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カテゴリー: 生物

スズメ

カテゴリー:生物

著者  三上 修 、 出版  岩波科学ライブラリー
わが家にもスズメが住みついていますが、前より少なくなった気がします。日本全体でスズメが減っているという記事を読むと、なんだか不安になります。
 スズメは身近でいて、よく知られていない鳥だと思います。
スズメは人のそばが好き。人のいるところでばかり子育てをする。過疎化で人がいなくなると、スズメも姿を消してしまう。タカ、ヘビ、イタチなどの天敵を避けるため・・・。
 スズメは人が嫌い。スズメは人を警戒し、一定の距離をとろうとする。スズメは人に巣を見られることを極端に嫌う。
 スズメは、とても高い密度で繁殖する。スズメは、縄張りをもたない。
 スズメは1日に1卵ずつ産んでいくが、最後に産んだ卵は薄い色をしている。止め卵と呼ぶスズメの祖先は恐竜の仲間。そして、スズメの祖先はアフリカに生まれた。
 スズメの幼鳥は長距離移動する。新潟から岡山まで600キロも移動したスズメが発見された。
 スズメの寿命は自然の下で最長6年。飼育下で15年。
こんなに身近なスズメですが、分かっていないことだらけの不思議な鳥なのです。
(2013年11月刊。1500円+税)

ノチョとヘイリ

カテゴリー:生物

著者  水口 博也 、 出版  シータス
北アメリカはバハマの海に暮らすイルカの母と娘をとらえた素晴らしい写真集です。
 天草に行くとイルカの群れに出会えるようですが、残念ながらまだ行っていません。でも、先日、鹿児島に行ったとき、水族館そばのイルカ運河で豪快なイルカ・ジャンプを目撃することができました。これは、私の個人ブログに写真を紹介していますので、ぜひ、ご覧ください。
 イルカって、本当に賢く、また、親子愛の強い、情愛たっぷりの哺乳類なんですよね。
  母イルカは、赤ちゃんイルカに向けてピュウピュウと澄んだ声で話しかけ、口やひれの先で赤ちゃんイルカをあやす。
 そして、この写真集によってイルカは成長するにつれて、体表面が変化してくることを知りました。身体の表面を見るだけで、およその年齢が分かるのです。
 赤ちゃんイルカの腹側は白い。そして、3歳をすぎるころから、おなかに小さな黒いまだら模様が少しずつ浮かびあがりはじめる。さらに成長すると、お腹の黒いまだらが増え、そして黒い背には白いまだら模様が浮かんできて、複雑な模様をつくり出す。
 だから、イルカの身体をみると、赤ん坊なのか、子どもなのか、また大人なのかがすぐに見分けられるのです。ちっとも知りませんでした。
海中をのびのびと泳いでいるイルカ、仲間同士で楽しく遊んでいるイルカの写真を見ていると、なんだか気持ちがほんわか、ゆったりした気分になってきます。
 とても素晴らしい水中写真をながめていて、うれしい気分に浸ることができました。撮影、お疲れさまです
(2013年5月刊。900円+税)

イルカの不思議

カテゴリー:生物

著者  村山 司 、 出版  講談社ブルーバックス新書
イルカに、自分の名前を呼ばせる人がいるなんて・・・。
 イルカのナックは、「おはよう」「あわわわ」など、ヒトの発するコトバを模倣することできる。
 そして、著者に対しても、「ツゥ、カァ、サッ!」と、まねすることができるのです。なんと・・・。
 ナックは、正解したらえさをもらえるということでなくても、次の試行を実行する。それは「好奇心」からとしか思えない。
 イルカは、一度覚えたトレーナーのサインを忘れることはない。イルカの長期記憶は、すばらしい。イルカの脳では、海馬が大きい。
 ハクジラ類のなかで、小型(体長が4~5メートル以下)の種を便宜的にイルカと呼んでいる。つまり、イルカというのは分類学上の正式名称ではなく、俗称なのだ。
鯨類と共通の祖先をもつのは、現存する動物ではカバがもっとも近い。
 イルカの目が前方にないのは、水中で高速で泳ぐときの摩擦や衝撃によって眼が痛むのを回避するため。鼻の穴は、水棲生活に適応するため、徐々に頭頂部に移動していった。
 イルカは、37度前後の体温をもっている。
 イルカの前の胸ヒレには、5本の指が残っていることがレントゲン写真で分かる。尾ビレはあ骨はなく、これは皮膚が肥厚したものと考えられる。
 イルカの皮膚は2時間ごとに更新されていく.イルカの皮膚は非常になめらかであると同時に、弾力性に優れている。そのため、体表面に渦流が生じないので、抵抗が少なくなり、水中を高速で泳ぐことができる。
 イルカは、1回の呼吸で吸い込んだ空気のほとんどを肺に残すことなく、血液や筋肉に送り込んでたくわえることができる。
 3000メートルにも潜水するマッコウクジラは、2時間以上も呼吸せずに潜り続けることができる。イルカの肺には潜水中、ほとんど空気が残っていないので潜水病にはならない。
 イルカは遊び好きな動物である。生活上はとくに必要性のないものを創造して利用できるというのは、イルカの脳にはそれだけの「余裕」があるからだと考えられている。
イルカの発するホイッスルは、個体によって異なるものがある。それは、いわば、「音の名刺」である。
 いろいろ知りらないことがたくさんありました。賢いイルカの話は、いつ読んでも面白いですよね。引き続き、イルカの本を読ませてくださいね。
(2013年8月刊。900円+税)

アサギマダラはなぜ海を渡るのか?

