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カテゴリー: 人間

睡眠のはなし

カテゴリー:人間

著者  内山 真 、 出版  中公新書
 眠れない夜のために。
私は幸いなことに寝つきは良いほうです。たまに、すぐに眠れないことがあるのですが、それは間違って夜7時以降にお茶かコーヒーを飲んでしまったときのことです。原因は、はっきりしています。
 ただ、夜中に一度、目を覚ますことがあります。そのときは、トイレに入って用を足し、顔を洗って、もう一度、すっきりして横になります。すると、再びすぐに寝入ることができるのです。
 睡眠をしっかりとるのが、何よりの元気の素です。徹夜なんて、弁護士になってから、したことがありません。
不眠を訴える人は、5人に1人。30人に1人は、睡眠薬を服用している。
 朝型か夜型かは、遺伝子による。つまり、生まれつきの体質である。
 中高年層が若年層より早く出勤するのは、やる気があるからではなく、脳にある睡眠調節機構の老化によるもの。
 睡眠は、他の生物と共通の仕組みで制御されている。眠っているときには、私たちは人間というより、霊長目に属する、ただの哺乳類になる。
 身体が休む時間帯に、大脳をうまく沈静化して休息・回復させ、必要なときに高い機能状態の覚醒を保証する機能のために、睡眠がある。
 高等な哺乳類にとって、睡眠とは、身体が休むときに、脳の活動をしっかり低下させ、休養させるシステムなのだ。体内の温度を積極的に下げ、まるで変温動物のようになって、脳と身体をしっかり休息させる。
 体内の温度が下がると、生命を支えている体内の化学反応が不活発化する。つまり、代謝が下がり、休息状態になる。
赤ちゃんの手が温かくなるのは、眠たいサインだといわれるのは正しい。熱を逃して、脳の温度を下げ、眠気を誘って脳を休ませている。
 一晩の80%がノンレム睡眠だ。すやすやと深い寝息をたて、ゆったりと眠っている。ノンレム睡眠のときには、日中に疲れた大脳皮質は眠っているが、脳の一部では耳から入る情報をモニターしている。
レム睡眠は、一晩の睡眠の20%を占める。呼吸が浅く、やや不規則で、目が開き加減でまぶたがピクピク動く。レム睡眠は、夢をみている睡眠だ。目の動きが活発であるのと対照的に、全身の筋肉の緊張が著しく低下している。
 ノンレム睡眠中は、レム睡眠にみられるような鮮明な夢をみることはない。大脳がほぼ完全に休んでいるからだ。ノンレム睡眠の意義は、主として脳を休ませることにある。
 もともと身体を休ませるためのレム睡眠があり、これは脳を積極的に休ませる機能はなかった。高等動物になり、大脳が発達してくるにしたがって、脳を積極的に休ませる仕組みが必要となり、ノンレム睡眠が発達した。
 身体が休むレム睡眠のときには脳は目覚めていて、脳が休むノンレム睡眠のときには、筋肉は完全に休まない。このようなシステムには、眠っているときの無防備な時間を最小限にするという利点がある。
 睡眠時間は、短すぎるのも長すぎるのも健康には良くない。6時間台、7時間台という、ほどほどがもっとも健康的。
睡眠不足は、食欲増強ホルモンであるグレリンを増やして食物に対する欲求を高め、さらに満腹ホルモンであるレプチンの分泌低下により満腹感の得られない状態をもたらす。
 うつ病の人の体温は健康な人よりも高い。体温を下げて心身を休息状態にもっていく仕組みが不調になっているためだろう。
 レム睡眠では、眼球を動かす筋と呼吸のために必要な胸部の筋以外の筋はほぼ完全に弛緩している。夢は、レム睡眠という、ごく浅い眠りの状態に随伴する内的体験だ。
 レム睡眠のときには、外部からの感覚入力と筋肉への運動出力が遮断されて、脳が外界から孤立して働いている状態である。
人間の身体の休息と脳の休息とが微妙に連動していることを知りました。
(2014年5月刊。760円+税)

