法律相談センター検索 弁護士検索
アーカイブ

カテゴリー:未分類

著者:乃南アサ、出版社:新潮文庫
 息もつかせぬ読み物です。女刑事の運命やいかに・・・。昔むかし見た、嵐寛寿朗が馬に乗って危機に陥った晋作少年を救いに来る場面を思い出します。映画館内は騒然として、大人も子どもも総立ちです。「早く、早く」と掛け声が飛び、「天狗、急げー」と言いながら拍手が鳴りやまない。私も手に汗を握り、息をのんでスクリーンを見つめました。
 女刑事が、つまらない相棒のやっかみから1人で足取り捜査しているうちに犯人たちに捕まり、人質にとられてしまいました。さあ、警察は面子にかけても同僚の刑事を救出しなければいけません。舞台は東京から熱海の温泉街に移ります。今や、熱海もさびれてしまって、閉鎖した高級旅館が犯人たちのアジトとなり、また女刑事のまた監禁場所でもあります。そこから、どうやって救出するか。
 読み手をぐいぐいひっぱっていきます。次の展開を知りたくてたまりません。私は、口答弁論の間際まで読みふけっていました・・・。

道路の権力

カテゴリー:未分類

著者:猪瀬直樹、出版社:文芸春秋
 高速道路の建設と道路公団民営化をめぐる攻防は、なにやらみっともなくゴタゴタしているという感じでした。この本は、道路公団民営化委員会の一員となった著者によるレポートです。したがって、著者の目からすべてが描かれていますので、果たして問題の本質が何であったのか、客観的には分からないところがあります。
 それでも、官僚の抵抗のすさまじさはよく描かれています。小泉首相が官僚の上に君臨して、超絶しているかのような印象を与えていますが、決してそんなことはないと思います。小泉首相も、官僚機構のなかで漂うひとりでしょう。
 官僚が強いのは、マスコミを操作できる力をもっていることにあります。逆に言うと、マスコミは官僚の言いなりに動いているといって過言ではありません。毎日毎日、官僚と接して、そこから情報をもらい、その意味づけをレクチャーしてもらうのですから、そのご機嫌をとらないわけにはいきません。
 民営化委員会が記者会見するときも、事務局主導、すなわち官僚の描くシナリオどおりにプレス発表がなされます。
 日本道路公団は、そのOB2500人が700社のファミリー企業に天下りしているそうです。パーキングエリアのレストランなども官僚の利権の対象のようです。高速道路に別納割引制度なるものがあることを初めて知りました。なんと30%もの割引があるというのです。誰がその適用をうけるのかというと、当然よく高速道路を利用する運輸業者です。これは分かります。ところが、なんと異業種組合という抜け道があるのです。つまり、異業種組合なるものに加盟さえすれば、30%もの割引がされるというのです。とんでもない話です。もちろん、この組合はサヤ抜きと称して10%ほど中間マージンをとります。それでも20%も安くなるのです。これを大々的にやったのが、今、道路公団から追われて係争中の藤井前総裁だというのです。道路族の闇の底知れぬ深さを感じさせられました。道路、とくに高速道路は不法な利権の対象そのものなのです。
 いま、我が家のすぐ近くに田んぼを埋め立ててバイパスがつくられつつあります。ホタルの出る小川もつぶされようとしています。本当にバイパスが必要なのか、この本を読むと、ますます疑ってしまいます。

ブルゴーニュ地方の料理

カテゴリー:未分類

著者:松本浩之、出版社:駿河台出版社
 日弁連の公害問題対策委員会のヨーロッパ視察でブルゴーニュ地方に出かけたのは、17年も前のこと。ブルゴーニュ地方のボーヌという小さな町の小さなホテルに泊まった。そのホテルのレストランは、あとで調べると星が2つついていた。さすがに美味しかったが、記憶としてはっきり残っているのは、料理よりも食前酒のキールだ。白ワインに黒すぐりの甘みが入って、ピンク色になる。まるでロゼ・ワインのようだ。口のなかがさっぱりし、次なる料理への期待をふくらませる。とはいっても、食べ過ぎたのか、時差ボケだったのか、夜中にお腹の調子が悪くなって目が覚め、トイレにかけこんだ。それでも、お腹がすっきりしたせいか、翌朝は何事もなく、ワイン街道をタクシーを連ねて走った。ワインの試飲をさせるカーブ(地下の穴蔵)にも入ってみた。いくらでも試飲はできるのだが、奥に行くほど美味しいワインがある仕掛けなのを知らず、初めの方で飲みすぎて、せっかくの美味しいワインを味わえなかったのは、今でも心残りだ。
 この本には、ロマネ・コンティのブドウ畑の写真も出ている。たしかに、こんなブドウ畑だった。ブドウの木がこんなに背が低いのかと驚いた覚えがある。
 ブルゴーニュ料理がレシピつきの写真で紹介されている。川魚のムース(クネル)は、リヨンで食べた。あっさりした味わいだった。ブレス産鶏も同じくリヨンで食べた。鶏も産地表示があるのに驚いたことを今もはっきり覚えている。
 ウサギは私はマルセイユの港のすぐそばの店で食べた。脂肪がきつくてあまり美味しいとは思えなかった。美食の町、ブルゴーニュにまた行ってみたい。

