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カテゴリー: 生物

私は虫である

カテゴリー:生物

著者:熊田千佳慕、出版社:求龍堂
 すごい絵です。生き物が躍動している、その瞬間が、実に細かく絵になっています。静止しているのではありません。飛翔中のカブトムシが、さながらの姿で描かれています。感嘆するばかりです。
 童話の挿絵の原画もあります。ファンタジーの世界が目の前に現出します。そんな絵を98歳までずっと描き続けた著者の言葉ですから、含蓄に富む言葉が多く、胸に響きます。
さっと読めますし、読んでよかったなと素直に思える本です。
 身のまわりにあるものに愛を感じ、美しさを感じ、楽しいひとときを持ち、生活の中に豊かな感性を持つことが本当のゆとりである。
 古来、日本人は、花鳥風月を愛する心を持ち、豊かな感性を持った生活をしていた。そこには本当にゆとりがあった。ゆとりとは作るべきものではなく、自ずからできるものである。
 物をよく見て、見つめて、見きわめる。そして、線を確認して鉛筆を走らすという画法を身につけた。
 17、8のとき、将来、小さい人たちのために仕事をするには、体だけでもピュアにしておこうと思って、それでお酒と煙草はのむまいと決めた。
 うへーっ、煙草は、ともかくとして、お酒まで絶たなくても良かったのでは、と思いました。
 いつも芸の仕事も他のことも、八分のペースを土台にしている。集中力を八分のペースですすめる。十のペースの力を八のペースの中で集中する。残った二の力は芸のゆとりにする。なーるほど、そういうことなんですね・・・。
 自然そのものがアートなんだから、こつを本当になくして、無心で入ってしまえばいい。そうしたら、そのままのものが出てくる。
 花の香りは花の命の香り。花の絵の究極の目的は、その花の香りの描写である。すなわち、花の命の描写である。うむむ、なんという言葉でしょう。言い放しにしないところがすごいですね。
 雑草という言葉は使わない。どんな小さな花でもみんな名前を持っている。どんなものを見ても、それぞれの美しさを持っている。
 虫と同じ目の高さにならないと、虫の本当の姿は見えない。だから腹ばいになる。
 そうやって気づいた。虫は僕であり、僕は虫である、と。人間様がいちばんえらいような顔をしているけれど、虫から見れば、所詮は同じ生き物。動物でも植物でも、根は一緒。この地球の上で共生している存在であり、お互い大切な存在なのだ。
 著者は野外でスケッチしないというのです。これには、さすがに驚きました。頭の中に、その姿を焼きつけておいて、家に帰ったらすぐに描きとめておくのです。
 うへぇ、これって、並の人間にはとても出来ないことです。さすが、ですね。
 活き活きとした緑や花のある家は、お金のあるなしではなく、幸せな、ゆとりある家庭を築いている。こんな論評があります。たしかに、そうは言えるのではないでしょうか。
 最後に、著者のペンネームの由来を聞いて笑ってしまいました。なんと、千人の佳人に慕われるように名付けたというのです。それでは、私も同じペンネームにしなくてはいけませんね・・・。
 著者の描いた絵の現物をじっくり眺めたいと思いました。
(2010年4月刊。1200円+税)
 フランスでは超高級レストランはともかくとして、人々は、ともかく店の外で飲食するのを好みます。
 カフェーもてんないより、歩道に引き出したテーブルで、通行人を眺め、自らも見られながら、ゆっくりコーヒー、ビール、そしてグラスワインを楽しんでいます。
 食事も、外の席から埋まっていきます。テラスのテーブルは、少し離れているだけで、ほとんど相席感覚です。
 なぜか虫がきません。蚊やハエに悩まされたことはほとんどありません。
 そして、不思議なことに、ウェイターもウェイトレスも客の出した勘定をろくに数えずに「メルシー」と言って受け取ります。もちろん、おつりをもらいたいときにはお釣りをくれます。このおうようさが不思議でなりませんでした。

