金もうけをしようと企んでいるのです。アベ首相こそ、まさしく「死の商人」と言うべき存在です。昔の帝国陸軍のときと同じように、軍需産業から大金(政治献金)をせしめるつもりなのですよね。許せません・・・。
潜水艦の内殻づくりのときには、部材のなかに応力が残らないように、ゆっくり時間をかけて慎重に曲げていく。
潜水中の潜水艦は、受ける浮力と重量が釣りあっていないと安定して海中を行動することができない。潜水艦のなかでは、日々、燃料や食料を消費する。魚雷の発射もありうる。だから、潜水艦の重量は日々刻々と変化する。
そして、海水の状態も一定ではない。冷水塊に入ったり、暖流に入ったり、また深度を変えると、浮力にも影響が出る。こまめに調整するために調整タンクがある。
潜水艦に風呂はない。シャワーがあるのみ。汚水はタンクにいったん溜めて、一杯になると艦外に排出する。このサニタリー・タンクは、トイレ、シャワー室そして調理室の近くに装備されている。
全長84メートルほどの潜水艦に70人が乗り組んでいる。艦内には、70人の男臭さだけでなく、ディーゼル・エンジンの油のにおいもあり、調理のにおいもある。
潜水艦が海中を走行しているときには、進路と速力から現在の位置を知る。進路は、ジャイロ・コンパスから、速力はログ鑑底管という速力をはかる装置から得る。
潜水艦は、ホバリングできるが、これは潜航指揮官の腕の見せどころ。
潜水艦は、海水の比重の変化を、音の速さの変化で見ている。電波は水中ですぐに減衰してしまうので、レーダーでは水中の潜水艦を探知できない。水中では音が核心的な地位を占めている。ソナーは、音を媒体とするセンサーである。潜水艦では、低周波帯域の音が活用されている。
個別の潜水艦が出す音が「音紋」として記録されている。潜水艦内では、無用の音を出さないように工夫されている。たとえば、靴は音の出にくいスニーカー。ドアは突然の開閉で「バタン」と音がないように固定しておく。冷蔵庫なども停止させる。「動いているものは必ず音を出す」ので、冷蔵庫や冷凍庫も停止させる。
潜水艦は、自ら音を出すのを嫌うのと同じく、電波を出すのも嫌う。通信は、放送によって一方的に流され、潜水艦は受信するだけというのが原則。
電波は、ある程度の深さまで届く超長波(VLF)を使っている。日本では、宮崎県えびの市にVLF送信所があり、潜水艦向けに送信している。
魚雷は長さ6メートル、直径は533ミリ。水圧発射の魚雷と、自走発射の魚雷の二つがある。また、直進魚雷と誘導魚雷がある。また、現在は、対艦ミサイルも積んでいる。
70人の乗組員が階級差別のある狭くて閉ざされた社会をつくって何ヶ月も過ごすのですから、パワハラの温床にもなるのですね。いくつかの裁判記録を読みましたが、おぞましいばかりのパワハラがあっていました(自死案件)。
潜水艦についての基礎知識を身につけることができました。
(2016年3月刊。1100円+税)

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