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こんなにおもしろい弁護士の仕事

カテゴリー:未分類

出版社:中央経済社
 年間売上1億円という東京の弁護士(千原曜、41期、42歳)による弁護士の実情を紹介した本です。地方の弁護士について、次のような不正確と思われる記述があります。たとえば、大都市の弁護士のように毎日、朝から晩まで働く必要がない。相手方につく弁護士は多くの場合に顔なじみなので、徹底的に追いこむことはしない。
 だから和解成立はスムースで気楽な場合が多い。刺激に乏しい反面、ストレスも少ない。などなど・・・。
 しかし、千原弁護士の裁判所が大企業や官庁など社会的な強者に大変弱いこと、高裁が非常に独善的で好き勝手に訴訟進行しているなどの指摘は、同じ弁護士として大いに共感できます。福岡高裁もひどいものだと私は、いつも嘆いています。
 また、横領事件の多さに千原弁護士は驚いていますが、私も、弁護士になってもっとも驚いたことの一つが、世の中では業務上横領がまさに日常茶飯事だということです。
 この本を読みながら、私たちはもっともっと地方の弁護士にも知的刺激の大きい仕事はあること、地方では人権救済の要請が大都会以上に強いことを学生(法科大学院生)や司法修習生に訴えていかなければいけないと痛感しました。

戦争広告代理店

カテゴリー:未分類

出版社:講談社
 この本の著者・高木徹氏は現在、NHK福岡放送局に勤務中のようです。2000年10月のNHKスペシャル「民族浄化へユーゴ・情報戦の内幕」(私は見ていません)を本にしたものです。
 ユーゴスラビアの内戦について、アメリカの大手PR企業と結びついて情報操作で世論を「セルビア=悪玉」に導いていった過程が手にとるように具体的に暴露されていて、なるほどとうなずいてしまいました。
 「民族浄化」「強制集要所」などの言葉がキャッチコピーとして練りあげられ、写真のキャプションや証人が簡単につくり変えられ、マスコミが踊らされ、またマスコミが狂奔していく様子には、心寒いものがあります。アメリカ軍のイラク占領を支えに自衛隊がイラクに出かけようとしている今、ぜひ、一読をおすすめします。

金で買えるアメリカ民主主義

カテゴリー:未分類

著者:グレッグ・パラスト、出版社:角川書店
 映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」(まだ、KBCシネマで上映しています。まだ見ていない人はぜひ見てください)の監督マイケル・ムーアによるアホでマヌケなアメリカ白人」(柏書房)と似たところのある本です。
 ブッシュ大統領が誕生するとき、フロリダ州で得票数のカウント間違いが大問題になりました。しかし、私は、次のようなことは知りませんでした。
 フロリダ州で有罪判決を受けたら、選挙権は永遠に失効してしまう。フロリダ州には前科のある住民が50万人近くいて、彼らには選挙権がない。その半数近くはアフリカ系アメリカ人であり、彼らは民主党の支持層である。
 ほかの州で有罪判決を受け終わった重罪犯で、フロリダ州に移り住んだ人々はフロリダ州で選挙権をもつはずだが、そのような4万人ほどの人々が選挙人登録できなかった。
 ブッシュとゴアの得票差・537票をはるかに上まわる人々が投票できなかった。本当にひどい話です。アメリカの民主主義って、こんなものなんですね。

ボノボ

カテゴリー:未分類

出版社:TBSブリタニカ
 「政治をするサル」(平凡社)という、とても面白い本があります。サルがボスの座をめぐって合従連衡をくり返している様子が描かれています。サルと人間がいかに近い存在か、実感できます。その著者であるファランス・ドゥ・ヴァールによる、写真集みたいな本です。ボノボは、かつてピグミー・チンパンジーと呼ばれたこともありました。今では、ヒトにもっとも近い類人猿として有名です。
 詳しく文字で紹介するのははばかられますが、ともかく、いかにも人間的な生態です。というか、人間はもっとボノボに学んだらいいと強く思います。
 ぜひ一度、手にとって写真と解説文を読んでみてください。

日本の刑務所

カテゴリー:未分類

出版社:岩波書店
 日本の刑務所は、そこに入ると同時に、いかにその者の社会復帰を妨げるかに、すべての施策が向けられているとでも言いたくなるような現状です。
 私も、福岡県弁護士会の会長として昨年3月、福岡刑務所を見学しました。刑務所で働く職員の苦労は本当に大変なことだと察します。しかし、あまりにも閉鎖した社会であってよいのか、疑問に思います。
 現在の受刑者(4万7千人強。ちなみに未決は1万人)の特色は、頻回受刑者(全体の52.5%。5度以上が3割以上)、高齢者(60歳以上が9.3%)、薬物犯罪者(4人に1人)、そして暴力団関係者(4人に1人)が多いということです。
 この本を読んで、いくつか認識しました。
 その1は、欧米では、受刑者にも選挙権があり、刑務所内で不在者投票している。
 その2は、刑務作業について、欧米では一般社会の労働者と同等かそれに近い雇用条件となっている。
 その3は、欧米では第三者機関による監視が一般化しつつある。
 日本の刑務所では、個人的な生活領域がなく、他律的で受動的な生活をするため、主体性が失われ無気力になりがちで、外部から隔絶した特殊な刑務所社会に順応していくことが社会復帰の妨げとなっています。

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