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カテゴリー: 生物

新たな魚類大系統

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 宮 正樹 、 出版  慶應義塾大学出版会
著者は小学生のころからヘラブナ釣りに凝っていて、高校のときには学校を休んでまでも釣りに出かけていたほど、魚が好きだったそうです。
私は小学生の低学年のころは、一人ででも遠くのレンコン堀へザリガニ釣りに出かけていました。高学年になると、大川の叔父の家の周囲のクリークでヘラブナ釣りをしていました。静かな水面を見つめていて、浮きがピクピクと沈む様子は、夜、布団に入ってからも脳裏から離れないものです。弁護士になってからも、しばらくはマイカーのトランクに釣り道具を入れておいて、柳川のクリークで釣りをしていたことがありました。それほど当時はヒマだったのです。
子どもたちが小学生のころには、自宅のすぐ近くの小川で釣りの手ほどきをしたのですが、教える師匠より教えられる子どものほうが何匹も釣り上げてしまい、面目を喪ったこともありました。まあ、子どもに自信をつけさせて良かったとは思いますが・・・。
この本には、魚のDNAを比較解析することによって、系統関係を解き明かす「分子系統学」の成果が紹介されています。
魚は3万種を優に超す。5億年もの太古の昔に存在した唯一の祖先種から、種分化と絶滅を繰り返して現在の3万種に進化したのだ。
たった一つの祖先種が5億年かけて今の3万種の魚になったとは、そしてそれが判明したとは、すごいことですよね。
一般に魚類(さかな)と呼ばれている生きものは、脊椎動物の初期進化で水中生活から脱することのなかった、由来が異なる4つのグループの寄り合い所帯にすぎない。
①顎をもたない無顎類(ヤツメウナギやヌタウナギの仲間)
②中軸骨格が軟骨からできている「軟骨魚類」(サメやエイ、ギンザメの仲間)
③各鰭の鰭条がよく発達した「条鰭類」(ほとんどすべての魚)
④肉鰭類(シーラカンス、ハイギョ)
これら4つのグループの進化的な由来は大きく異なっている。
ウナギの祖先は深海魚である。日本列島に分布するメダカにはキタノメダカとミナミメダカと二種いる。
おサカナくんではありませんが、魚好きの人には魚とは何かを考えさせてくれる、欠かせない本です。
(2016年10月刊。2400円+税)

ニワトリ

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 アンドリュー・ロウラー 、 出版  合同出版
ニワトリが必要とする土地、水、投入エネルギーは、豚や牛よりも少ない。900グラムの飼料で450グラムの肉をつくり出す。これより効率のいいのは養殖サケのみ。
ニワトリは万能生物だ。さまざまな品種をつくり出すことが出来、雑多な餌を食べ、各地の気候に適応し、狭い土地でも飼うことができる。ニワトリに必要なのは保護する小屋だけで、台所の残飯や庭のゴミで生きのびられる。エサにも人手にもお金がかからなかった。
鶏肉は豚肉や牛肉より風味を付けやすいので、ファーストフードにぴったり。
2012年、アメリカのタイソン社の売上高は3000億ドルをこえ、週間生産量は60の工場で4000万羽を突破した。ブロイラー・ビジネスはアメリカの内外で活況を呈している。
少なくとも4000年前にニワトリは家畜化されていた。インドとパキスタンで骨と文字情報が発見されている。はじめ、ニワトリは食料としてではなく、魔術的な力に対する信仰の対象だった。人々は肉や卵を食べていなかった。農業が出現してから、人々は次第にニワトリを食料として利用しはじめた。
アメリカ人は、世界平均の4倍の量の鶏肉を食べている。
ニワトリは、人間とニワトリの顔を思い出して、以前の経験にもとづいて、その相手に対応することができる。好きなメンドリを見かけたオンドリは、精子の生産量が急に増加する。これって、どうやって計測したんでしょうかね・・・。
ニワトリは地球上に200億羽以上、生息しているが、バチカン市国と南極大陸にはいない。南極では、ペンギンを病気から守るため、生きたニワトリも生の鶏肉も輸入を禁じられている。
ニワトリは、鳥と人間のあいだを循環し続ける病気に対するワクチンの主な供給源となっている。
ニワトリの原生種は、ミャンマーのセキショクヤケイ。ニワトリは、東南アジアに起源があり、そこからアジアの他の地域へ、さらに世界中へと広がっていった。
私が小学生のころ、わが家でも狭い庭に小屋をつくってニワトリを飼っていました。ニワトリのエサにする野草を野原に採りに行き、また、貝殻をつぶして食べさせていました。そして、父がニワトリの首をちょん切って、腹を割いているのをそばで見ていました。卵の生成過程に見とれたことを覚えています。
弁護士になってから、鶏肉生産工場で働く依頼者から、生きたニワトリを殺すことに耐えられないという話を聞いて、なるほど、生きたものを毎日、毎日、殺生するのは辛いものだろうと思いました。そうは言っても、鶏皮は昔も今も私の好きな焼鳥です。
ニワトリをいろんな角度で紹介している本です。
(2016年11月刊。2400円+税)