鳥脳力

カテゴリー:生物

著者:渡辺 茂、出版社:化学同人
 鳥は恐竜から進化した動物ではなく、生き残った恐竜なのである。恐竜には、鳥型恐竜と非鳥型恐竜があるのだ。恐竜が6500万年前に絶滅するより前に非鳥型恐竜と鳥(鳥型恐竜)は共存していた。そして、鳥型恐竜は現代鳥として生き残ったのだ。
 なんと、鳥と恐竜の関係は、こんなに深いものだったんですね・・・。
 小鳥は、脳の片半球ずつ眠ることができる。これは、捕食者に対する警戒を絶やさないため。そうなんですか・・・。
 カケスは、ものを隠して、その場所を覚えているという記憶力に優れているばかりでなく、他者のものを盗むという悪知恵ももっている。いやはや、なんとういうことでしょう。
 鳥類は道具をつかう例は、哺乳類より多い。ニューカレドニアカラスは、加工した道具を携帯して場所を移動する。
 伝書鳩の原種はカワラバト。カワラバトを帰巣成績による選択交配を重ねた品種が現在の伝書鳩である。カワラバトは、崖にある巣と採餌場所のあいだ20~30キロメートルを移動する。ドバトは、伝書鳩が二次的に野性化したもの。
 ハトにGPSをつけて飛行ルートを実験してみると、一度ルートを決めたら、同じルートを繰り返す。最適ルートに近づけることはしない。ハトは最短距離を飛ぶより、熟知している、いつものルートで帰巣する習性がある。ハトが帰巣するときに間違うのは、巣の近くに駅や鉄塔など、似たようなものがあったとき。
 訓練したハトは、ゴッホとシャガールの絵を区別することができる。
 ハトは、色とか形の特定のものではなく、全体を見て判断している。
 ハトは細部にこだわる。鳥に弁別訓練を行うと、日本画と西洋画の区別ができるようになる。ハトは、訓練すると特定の音楽が弁別できるだけでなく、ある程度の音楽カテゴリーの弁別も出来るようになる。
 夜に空を渡る鳥たちは、星座コンパスをつかう。夜間飛行する鳥たちは、そのための特別な脳内機構をもっている。
 小鳥の歌には相当複雑なものもあるが、伝える情報は少ない。つまりは求愛か、なわばり宣言である。主たる機能は情報伝達であって、聴衆を楽しませるものではない。
 オウムは音楽にあわせて踊ることができる。
 カラスは鏡にうつった自分を、他のカラスだと見ている。
 カラスが毎週のようにゴミあさりにやってきます。袋をつついて破り、なかのものを散乱させてしまいますので困っています。悪知恵が働くので、今のところはゴミにネットをかぶせていますが、イタチごっこになるでしょう。
(2010年4月刊。1700円+税)
 リヨンの旧市街をを見おろす丘の上にフルヴィエール寺院があります。歩いてのぼるのは大変なので、メトロに乗ります。駅の出口から見ると、目の前に大きな寺院がそびえています。
 裏側にまわると、リヨン市街地の全体を眺めることができ、爽快です。涼しい風が吹いてくるなか、高台にあるカフェーでコーヒーを飲みました。時差の関係でしょう、夕方五時になると、いつも眠たくなります。
 寺院から少し下ると、ローマ時代の野外劇場の遺跡があります。オータンにも広大な劇場がありましたが、リヨンもなかなかのものです。観客席の傾斜はすごく急になっていて、控えの建物まで残っています。ローマ帝国の偉大さを実感します。