大江戸日本橋絵巻

カテゴリー:未分類

著者:浅野秀剛、出版社:講談社
 江戸時代の人々がどんな生活をしていたのかに関心をもっている人には必見の本です。なにしろ三越デパートの前身である三井越後屋から、コンビニの先祖様まで、お江戸・日本橋近辺の商店街と、そこを行きかう人々1700人が表情豊かに描かれているのです。全長12メートルという、すごい絵巻です。残念なことにドイツのベルリンに原図はあります。
 商店の様子を見ても面白いのですが、やはり、道行く人の表情に魅かれます。足の不自由な人も歩行器をつかって町を行きます。ひな祭りの飾り人形も道路中央で売られています。武士も商人も、往来ではのびのび歩いていて、身分の差を感じさせません。女性も子どもも、のびやかに歩き、まるでお祭りでもあっているようです。
 新聞号外を読みあげる男たちがいて、人々が輪になって聞きいっています。乞食も1人だけ描かれています。ケンカして拳(こぶし)を振り上げている男たちもいます。
 絵を見るだけでも楽しいのですが、詳しい解説がついていますから、江戸の様子がさらによく分かります。店には道路に張り出して看板がたっています。これは京都や大阪では禁じられていました。今も、東京ではネオンサインがすごく華やかですが、江戸時代からの伝統なんですね。でも、ヨーロッパに行くと、日本のように華やかな看板はなく、昔のままの都市景観が維持されていて、考えさせられます。
 ビジュアルに江戸情緒を味わえる本です。

商売の原点

カテゴリー:未分類

著者:鈴木敏文、出版社:講談社
 あとがきを読んで、おおーっとのけぞってしまいました。日頃、モノカキを自称する私にとって衝撃的なことが書かれていました。この本の著者はセブン・イレブンの鈴木敏文氏となっていますが、実際のライターは福岡出身の緒方知行氏です。その緒方氏は視力ゼロに近いので、鈴木氏の講演速記録を読みたいけれど読めない。そこで、大学生のアシスタントに速記録全文を読みあげ録音テープに収録してもらいました。これだけで、実に2年かかったそうです。120分もので80本のテープになりました。それを緒方氏が聞いて、(恐らく)口述し、アシスタントがパソコンに入力していきました。これに、また2年の歳月がかかっています。そうやってできあがったのが、『商売の創造』と、この本の2冊だというのです。さすが、モノカキの世界にも上には上がいると感嘆してしまいました。すごい執念です。
 鈴木氏は毎週毎回、休むことなくセブン・イレブンの最前線に立っているマネージャーに話をし続けてきました。この1300回もの会議の速記録のエッセンスが、2冊の本にぎっしり詰まっています。ですから、面白くないはずがありません。商売人に役立つものであると同時に、私たち弁護士にとっても大いに参考になります。たとえば、弁護士も大増員の時代を迎えていますが、その競争激化をどうとらえるかということです。鈴木氏は次のように語っています。
 当初は、人口2〜3万人に1店舗でないと、売り上げは上がらなかった。いまは人口が急増し、5000人以下でも十分にやっていける。3000人に1店舗でも成り立つ。コンビニ業界でも、競争相手、つまり仲間が増えることは歓迎すべきこと。問題は、そのなかで、どれだけ差別化できるか、ということ。競争するようになって売り上げが半分に減ったというのなら、競争がないとき、基本的なことを手抜きしていた。そこへ比較できる対象が出現したので手抜きがきわだって目立ち、売り上げを減少させてしまった。これが真相だ。
 セブン・イレブンの基本4原則は、品ぞろえ、鮮度管理、クリンリネス(清潔)、フレンドリーサービス。お客様が不要と思っている商品を押しるけるのではなく、提案された商品をお客様が買って、「ああ、買ってよかった」と思えるようなものを、コンビニ側で用意して、すすめていく。
 夏に桃をおいしく食べるには、食べる2〜3時間前に冷蔵庫に入れておくのがコツ。それより長く冷蔵庫に入れっぱなしにしておくと、甘みがどんどん抜けてしまう。
 お客はタンスの中が一杯だから、衣料品をもう買わないということは絶対にありえない。それまで持っているものとは違った、心が動かされるような新しいものを提供すれば、必ずそこに購買意欲が生まれてくる。
 いまの消費は、経済学の分野というより、完全に心理学の分野にある。おもにお客様の心のもち方によって価値決定される時代だ。たとえば、スーパーで羽毛布団を売るとき、1万8000円の商品と5万8000円の商品を並べておくと、5万8000円の方はあまり売れない。ところが、あいだの3万8000円の商品を置くと、5万8000円がよく売れるようになる。1万8000円と5万8000円とではあいだの差が開きすぎているので、どうしても安い方に目が向く。ところが3万8000円の商品をはさむと三者の比較がしやすくなる。お客様はこう考える。1万8000円と3万8000円とではここが違う。3万8000円と5万8000円とでは、ここが違う。だったら、ちょっとくらい高くても、5万8000円の方が買い得ではないか、と。これは、心理学で説明できるもので、経済学では説明できないこと。
 従業員やパートのための教育マニュアルとか教育のためのビデオというのは、まったく不要、有害。教育というのは画一的なマニュアルで示すことはできない。
 さすがと思わせる内容がぎっしり詰まった本です。

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.