カテゴリー:生物

著者  栗田 昌裕 、 出版  PHP研究所
チョウの楽しい話です。著者は生物学者ではない、東大医学部を出たお医者さんです。
 日本全国だけではありません。海外にまでチョウを追い求めて出かけていきます。
 でも、謎の蝶、アサギマダラの行動範囲と行動力は、そんな著者をはるかに上回るのです。これまた信じられません。
 なにしろ、春と秋に1000キロから2000キロもの旅をするというのです。それも、わずか0.5グラムほどの軽い蝶が、ですよ。海を渡ってはるばる南の島から日本にやって来たり、南の島へ飛んでいくのです・・・。
 著者は、そんなアサギマダラになんと13万頭もマーキングしたといいます。これまた驚嘆するほかありません。
 2000キロの旅をする蝶ということですが、2日間で740キロもの海上移動することがあるのです。信じられません。強いジェット気流にでも乗るのでしょうかね。それにしても、チョウの羽って、そんなに丈夫なのでしょうか・・・。
 アサギマダラの寿命は、通常は羽化(うか)してから、およそ数ヶ月。アサギマダラの食べる花には、ピロリジジンアルカロイドと呼ばれる物質(PA物質)が含まれている。これは、オスが成熟するのに必要。オスがメスを惹きつけるフェロモンは、このPA物質からつくられる。アサギマタギラは匂いに超敏感。
 アサギマタギラには24の飛翔パターンがある。すごいですよね。よくぞ、これほどパターンを細分化して認識できたものです。観察眼の鋭さが伝わってきます。
 アサギマダラは、1万年のうちに「海を渡る」ことに適応した。陸地から海に沈んで分断されたことから、必然的に海を渡るようになったということです。そうすると、すごい年月をかけて海を渡るようになったというわけです。
アサギマダラのオスは自分でフェロモンを作れないのでPA物質をふくむ植物を求めて旅を求め続けている。また、移動すると、寄生虫から逃れることができるし、移動することによって、各地の個体の遺伝子がミックスされるチャンスが生まれ、集団としての均一性が保てるという利点がある。
 アサギマダラ集団は、心をもった雲が移動しているようなもの。
 アサギマダラは、小さな「虫けら」ではなく、ヒトと同じく未来を模索して進化を続ける「心を持った生命体」に他ならない。
 アサギマダラの謎を足で解明した画期的な本です。
(2013年9月刊。1500円+税)

寄生蟲図鑑

カテゴリー:生物

著者  目黒寄生虫館 、 出版  飛鳥新社
自然豊かな丘陵地の古ぼけた「新興団地」に住んでいるせいでしょう、先日、ダニに手首をかまれてしまいました。
 歩いて5分ほどの小川には初夏にホタルが明滅し、庭の水たまりに土ガエルがいて、モグラが地中に住みついていますので、庭のどこかにヘビも暮らしています。そんな自然環境にいればダニもいるのは必然でしょう。
 それにしても、ダニにかまれた手首の痛み・痒みが1ヶ月ほども続いたのには驚きました。皮膚科でもらった軟こうを塗っても、なかなか根治しないのです。
 ダニから咬着されても無症状なので、ダニが大きくなって初めて咬まれていることに気がつくことが多い。吸血によってウイルスや細菌が媒介されるので厄介だ。
 わが家の愛犬・マックスが亡くなってもう10年以上になります。フィラリアにやられたのです。この本によると、それは買い主の責任だということです。誠に申し訳ありません。フィラリアは予防によって、ほぼ100%阻止できる寄生虫なのです。
 フィラリアの媒介者は蚊。イヌ系状虫という寄生虫がフィラリア症をひきおこす。イヌ系状虫は、成虫が犬の心臓や肺動脈に寄生し、20~30センチにもなる、細長いそうめん状の線虫である。
 この寄生虫図鑑をよんでいて、ゴキブリにも天敵がいるというのを初めて知りました。
 エメラルドゴキブリバチです。このハチのメスはゴキブリを2度刺す。まずは面積の広い胸部神経節を刺して、ゴキブリの動きを止める。動きが止まったら、頭部にある脳に対して2度目の精密な刺激をする。これで、ゴキブリは大人しくなる。そのあとは、ハチの巣穴までひきずりこまれ、そこにハチの卵を生みつけ、幼虫が大きくなるまでの食料と化す。
 筑後川には、かつて恐ろしい日本住血吸虫がいましたが、2000年に絶滅宣言が出ています。中間宿主のミヤイリガイの撲滅に成功したことによるものです。
 それにしても、このような寄生虫を研究している学者がいるのですね。本当にありがたいことです。
(2013年8月刊。2200円+税)

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