アリの生態と分類

カテゴリー:生物

 著者 山根 正気、原田 豊ほか 、南方新社 出版 
 
 南九州のアリの自然史というサブタイトルがついたアリの写真図鑑です。
我が家の庭にもアリはもちろんいますが、厄介なのは台所にまで出没する小さなアリたちです。白アリとは違うので家屋倒壊の原因にはならないでしょうが、それでもやはり、小さなアリたちが食べ物のあるところをウロチョロしているのを見るのは目障りです。つい、「アリ殺し」を仕掛けてしまいました。
 日本ではアリは非常に良く研究されている昆虫一の群だ。南九州には124種のアリがいる。うへーっ、そんなに種類がいるのー・・・・と叫んでしまいましたが、なるほど写真を見ると、少しずつ色も形も異なっています。どうして、こんなに多様化したのか、不思議でなりません。
この本はヒアリは要注意だと警告しています。アメリカでは、ヒアリによって毎年5~6000億円もの被害が出ているとのことです。ヒアリ毒によって、毎年100人も亡くなっているというのですから、なるほど警戒しなければいけませんね。
アリは、カリバチと総称されているハチから進化し、スズメバチ類と近い親戚関係にある。
 初めてアリが出現したのは6億2500年前のこと。恐竜時代である。ハチの仲間なので、完全変態する。これに対してシロアリは、ゴキブリの仲間から進化した。したがって、ゴキブリと同じく、不完全変態する。
世界には1万1000種のアリがいる。
 アリの寿命は不明だが、実験室のコロニーで20年以上飼育した実例がある。
コロニーに複数の女王がいるコロニーのほうが一般的である。
 アリとアリが出会うと、触覚で相手をなでまわす。アリの体の表面は、所属するコロニーに特有のにおいで被われており、触覚でなでまわすことで、相手が自分と同じコロニーの仲間であるかどうかを嗅ぎ分けている。違うコロニーのアリを発見したアリは警戒フェロモンを散布するので、コロニー全体が興奮状態になる。
 逆に、社会寄生性の種の新女王や奴隷狩り部隊は、鎮静効果のあるフェロモンをうまくつかって相手コロニーの防衛力を低下させる。
 実は、多くのアリが昼夜を問わず活動している。ええーっ、アリって夜行性のものもいるのですか。ちっとも知りませんでした。
 この本には、たくさんのアリが大きく拡大したアリの身体写真とともに細かく紹介されています。すごいものです。アリ愛好家ならではの写真集です。
 我が家の庭にいるアリたちの姿を、今度じっくり観察してみようと思いました。
(2010年5月刊。4500円+税)
 ディジョンから休校に乗って30分、ボーヌに向かいました。ボーヌは20年ぶりです。駅から、まっすぐ旧市街を目ざして歩いていきます。ボーヌは小さな町です。古い城砦跡がそのまま残っています。旧市街に入ると石畳の狭い道になります。やがてにぎやかな通りに出ました。ちょうどお昼時でしたので、補導に張り出したテラス席で食事中の人々をたくさん見かけます。神の館(オテル・デュー)の近くに目ざすホテル(ル・セップ)がありました。20年前の記憶では町の中心部から外れたさびしい通り、というイメージだったのですが、実際には観光名所であるオテル・デューやノートルダム教会のすぐ近くで、はずれというより中心部にあります。
 ヴィジオトランという市内観光バスに乗って、ボーヌ見物をしました。本当に狭い路地を3両連結でよく走れるものだと感心します。日本語による解説もついて便利です。
 ホテル・デュは施療院とも呼ばれ、15世紀、百年戦争のあと、貧民救済のために作られた病院です。ブルゴーニュ建築の特徴という赤や黄色の幾何学模様が目を引く屋根をかまえています。
 このボーヌに、ゆったり3泊しました。

極北の生命

カテゴリー:生物

 著者 前川 貴行 、小学館 出版 
 
 ギャハー、な、なんというド迫力でしょう。表紙を飾るハクトウワシの正面アップの顔と、その目つきの鋭さに、たじたじとなってしまいました。まさに迫力負けです。
強烈な風格を身にまとったハクトウワシは、アメリカの先住民にとっては神の使いであった。アメリカのシンボルであるハクトウワシは1960年代には絶滅の危機に瀕していた。家畜を襲う害獣として長年にわたって乱獲がされてきたのと農薬汚染によるものだった。今では保護がすすんで、絶滅危惧種の指定から解除されている。
 主な生息場所である海や川ぞいで、海面近くを泳ぐ魚や遡上ではねたサーモンなどを捕まえる。サーモンなどの大きな魚は、川で捕まえて、その場で食べる。サバくらいの大きさだと、易々とつかんで飛べるため、仲間に横どりされずに安心して食べることのできる樹上に運ぶことが多い。魚以外によく捕食するのが生息場所の重複するカモメ類。大きさが自分とあまり変わらない成鳥であっても、かぎ爪で「鷲づかみ」にして、ばくばくと食べてしまう。カモメのヒナもよく捕まえ、子育て中のハクトウワシは、カモメのヒナを生きたまま単に持ち帰り、自分のヒナに与える。
 ハクトウワシが子育てする巣は、まさに断崖絶壁の上にあります。そこを写真に撮ったのですから、すごいものです。いったい、どうやって写真を撮ったのでしょうか・・・・。
 いずれにせよ、大変な根気が求められることは確実です。シャッターチャンスは一度だけ。そう思いながら、何時間も、何日も、じっと辛抱強くチャンスを待ち構えたのでしょうね・・・・。心より敬意を表します。
 それにしてもハクトウワシって、なるほど、神々しく、気高い、孤高の顔つきをしています。こんな威厳を日本の首相も全身であらわしてほしいものだと思いました。恐らく、ないものねだり、なのでしょうね。 
 
