法律相談センター検索 弁護士検索
アーカイブ

弁護士活動を問い直す

カテゴリー:未分類

著者:和田仁孝、出版社:商事法務
 若手の学者による弁護士への批判(注文)がもりこまれた本です。
 たとえば、弁護士の多くは司法試験の合格者を1500人に増やしたことで「質」が低下したとよく言います。しかし、弁護士の「質」とは一体何でしょうか?
 弁護士業務の「質」とは、法廷で的確かつ効果的に代理人として活動し、依頼者の権利を守るとともに、公共的正義を推進できるような能力にかかわるもの。高度の法的知識を知悉し、かつ、その推論構成能力に長けていることは弁護士としての必須の前提。これを参入制限によって、「縮小均衡」で保護してきた。
 私たち弁護士は「在野」という言葉をよく使います。しかし、本当に弁護士は「野」にあったと言えるのか、厳しい問いかけがなされています。
 利用者である国民の目からみて、弁護士は国民一般にはアクセス不能で不透明な「専門領域」で活躍する縁遠い専門家に過ぎなかったのではないか。弁護士は「野」にあったというより、人々から見れば信頼はできるが遠いエリート専門家であり、アクセス不能な「専門権力」のひとつだったのではないだろうか。
 うーん、そうかもしれません。私にも胸に手をあてて思いあたるフシがあります。
 さっと読める本ですが、反省させられるところも多い内容です。

アメリカの秘密戦争

カテゴリー:未分類

著者:セイモア・ハーシュ、出版社:日本経済新聞社
 セイモア・ハーシュと言ったら、アメリカがベトナムに侵略して戦争していた当時、ソンミ村虐殺事件をスクープした記者として有名です。60歳代半ばになってなお、現役の第一線記者として頑張っているそうです。
 イラクのアブグレイブ刑務所でアメリカ軍がイラク人を虐待していたことをスクープしたのも、このセイモア・ハーシュ記者でした。この刑務所を統括していたカルピンスキー准将は女性でした。この司令官の姿勢が兵士たちに何をやってもよいと思わせたとされています。
 この事件が発覚した端緒も紹介されています。イラクから任務を終えて帰国してきた女性兵士が暗い顔をしてふさぎこんでいたので、心配した家族が女性兵士がイラクからもち帰ったコンピューターを見たところ、おぞましい画像が次々に出てきたというのです。例の裸の人間ピラミッドなどの写真です。
 9.11テロ以降、アメリカは、法的手続き抜きでアルカイダのメンバーを1人ずつつけ狙って殺すことをテロとの戦争における新種の軍事行動として正当化している。
 こんなことをしていたら、アメリカは、さらにひどいしっぺ返しを受けるのではないでしょうか。そんなアメリカに追従するばかりの日本だってどうなるのでしょうか。私は本当に心配です。

検証・日本の組織ジャーナリズム

カテゴリー:未分類

著者:川崎泰資、出版社:岩波書店
 このところ新聞やテレビに、チェック機能のみならず特ダネやスクープも少なくなっているように感じる。私もまったく同感です。つまらないこと、どうでもいいことは大きく取りあげ、本当に私たちが知らなくてはいけないことはちっとも大きく報道されていない。そんな気がしてなりません。たとえば、イラクのサマワです。日本の自衛隊が出かけて1年になります。いったい、どんな町なのか、NHKは特派員を出して、定期的に街の様子を知らせてほしいと思います。いえ、自衛隊に反対している人の声だけを紹介しろというのではありません。賛成している人もいていいのです。もちろん反対している人が多いんだったら、それも報道すべきです。いまサマワの市民がどんな生活をしているのか、日本人は知る必要がありますし、NHKはそれを知らせる義務があるように思います。
 ところが、この本が強調しているように、イラク戦争が始まったとたん、NHKも一般マスコミも記者は全員イラクから撤退してしまいました。ヨーロッパの報道機関は残ったのに・・・。そして、NHKは自衛隊員のとったビデオをそれと知らせずに放映したのです。なんとも情けない話です。
 NHK福岡放送局の局長室(応接室)に入ったことがあります。まるで大企業の社長室という雰囲気なので、居心地が悪くなりました。海老沢前会長の往生際の悪さはひどいものでした。まったく私物化しています。天下の公共放送が泣きます。
 NHKの組合員の6割がNHKを政府の御用機関と考えているそうです。でも、今や御用機関どころか、国家機関そのものではないのか。著者は厳しく指摘しています。世論調査の報道にしても、政府に都合が悪い結果が出たときには報道しないというのです。ひどいものです。そう言えば、NHKはイラク戦争反対の集会やデモ行進をまったく報道しません。憲法改正反対の声をあげた有識者による「九条の会」についても報道しません。
 やっぱり、テレビはNHKをふくめて見る価値がないとアンチ・テレビ派の私は考えています。いかがでしょうか・・・?