記憶力の正体

カテゴリー:人間

著者  高橋 雅延 、 出版  ちくま新書
 私は、他人(ひと)からは記憶力がいい奴だと思われているようです。でも、自分では、記憶力がいいのか悪いのか、よく分からないというのが正直なところです。
 記憶力がいいという意味では、私は高校生だったころ、歴史は日本史も世界史も得意中の得意でした。年代も人名もよく覚えていたものです。記憶力が悪いという点では、歌詞はまったく覚えることができません。人の名前も、すぐに忘れてしまいます。
 好きこそモノの上手なれ、というとおり、歴史は大好きでしたから、その論理的帰結を理解すると、忘れることがありませんでした。歌のほうは、小学生のころから苦手意識があり、今でもカラオケと聞くとすぐに逃げ出してしまいます。人の名前は、好きな人だと一生忘れることがありません。要するに、人間の記憶というのは、感情と深く結びついているのですよね。
 この本を読んで、人間の記憶力について、本当に勉強になりました。
 人間は自然にそなわった忘却力のおかげで、次々に起きる新しいことを覚えたり、自分の考えを先に進めていくことができる。
 ありがたいことに、どれほど辛い記憶であっても、時間の経過とともに次第に忘れられ、その辛さが軽減していく。バルザックは、「多くの忘却なくして、人生を暮らしてはいけない」と語った。つまり、忘却力がなければ、いつまでも辛い記憶にとらわれ、人生を前に進めることができないのだ。
 忘れるといっても、二つの意味がある。一つは、記憶が消滅してしまうこと。もう一つは、どこかに記憶としては残るけれど、それをうまく引き出せないケース。
 長期間にわたって細部まで鮮明なまま保存されると思われていたフラッシュバブル記憶にも、多くの記憶違いが起こることが判明している。
 感情的ストレスの強さは、ある適切なレベルまでは記憶を欲するが、その最適レベルを超えると、今度は逆に記憶が悪化してしまう。
 後悔にも二つある。「やったこと」に対する後悔と、「やらなかったこと」に対する後悔。年齢に関係なく、同じ後悔でも、「やったこと」の後悔よりも、「やらなかったこと」の後悔のほうが、いつまでも記憶にとどまる。
 完了した行動よりも、未完了の行動の方が記憶によく残る。これをツァイガルニク効果と呼ぶ。
 未完了課題のほうは、やり終えることができなかったという「心残り」があるため、自然に、何度もその課題を考えてしまう。この反芻が未完了課題の記憶を長く記憶にとどめることになる。
 本人の意識のなかから、トラウマ体験が切り離され(解離)、もはやその体験を意識的には思い出せなくなってしまう。これを解離性健忘という。
 解離になることによって、耐えられない破局的な苦痛を切り離すことができる解離状態になることができる。解離状態になることで、妥協できない葛藤を解消する。つまり、現実の強制から逃れることが可能になる。
 3歳より前の自分の記憶を思い出せる人はいない。なぜか?
 子どもは、1歳前後でことばを話せるようになるが、3歳前後で過去の出来事について断片的なものから、構造をもったものへ劇的に変わる。子どもの過去についての語り方が激変し、そのことによって、その体験が長く記憶に留まるようになって、幼児期健忘は終わる。
 要するに、構造的な話し方ができるようになると、その前の断片的な話し方は追いやられてしまい、構造的な話し方にみられる記憶こそが繰り返し頭のなかに定着してしまうということなのでしょう。やっと、私の長年の謎の一つが解けました。
 不快なことを忘れ去るためにはどうしたらよいか?
 嫌なことであっても一度だけは他者に語るべきだ。語るためには話を組み立てなければならず、そのためには、自分と他者が理解できるように構造化しなければならない。理解可能な語りとして加工することで、理解できない理不尽な細部は消え去る。
 他者に語る作業では、相手が理解できるように、その内容を整理し、首尾一貫性をもたせなければならない。このことによって解離した身体記憶の断片が一貫性をもつようになり、自らの記憶として統合される。忘れたければ、二度と語らないでおけばよい。
他者に語る作業こそが、私たちの記憶に対して大きな影響を与える。
記憶の定着に重要なのは、思い出す回数を増やすこと。だから、同じ時間だけ勉強するのなら、やみくもに何度も参考書を読むよりも、何度も問題集を解いた方が記憶にとって有効なのだ。
 私たちの記憶は、決して生のまま丸覚えされるものではない。必ず、何らかの解釈を通して変容されてしまうものなのだ。
 「現在の呪縛から解放される」ため、知らないうちに、記憶をつくり変えてしまうこともある。
 人間の記憶とは、必ずしも正確な再現ばかりではない。
 とても納得できる記憶力の本でした。みなさんに、一読されることを強くおすすめします。
 ちなみに、私はフランス語の単語もよく覚えられません。でも、長年やっているうちに、どうにか聞きとれるようにはなりました。うまく話せないもどかしさを痛感しつつ、毎朝、CDを聞いて聞きとりしています。
(2014年6月刊。840円+税)

