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カテゴリー: 生物

ツノゼミ

カテゴリー:生物

著者  丸山  宗利    、 出版  幻冬社   
 ありえない虫。こんなサブタイトルがついています。まさに、ありえない、奇妙奇天列な姿と形、色模様です。こんな虫が私たちの身近にたくさんいるなんて信じられません。でも、実際にたくさんいるというのです。だけど気がつきませんよね。なぜ・・・・?
 その秘密は、体調がわずか数ミリとごく小さいからです。でも、なんという形をしているのでしょう。カブトムシの頭に似ていて、そこから垂直に角が立ち上がったのは分かるとして、そこで4つのこぶがくっつくと、こりゃあ、一体何のため・・・・?不思議です。カサホネツノゼミとなると、丸いこぶの代わりに、日傘の骨みたいなツノが伸びています。
 ウツセミツノゼミは、透明なセミのぬけ殻(空蝉、うつせみ)そのものです。
ツノゼミは名前にセミとつくけれど、セミとは異なるグループの昆虫。大きさは1センチに満たず、だいたい2~25ミリほど。あまりに小さいため、人間の世界では見過ごされやすい。肉眼ではなく、ルーペで拡大してみて、はじめて、そのユニークさが見えてくる。
 正面からみたツノゼミの顔がまたなんとも奇妙な色と形、模様をしています。まるで、戦国武将のヨロイ・カブトのオンパレードです。
ハチマガイツノゼミは、背中のツノがハチそっくりになっている。ツノゼミは、一生を植物の上で過ごす。植物の芽やとげに似せている色や形のものが多い。また、ハチなどの危険な生きものに似せているもの、芋虫のふん、果ては昆虫の脱皮したぬけ殻まで、食べてもおいしくないものになり切っているものも多い。
 ツノゼミは植物の汁を吸って生きている。植物の汁には糖分が多く含まれているので、余った分は水と一緒に対外へ出す。ツノゼミは甘いおしっこをする。アリにとって、このツノゼミが出す甘い露はとても魅力的。1匹のツノゼミに40~50匹のアリが押し寄せてくることもある。
 アリは甘露をもらう代わりにツノゼミの護衛を引き受けている。アリはツノゼミを危険から守ろうと努力する。アリとは持ちつ持たれつの関係にあるのですね。
ツノゼミはオスとメスの交尾時間は長く、数十時間に及ぶことがある。このとき、オスとメスは何らかの交信をしていると考えられている。愛のささやき、ですね。
 そして、子育ては母親の役目です。卵を狙う敵を寄せつけません。ツノゼミの寿命は長くて3ヶ月。
 一読、一見の価値ある写真集ですよ。世界がグーンと広がります。
(2011年6月刊。1300円+税)
 朝、雨戸を開けると一番に目につくのは白っぽいクリーム色で、丸っこい可愛いらしい花を咲かせているシューメイギク(秋明菊)です。そのそばには、紫色の斑入りの不如帰(ほととぎす)の花が、ひっそり咲いています。
 フヨウ(芙蓉)の花は咲き終わって、ある意味のように丸まっています。そのかわりがエンゼルトランペットです。黄色いトランペットの花をたくさんぶら下げています。
 キンモクセイの芳香のなか、モズの甲高い鳴き声を聞きながら、チューリップの球根を植えつけました。