BABY

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者  アンジェラ・セレナ・イルドス 、 出版  日経BPマーケティング
 動物の親子の生き生きとした表情が見事に撮られている写真集です。
 人間の赤ちゃんも可愛いですが、動物の赤ちゃんはみんな愛くるしいばかりです。
ヌーの赤ちゃんは、生れ落ちて5分後には立ちあがり、翌日には大人たちとあまり変わらないスピードで走る。ヌーは、危険一杯のアフリカのサバンナで生きているため、捕食者のえじきとなる危険を少しでも少なくするため、メスが一斉に妊娠し、出産する。
 ゾウの妊娠期間は22か月。出産のときには群れのメスたちが助産婦のように集まり出産を見守る。そして、赤ちゃんが生まれると、胎盤を取り除いたり、砂浴びをさせて立ちあがるのを助けたり、いろいろ世話をして、産後の母ゾウに休息の時間を与える。
 ホッキョクグマの母グマが子どもの世話をするのは2年半。オス(父親)と一緒にいるのは、わずか1週間だけ。
 ニホンザルの子育てはメスの役目だが、オスも手伝う。
 ヒョウのメスは、ほかのメスの子育てを手伝うことがある。
 ブタは家畜として飼われていても、なわばり意識が強く、群れをつくりたがる。メスはそれぞれの子どもをつれて、階層社会を構成し、オスは単独で行動する。
 動物の子どもにとって、遊びは成長がもたらす爆発的なエネルギーを解消する安全弁であり、自分の能力を試し、限界を知るための場でもある。そうした知識と意識は今後の生活で大いに役に立つ。
 子ゾウは2年以上も母乳を飲みつづけるが、生後5ヶ月から植物も食べる。
好奇心は、未知の物を知りたいという欲求であり、外の世界に慣れしたしむために自然が与えてくれた大切な手段だ。好奇心を抑えきれずに行動してしまうのは、幼い生き物の特徴でもある。これに対して親は愛情をもって接しなければいけない。
動物の子どもが眠っている様子をじっくり観察してみると、夢をみていることがはっきり分かる。それは、動物にも心のあることが実感できる瞬間だ。
とても癒される写真集です。図書館で借りて(なければ注文して下さい)でも、ぜひ手にとって眺めてほしい、とても素敵な写真集です。
(2016年12月刊。2900円+税)
各地から梅のたよりが聞こえてきます。わが家の庭でも小ぶりの紅梅と白梅が満開です。そのうち梅の実をつけてくれることでしょう。
映画「この世界の片隅に」をみました。心に沁みいる、とてもいい映画でした。市民のささやかな生活が戦争によって無惨にこわされていく状況が描かれています。
庶民の日常生活の様子がアニメでよく再現されています。そして、戦争というのは徐々に忍び寄ってくるものだということも実感させられました。アベ政治の暴走をなんとかして止めないと、いまの日本の平和も守れなくなってしまうと、孫の顔を思い出して、涙したことでした。