大学教授がガンになってわかったこと

カテゴリー:人間

著者  山口 仲美 、 出版  幻冬舎新書
 体験者が、とても率直に経験を語っていますので、大変参考になりました。でも、東京だからこそ、こんなに医師について選択の幅があるのではないか、田舎に住んでいたら、これほど選択するのは難しいだろうな・・・、かすかな不安も覚えました。
 ネットで病院を調べることは田舎でも出来ます。だけど、身近にいい病院がいくつもあるとはとても思えません。
 それはともかくとして、ともかく実践的かつ実務に役立つ内容です。
 著者は、まずは大腸ガンが判明しました。
最終的には自分で決断する以外にない。自分で選んだものは、たとえ結果がまずくても、覚悟が出来ている。自分で病院を決定する。これは患者の大事な心得だ。
 病院選びは、とても重要なのである。それによって生死が分かれることがある。病院については、義理・人情を取っ払って、別の病院で診てもらう決断が必要。セカンド・オピニオンだ。
セカンドオピニオンを受けるためには主治医にその旨を申し出て相談し、主治医の書いてくれた紹介状と検査結果のデータをもってセカンドオピニオンを仰ぎに行くという手順を踏む必要がある。
 ええーっ、これって、案外に面倒なことですよね・・・。これまでは気軽に他の医師の意見も聞いてみようということにはなりませんね。
 最初に選んだ病院がダメな病院だと思ったら、できるだけ早く他の病院へ移ること。そうしないと、あたら命を失うことになりかねない。
選んだ病院がよかったのか、ひき続き観察し続ける必要もある。
 人気のある病院には、なかなか入院できないというデメリットがある。
個室の良さは、トイレが占有できること。大腸ガンの手術の前後には、世の中でトイレほど大事なものはない。トイレは親友だ。出血はないか、尿は出るか、ガスは出るか、便は出るか…。トイレに通いつめ、吐くこともある。そして、睡眠時間が確保できる。これらは、出費の多さに変えられないメリットなのである。
著者は時間をかけて気持ちを立て直し、ようやくガンである事実を受けとめ、前向きに対処する気になった。
そして、著者は、さらに、すい臓にもガンがあることが判明したのでした。
手術を受けた患者にできる唯一最大の回復術は、身体を動かすこと、これに尽きる。術後すぐに体を動かし、食事をきちんと食べる人の回復力はすごい。
 抗がん剤は、細胞を殺す作用をもつ薬剤。コースがすすむごとに毒性が蓄積され、だんだん体がつらくなっていく。抗ガン剤をやめる決断を下すのには、むしろ継続するより勇気がいる。ガンの種類によって、抗がん剤の効き目は違う。
 熱い湯には入らないこと。がん細胞とたたかってくれるリンパ球を減少させてしまう。お腹は温める。冷やしてはいけない。
寝る前に、お白湯(はくとう)を200cc飲む。毎日、良質のオリーブ・オイルをスプーン一杯のむ。また、ヨーグルトを毎日食べる。
 ぜひとも、著者には元気に長生きしてほしいと思いました。
(2014年3月刊。800円+税)