働かないアリに意義がある

カテゴリー:生物

著者   長谷川 英祐 、 出版   メディアファクトリー新書
 アリがみんな働き者かと思うと、そうでもないようなんです。アリの面白い生態が明らかにされています。
 1980年代まで、真社会性の生物は、ハチ、アリ、シロアリくらいしか知られていなかった。その後、アブラムシ、最近ではネズミ、エビ、カブトムシの仲間、さらにはカビの仲間まで真社会性と呼べる生き物がいることが分かっている。
 真社会性のアブラムシには、無性世代のなかに攻撃に特化した「兵隊」がいる。
ハチやアリには司令塔はいない。では、どうやって適当な労働力を必要な仕事に適切に振り分け、コロニー全体が必要とする仕事を見事に処理できるのか・・・?
 アシナガバチの女王は働きバチが巣の上で休んでいるのを見つけると、「さっさと仕事しろ!」とばかりに激しく攻撃し、エサを取りに行かせる。ところが、やられた働きバチもさるもので、巣を出ていったあと、少し離れた葉っぱの裏で何もせず、ぼんやりと過ごしている。
 なーんだ、人間社会によく似ていますよね。営業マンが喫茶店で、ぼおっとコーヒーを飲んでいる光景を思い出します。
 巣の中の7割の働きアリは何もしていない。案外、アリは働き者ではないのだ。
 ハチもアリも、非常に若いうちは幼虫や子どもの世話をし、その次に巣の維持にかかわる仕事をし、最後に巣の外へエサをとりにいく仕事をする。このパターンは共通している。
 年寄りは余命が短いから、外で死んでも損が少ないということ。すごい仕組みです。
 ハウスに放たれたミツバチはなぜかすぐに数が減り、コロニーが破壊してしまう。ハウス内には、いつも狭い範囲にたくさんの花があるため、ミツバチたちは広い野外であちこちに散らばる花から散発的に蜜を集めるときより多く働かなければならない。つまり、それだけ厳しい労働環境に置かれる。この過剰労働がワーカー(ミツバチ)の寿命を縮めてしまう。うへーっ、ハウス内のほうが楽ちんかと思いきや、まるで逆なのですね・・・。
 みんなが一斉に働くシステムは、同じくらい働いて、同時に全員が疲れてしまい、だれも働けなくなる時間がどうしても生まれる。だれもが必ず疲れる以上、働かないものを常に含む非効率的なシステムでこそ、種全体としては長期的な存続が可能となる。長い時間を通してみたら、そういうシステムが選ばれることになったのだ。
 なるほど、ふむふむ、そうなんですね。よくぞ、ここまで観察したものです。学者は偉い!
(2011年7月15日刊。760円+税)

イカの心を探る

カテゴリー:生物

著者   池田 譲 、 出版   NHKブックス
 なんという奇妙なタイトルでしょう。イルカじゃあるまいし、イカに心なんてあるはずないじゃないのさ。そう思ってしまいました。ところが、どっこい、なのです。なんと、イカは意外なことに巨大な脳をもち、ちゃんと学習効果をあげるのです。
 しかも、ほとんど養殖できない。イケスに入れると、たちまち死んでしまうというのです。ウッソー、マサカでしょ・・・。そんな叫び声が聞こえてきそうです。食べて美味しいイカに、なんとなんと心があったなんて・・・。これから気安くイカが食べられなくなりそうです。
 イカは情報を伝達する細胞である神経が発達し、それを統合したところの脳が大きい。イカは海の賢者とも言える存在なのだ。
 南氷洋だけで、イカは年間3400万トンも捕食者に食べられている。これは人間が食べている量より、はるかに多い。世界の海洋には、総量でで2億トンのイカがいると推定されている。
 淡水に生息するイカ、そしてタコなんていない。海にだけいる生き物だ。イカは変態しない。卵から孵化した時点から親と同じイカの形をしている。
 イカの寿命は1年ほど。それなのに、日本列島を南北に往復する大回遊をしている。
 イカの親であるオスもメスも我が子を見ることなく死んでいく。
 イカの養殖はできていない。水族館で生きたイカを常時展示しているところは少ない。イカを水槽に入れると、半日もしないうちにポロリと死んでしまう。
 ヤリイカ飼育成功の秘訣は水質にあった。ヤリイカは清水を好む。
 イカ、とくにスルメイカは神経質というか慎重であり、人が与えるものを簡単には受けとってくれない。しかも、エサが生きた状態でないと受けとってくれない。
 イカは仲間のお互いの行動を実によく見ている。
 スルメイカは、今もって全生涯を水槽内で飼育することができない。
 イカの眼はヒトと構造がよく似たレンズ眼だ。コウイカの視力は0.6ほど。
 イカは、体の色もパターンも瞬間的に変えることができる。
 群れをつくるアオリイカには順位制が認められる。繁殖相手のメスをめぐり、また、エサをとるときにも順位が形成される。
 イカは奥行きがあることが分かり、記憶力を持つ。
 アオリイカを鐘の前に置くと、強い関心を示す。鐘に映っているアオリイカは自分だと認識している可能性がある。
 イカは体色を変えてカモフラージュするが、それは貝殻という楯を捨てた代替戦略として、神経系を発達させ、高精度のレンズ眼をもち、高度な情報処理が可能な巨大脳を手に入れた。
 うむむ、こうなると、イカの活きづくりも、ただ単に美味しいというだけでは食べられなくなりますよね。学者って、すごいです。
(2011年9月刊。1300円+税)