(2010年6月刊。3400円+税)
 夏休みをとってフランスに行きました。パリでは日本人より韓国人、中国人の若者をたくさん見かけました。20代の日本人は、この10年間に海外旅行する人が半減したそうです。どうしてでしょうか……。やはり現地に行ってみると、いろんなことが見えます。もったいないことです。今回は、ブルゴーニュ地方を回って来ました。少しずつ報告していきたいとおもいます。

生き物たちの情報戦略

カテゴリー:生物

 著者 針山 孝彦、 化学同人 出版 
 
 南極、マイナス35度のなかで生きる昆虫、スプリングテールは、冬期に車のラジエータに入れるような不凍液を身体に蓄えるしくみをもっている。その不凍液はグリセロールというもので、そのおかげで凝固点が降下し、凍ることがない。
 南極に基地に入ると、初めにサバイバル・トレーニングをする。実際に自らクレバスに落っこちる。40メートルのロープをつけて、氷の割れ目のクレバスに落下する。周囲は青一色の世界となる。クレバスの奥は真っ黒の世界。このクレバスから、ロープをたどって脱出するのではなく、氷の壁に挑戦して自力で脱出する訓練が課される。右手にピッケル、左手にアイスピックを持って、足にはクランポンの金属が靴先に飛び出している。こんな、氷に張りつける道具を準備していても、いくら両手をふり回し、足をバタバタさせても、柔らかい氷の結晶がついた壁は脆い。大汗をかいて努力したものの、ついに力が尽いて、そして張りあげてもらった・・・・。うへーっ、こ、これは怖いですよね・・・・。
南極の寒地では、白夜があるため、日中とほとんど変わらない明るさがある。そのため睡眠障害が起きやすい。この問題を解決するため、基地のなかでは、全員が規則正しい生活を心がける。朝食も夕食もバイキング形式で食べ放題だが、朝は午前7時、夕方は6時に、それぞれ1時間のあいだに全員が一堂に会して食事する。夕食のあとはアルコール。基地のバーが開店して、1杯100円で世界中の高価なお酒が飲める。南極では酒税がかからないので、とても安い。飲みすぎを防ぐためにお金をとるだけ。やっぱり、飲みすぎず、また気分転換を図るって大事なことですよね。
 コンピューター・シュミレーションによって、一世代に一つの突然変異が起こったとすれば、数十万回の世代交代によって、平らな皮膚のような構造からレンズをもったカメラ眼まで形態変化することが証明された。つまり、眼の形成までに1億年かかったとしても、エディアカラ紀の運動性をもった個体群が眼の形成を開始していたら、カンブリア紀に突然、眼ができても不思議ではない。ふえーっ、そんなんですかね・・・・。
 光線に色はない。これはニュートンの言葉。色とは、三種の錐体細胞が下界にある光のスペクトルによって別々に興奮させられ、その興奮の比率が脳に伝わる信号の状態のことをいう。光線が錐体に含まれる光受容細胞に吸収され、細胞が興奮して情報を脳に伝達し、三種の興奮も組み合わせが色という情報に変換される。生物が情報を作っているのである。 
 日常生活においては、すべての物に色がついているわけですけれども、実は、色なるものは、その物に付着しているというわけではないということが、どうにもぴんときませんね。
いずれにせよ、南極からアフリカまで、世界中のいたるところに生活して、生き物とは何かを探求してやまない学者の努力には脱帽せざるをえません。
 
(2007年9月刊。1800円+税)
 梅雨が明けると炎暑の夏が到来しました。車の温度計で38度が表示されているのを見て、計器が暑さで狂ったのかと思ったほどです。しばらく走っても35度でした。熱中症のため、お年寄りが何人も亡くなられています。私も庭仕事をするときには、いつも以上に休み休みし、また水分補給に心がけています。
 夜、寝る前にはベランダニ出て天体望遠鏡で就き世界を見るのが楽しみです。夜風に吹かれて身体を覚ましてくれるのもちょうどいいし、異次元の世界をのぞくうれしさがあります。

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