セラピスト

カテゴリー:人間

著者  最相 葉月 、 出版  新潮社
 重たいテーマの本です。読んでいると、気分が沈んできます。救いはあまり感じられませんが、人間とは、どういう存在なのかを知るためにも最後まで読みとおしました。
ベストセラーになった『絶対音感』を書いた著者は双極性障害Ⅱ型。昔は躁うつ病といわれていたが、Ⅰ型は激しい躁状態がくり返し訪れるのに対して、Ⅱ型は、それほど顕著な躁ではない軽躁状態が繰り返される。双極性障害Ⅱ型では、気分調整薬が微量処方される。
 患者の沈黙に絶えられない精神科医は、心理療法家としてはダメ。
 患者の苦悩に寄り添い、深く「関与」しつつ、一方で、その表情や行動、患者を取りまく状況に対しては冷静で客観的な「観察」を怠らない。それは、沈黙する患者のそばに何時間でも黙って座り続け、患者のコトバ一つ一つに耳を傾ける心理療法家としての姿勢と、その一挙一動に目をこらし、客観的なデータを得ようとする医師としての姿勢をあわせもっている。
対人恐怖症、赤面恐怖の人がすごく減っている。いまは、葛藤なしに引っ込んでしまっている。人間関係の日本的しがらみのなかでフラフラになったのが赤面恐怖だった。それがなくなった代わりに、途方もない引きこもりになるか、バンと深刻な犯罪を引き起こすかになった。両極端のようでいて、その違いは紙一重である。これは、数々の凶悪犯罪が証明している。
 大企業につとめる社員のなかで心の病で入院する人が、2割ふえた。うつ病などが54%でもっとも多く、パニック障害などの神経症性障害をふくめると8割になる。世代別では、30代、40代が3割以上を占め、働き盛りの人々が追いつめられている。
 カウンセラーの三原則は、カウンセラーは自らを偽ることなく、誠実さを保ちながら、クライエントに深い共感をもって、ありのままを受け入れるというもの。
 一人前のカウンセラーになるには、25年かかる。
 クライエントの言うことに、ただひたすら耳を傾けて聴くという態度をとれば、クライエントが自分の力で治っていく。
 言葉は引き出されるものではない。言葉は、自ら、その段階に達すれば出てくるもの。言葉は無理矢理引き出したり、訓練したりする必要はない。それ以前のものが満たされたなら、自然にほとばしり出てくるもの。
 日本人は、言語化するのが苦手な民族だ。それが得意な人は治療者として精神分析を選ぶ。でも、ほとんどの人は得意ではない。ところが、箱庭は、1回みただけで、クライエントの力量も治療者の力量も分かる。見ただけで分かるという直感力が優れているのは、日本人全体の通性だ。
 セラピスト、カウンセラー、精神科医、そしてクライエントの実像と悩みが迫ってくる本です。
(2014年4月刊。1800円+税)

人の命は腸が9割

カテゴリー:人間

著者  藤田 紘一郎 、 出版  ワニブックス新書
 寄生虫博士として高名な著者が腸内細菌の大切さを説明しています。とても納得できる本ですので、私も早速、納豆食を取り入れることにしました。
不老長寿の実現には免疫力を高めることが不可欠。それには腸内細菌の助けが欠かせない。身のまわりの菌の排除は、これに逆行する行為だ。
 免疫力は、身近な病原体と戦うごとに鍛えられ、強化される。細菌やウイルスが怖いと言って平時からむやみに排除してしまっていると、免疫機能は鍛えられる機会を失い、弱体化してしまう。
 善玉菌優性の腸をつくるには、悪玉菌の助けが必要。赤ちゃんには、とにかく多くの菌と触れあわせること。赤ちゃんが舐めたがるものは、なんでも舐めさせること。ただし、化学物質や薬剤、食品添加物は避ける。
 度を超した清潔志向は、自分や家族の身体を病原菌に弱くする危険性を高める。
 日本人の腸には、日本の発酵食品が最適。植物性乳酸菌は、動物性乳酸菌よりも胃酸に強く、生きて腸まで届きやすい。
免疫の7割は腸で築かれる。残り3割の免疫がつくられるのは、心。免疫を向上させる笑いは楽しく笑うこと、大声で笑うと、いっそう効果的。
 善玉菌優性の腸を保つことができていれば、肉も卵も命を縮める原因にはならない。腸の働きが悪くなると、消化吸収能力が低下するだけでなく、腸内バランスが乱れて、免疫力も低下する。
 人間の腸は、食物からビタミン類を合成する能力をもたない。人間の代わりに合成作業しているのが腸内細菌。
 人間の精神活動に大きく関与しているセロトニンは、その前駆体が腸でつくられる。そのうちの9割がセロトニンとなって腸にとどまり、残りの1割が脳や他臓器へ送り出される。脳にあるセロトニンは、全体量のわずか2%にすぎない。
 腸内細菌の活動が活発だと、セロトニンの分泌量が増え、大便の量も多くなる。
 大便は基本的に体に悪いものではない。問題なのは、大便が長いあいだ腸内にとどまり続けること。大腸に滞留することによって腐敗がすすみ、善玉菌が毒素を発生させるようになることが問題なのだ。
 大変勉強になりました。腸内細菌ってこんなに存在価値があるのですね・・・。
(2014年3月刊。800円+税)

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