アシカ日和

カテゴリー:生物

著者   鍵井 靖章 、 出版   マガジンハウス
 かわいい、かわいいアシカの写真集です。
 好奇心旺盛、自由きまま、そして基本的にはぐうたらな生活。そんなアシカたちの住むアメリカにあるアシカ島にまで出かけて撮った、心いやされる写真集です。眺めているだけで、心が和みます。ストレスがスーッと発散していきます。なにをそんなにアクセクしているの?つぶらなアシカの瞳が問いを投げかけてきます。そうなんです。流れにまかせて目をつぶっていればいいのです。そのうち、きっといいことがあるでしょう。
 アシカ科の特徴は前あしと後ろあしで身体を支えて歩くこと。アザラシ科は、あしを使っては歩けない。
 アシカには耳があるが、オットセイにはない。とは必ずしも言えないようです。
 アシカは頭が良くて、ひとなつっこい性格。生まれたてのアシカは体長75センチ、体重は6~10キロほど。9歳以上のオスのなかには体長3メートル、体重は500キロになるものもいる。
 子どもアシカは、とりわけ好奇心が旺盛で、とても遊び好き。ヒトデを口にくわえておもちゃにしたり、仲間に見せびらかしたり。つぶらな大きな目で近寄ってきます。
 手を差し出すと、あまかみしたり、髪の毛を引っぱってみたり。ところが、メスや子どもにあまりに接近しすぎると、ブルと呼ばれるコロニーのボス(オス)がやってきて威嚇する。これは本当に怖い。
 子どもは安全な岩場に隠れ集まる。大人は海底で仲間同士、集まって楽しむ。
 アシカは泳ぎながらも眠る。海中で、うつらうつら、ユラリユラリと漂います。ときに家族を枕に眠る。波の音を聞きながら気持ちよさそうに眠る。
 アシカ島には400頭ものアシカがいる。アシカは100メートルは潜ることができる。母アシカが子どもにお乳を与えるのは1年から3年に及ぶ。アシカは、最大時速40キロで泳げる。
 いやあ、よく撮れたアシカの写真集です。そのほのぼの、おとぼけ顔には心が洗われます。価値のある1500円でした。
(2011年6月刊。1500円+税)
 上京した折、久しぶりに上野の西洋美術館に入りました。古代ギリシャの彫刻を鑑賞したのですが、ビデオ解説によって、次第に動きのある像へ進歩していったことが分かり、現物を見て実感しました。実に生き生きとした躍動感あふれるアフロディテ像など、見ていると心まで洗われる思いでした。
 隣のギャラリーで水彩画展があっていたのでこちらものぞいてみました。心の静まりを感じる落ち着いたタッチの風景画です。私も画が描けたたらいいなと思いました。小学生のときにスケッチ大会で銅賞をもらったのは今でもうれしい思い出として残っているのですが・・・。

海に暮らす無脊椎動物の不思議

カテゴリー:生物

著者  中野 理枝    、 出版  サイエンス・アイ新書 
 ウミウシは、色も形も綺麗なことから、ダイバーにとても人気のある軟体動物の一種です。ちょっと前までは、色のついたナメクジ、気持ち悪い、といって片付けられてしまう可哀想な存在だった。
 ネクトンとは遊泳動物、つまりイカのように潮流に逆らって泳ぐ能力のあるもの。
 プランクトンとは、浮遊生物。エチゼンクラゲのように傘の直径が最大2メートルをこえる巨大なものでも遊泳能力がなければプランクトンだ。ただし、同じクラゲの仲間でもかつおノエボシのように水面近くで生活するものは、プランクトンと区別して、ニューストンと呼ばれる。
ベントスとは、海底近くに暮らす動植物のこと。底生生物という。
 遊泳能力の高いイカは魚などを狩る有能なハンターだ。遊泳能力のやや劣るタコは甲殻類を餌にする。
 スナギンチャクには、長寿であり、猛毒をもつという特性がある。2742歳という長寿の個体が見つかった。
多くのウミウシは、毒を含んだ餌を食べ、その毒を再利用して自分の身を守る武器にしている。ウミウシはほとんど肉食だ。カイメンやホヤ、ヒドロ虫といった固着動物。これらの多くは動いて捕食者から逃れることができない代わりに、多くが捕食者に食われないように毒を蓄えている。ウミウシはこの毒を再利用している。
 ホヤは仙台に行ったときにその近郊の秋保温泉の旅館ででっかいものを食べました。さすがに美味しい味つけでした。ちょっと気色悪い形ではありましたが・・・・。
 海底あたりにうごめく生き物たちは色も形もとても変わっていて、奇妙かつ美的なセンスにあふれています。面白い写真が満載のカラー新書でした。
(2011年6月刊。952円+税)

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