名主文書にみる江戸時代の農村の暮らし

カテゴリー:未分類

著者:成松佐恵子、出版社:雄山閣
 福島県にあった二本松藩。そこで長く名主だった安斎家に残されていた人別帳をもとにして、江戸時代の中後期の農村の実情を探った本です。日本人は本当に昔から記録を残すのが大好きだったんですよね。モノカキを自称する私は、ついうれしくなってしまいます。
 人別帳には、氏名、年齢、続柄などのほか、出生・死亡・縁組など、ことこまかに記入されています。だから、7割が嫁入婚、残る3割が婿入り婚。4人に1人は最初の結婚を離別で終えていて、3分の2の夫が再婚している。これは女性(妻)についても同様で、離婚率はきわめて高かった。こんな事実が分かります。
 名主(なぬし)は、必ずしも世襲ではなく、一般の百姓からの新規取立も3割をこえていた。不正があればもちろんのこと、状況に的確に対応できない名主も罷免されることがあった。
 当時の平均寿命は、男子が38.8歳、女子が35.7歳で、今とちがって男子が少し高かった。明治20年代になって、ようやく平均寿命は44歳台になった。ところが、江戸時代にも65歳以上の人はかなりいた。この村では、最高時13%だった。2003年度の日本の全国平均が19%だから、決してひけをとらない数字だ。
 人口減をくい止める対策として、二本松藩は、赤子養育手当を取り入れた。第3子に金2分、第4子に金3分、第5子以上には金1両が与えられた。この資金は藩からの拠出金のほか、豪農豪商からの献金による。金融業をしている人物が1人でポンと1000両を拠出するということもあった。ものすごい金額です。
 村ではバクチやケンカが多くて、その取締りに苦労していた。なんてことも分かりました。日本人が競馬やパチンコを好きなのは昔からの習性なんですね、きっと・・・。

ピエールの司法修習ロワイヤル

カテゴリー:未分類

著者:石本伸晃、出版社:ダイヤモンド社
 私のころの司法修習は2年間。のんびり、伸びのびと充実した2年間でした。今は短縮されて1年半です。この本を読むと、いかにもあたふたした修習生活で、慌ただしさすら感じます。もっとゆっくり、じっくり見習い期間を保障すべきだとつくづく思いました。私のときも、小さな声で、2年間も国家公務員並の給料を国からもらって勉強できるなんて、すごい。どうしてこんなに優遇されるのか。そんな疑問がささやかれていました。医師だって自己負担、自己責任でやっているのに、なぜ法曹養成だけ特別扱いするのか。弁護士なんて金持ちのために弁護するような存在じゃないか。そんなものを養成するのに税金をつかうなんて、実にけしからん。こんな意見は以前からありました。今は、それが表面に浮上して強く叫ばれるだけでなく、実行されてしまったところが昔とは大違いです。
 いいえ。私は、医師養成だって、キューバのように学生に負担させずに国家で養成した方がいいと考えています。そして、医師は基本的に準公務員扱いにするのです。医術で金もうけするというのは、なんだか割り切れないからです。もちろん、弁護士だって、税金で養成された以上、社会奉仕活動するのは当然の責務です。だから、いま現に、多くの弁護士が費用的には割のあわない国選弁護を担い、また当番弁護士に出動しているのです。法曹養成の世界に税金を出し惜しみすると、金もうけ以外はまったく考えもしない弁護士が爆発的に増えるのではないかと私は心配しています。やっぱり、社会正義の実現そして国民の基本的権利を擁護するのに使命感を燃やす弁護士がたくさんいてほしいものです。
 この本は司法修習生としての生活をホームページにリアルに紹介していたのを本にまとめたものです。私たちのころには考えられもしないメディアがあることを実感します。
 デパートのスリ見学の話が出てきます。私も修習生のとき、川崎競馬場にスリ見学に行きました。ビギナーズ・ラックで500円買って2000円ほどもうけました。1万円くらい買っておけばよかった。そのとき思いました。馬券売り場で万札の束が馬券に変わり、何分か後に紙クズと化して空に舞ってしまう現場を見て、ああ、世の中ってこんな(馬鹿げた)ことにお金をつかう人もいるのか。驚いたことを昨日のように思い出します。
 また、裁判所での修習のとき、検察官は裁判官室に足しげく通って裁判の打合せをしているのに、弁護人はちっとも姿を見せず不思議がる話が出てきます。私も同じような体験をしました。裁判官は弁護人が来るとなると身構えますが、検察官だと同僚が立ち寄って世間話をする。そんな感覚で応対している。そのような気がします。
 私たちのころは、青法協(青年法律家協会)が活発に活動していました。50人のクラスに20人ほどの会員がいて、自主的な研究会や連続講座などをしていました。銀座の映画館にサッコとバンゼッティの冤罪事件を描いた映画(ジョーン・バエズが主題歌をうたっています)を見に行ったことも思い出しました。
 クラスの自治会のような活動も盛んで、私も司法研修所当局との交渉の場に出たことがあります。のちに最高裁長官となった草葉良八氏が司法研修所の事務局長として応対しました。いかにも官僚的で横柄な態度だったので、みんなで憤慨しました。といっても、対する私も当時24歳、生意気盛りではありました。
 ホームページはありませんでしたが、代わりに私は後期修習のとき、しばらく日刊クラス通信を発行していました。昔も今もモノカキなのです。あまりうまくはありませんが、ガリ切りをしたのです。ガリ切りって、分かりますか? ガリ版印刷です。学生のころセツルメント活動にうちこんでいたので、ニュースをつくるのは苦にもなりませんでした。研修所での即日起案は、できる人たちのを寄せ集めましたから、簡単なものです。青法協会員とシンパ層には、できる修習生がたくさんいました。そうそう、青法協活動を探るスパイのような修習生もいましたよ。堂々と活動してたんですけどね・・・。
 いろんな経歴の人と出会い、本当に人生に役立った2年間の修習生活でした。たくさん税金のムダづかいをしている日本が、こんな大切なものを削ってしまうのが私には許せません。人材を育てるって、やっぱり国家の大切な事業ではないのでしょうか・・・。

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.