熊に出会った、襲われた

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 つり人社書籍編集部  、 出版  つり人社
山でツキノワグマに出会った人たちの体験談と、その対策が刻明に語られていて、勉強になります。
山でクマに会ったら、うしろ姿を見せて逃げ出してはいけないのですね。頭では理解できますが、果たして、現場で実行できるでしょうか・・・。じっと、熊と、逃げずにその場でにらめっこするなんて、とても勇気がいりますよね。
クマは2年に1回、2頭ずつ子どもを産む。1月20日から2月10日までに一斉に生まれる。
クマが人里にあらわれるようになったのは、過疎化や農業の衰えとともに人の営みが減っていったため、以前はクマにとって居心地の悪かったところが、居心地のいい場所になったことによる。放置された畑があり、栗や柿の木など、実がそのまま残されているので、クマがやって来る。
渓流釣りは、クマと出会いやすい環境にある。山菜とりや竹の子とりもクマの食べ物をとりに行っているから出会う確率は高いし、視界も悪いので不意打ちになりやすい。
鈴をつけるとか、人工的な音をたてて、人が来ていることをクマに知らせる必要がある。
日本でクマと出会って死亡する人は、毎年0人から数人。ハチに刺されて死ぬ人は20人ほど。人間に殺される人は数百人。人に殺されるツキノワグマは1000頭から3000頭。
真新しい足跡や糞があったら、クマが近くに潜んでいる可能性がある。すぐにその場を立ち去るべし。
クマと出会ったら、背を向けて逃げてはならない。背を向けずに後ずさりして、クマとの距離をあけていく。
クマ撃退スプレーは1万5千円もするけれど有効。クマ鈴、山刀、爆竹も必携。クマ鈴は、川の近くでは水音にかき消されてしまう。そこでホイッスルも必要。
クマと人間の共存は大切なことだと思いますが、なかなか勇気もいるのですね・・・。
(2016年12月刊。1111円+税)

野生動物カメラマン

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 岩合 光昭、 出版  集英社新書ヴィジュアル版
ライオンとハイエナ。どちらが強いか・・・。2頭のハイエナを12頭のライオンが襲いかかったとき、ハイエナはライオンに殺されてしまった。
5頭のハイエナがエサを食べているところに1頭のライオンがやってきたら、ハイエナに追い払われてしまった。
獲物の横取りが得意なのは、ハイエナよりも、むしろライオンのほう。ライオンの狩りが成功するのは10回に1回ほど。決して狩り名人とは言えない。
ハイエナは獲物の肉や内臓だけでなく、骨もかみ砕いて食べる。胃腸は大丈夫なので消化ができ、カルシウムだけが残るので、糞は白い。
ライオンは軟らかくておいしい肉を食べるから糞は軟らかく、非常に臭い。
ザトウクジラは、暖かい海で子どもを産んで育てる。子育てのあいだ、親(メス)は何も食べない。南の暖かい海にはクジラの食べるものは何もない。
なぜクジラは海面を出てジャンプするのか、その理由は分かっていない。
ペンギンのヒナは夏が終わって産毛がすっかり落ちてしまうまで、海で泳げない。産毛が残っていると、海水がしみ込んでしまうからだ。
地獄谷のサルにとっては、人間にはちょっと熱めの42度くらいが一番心地よいようだ。
野生動物をよく見ていると、彼らもまたこちらをよく見ていることに気がつく。そして、あいつは危害を加えるものではないとして、警戒心を解いてくれる。そうすると、ライオンが狩りを見せてくれることもある。ええっ、それでも怖いですよね。
いわごうさんの写真は、どれも動物が生きています。生命の躍動感がありますよね。
(2015年12月刊。1200円+税)
フランス語の口頭試問を受けました。
3分前にペーパーが渡されます。一問目は天皇の生前退位をどう考えるかというものです。これは、日本語でも難しい問題ですからフランス語で話せる自信はなく、すぐにパス。二問目は子どもの虐待が日本で増えていることをどう考えるかというものでした。暴力とネグレクトの2種類あると話したのはいいのですが、親自身がその親から愛情たっぷりに育てられていないことも原因だと言いたかったのですが、フランス語になりませんでした。トホホ・・・。
3分間スピーチには、いつも苦労しています。

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