法律相談センター検索 弁護士検索
アーカイブ

戦争民営化

カテゴリー:未分類

著者:松本利秋、出版社:祥伝社新書
 2005年5月、1人の日本人兵士が戦死した。そのことで、にわかにクローズアップされた戦争代行業、民間軍事会社。世界に300社あり、総年商は10兆円を超す。売春とともに人類最古の職業である傭兵産業の実態に迫る。
 このようにオビに書かれています。
 戦争によって利益を得る連中が確かに存在するのです。この本は住友商事、NEC、三菱重工がイラクの戦後復興事業に参入して利益を得ようとしていることを明らかにしています。このところ、日本のマスコミの怠慢から、この種の報道がありませんでした。
 2003年11月2日、住友商事とNECはイラク国内での携帯電話事業につかう通信設備の一部を65万ドル(7,150万円)で受注した。次いで、2004年3月27日、イラク南部のバスラにあるハルサ発電所の修復プロジェクトを三菱重工が600万ドル(6億3000万円)で受注した。これには日本政府の援助金が充てられる。
 うーん、そうなんです。日本のODAのかなりの部分がこのパターンです。日本政府の援助金(もちろん私たちの支払った税金です)が、現地に進出した日本の企業に支払われ、日本国内に環流してくるのです。このとき、日本の政治家に莫大なリベートが支払われます。それは「決まったこと」なのです。知らぬが仏は、私たち日本国民だけです。
 軍事請負会社の最大手であるアメリカのMPRI社は、ペンタゴンと深く密接な関係をもち、アメリカ軍の訓練まで担当している。年間売上は1兆円にのぼる。
 イラクに駐留するアメリカ軍は13万人だが、それをサポートする民間軍事会社の社員は2万人もいる。アメリカ政府がイラク復興事業のために用意していた180億ドル(2兆1600億円)の25%、5400億円が開戦以来、今日までに民間軍事会社に支払われた。
 アメリカ軍の兵士がもらうのは年平均で4万〜5万ドル(450万〜560万円)。ところが、民間の傭兵になると、年収は1800万円から5600万円にもなる。そのほとんどが30代後半から40歳代の男盛りのベテラン戦闘員。
 すでにイラクでは何万人もの市民がアメリカ軍に殺されたと報道されています。その裏に、こうやって戦争を金もうけのタネにしている元将兵たちがいるのです。もちろん、彼らの上にはさらに自らは手を汚さず、ぬれ手にアワで金もうけしているチェイニーなどのアメリカ政府トップたちがぬくぬくとしています。本当に許せないことです。
 現在のイラクでは、バグダットの中心街から空港までの往復1時間ほどの警護を頼んだら、それだけで2000〜3000ドルを警備会社に支払わなくてはなりません。まさにイラクはどこでも戦場なのです。
 この本は、傭兵の歴史が古いこと、史上有名な撤退戦のなかでも、古代ギリシアのペルシアからの大撤退(紀元前401年)ほど困難なものはなかったとしています。へーん、そんな大撤退があったのか、ちっとも知りませんでした。
 ギリシアの傭兵軍がペルシアと戦いを優勢にすすめていたところ、総大将のキュロスが戦死してしまったので、大逆転して、それから6000キロもの大逃走をしたというのです。もっと詳しく知りたいものだと思いました。

俺たちのマグロ

カテゴリー:未分類

著者:斎藤健次、出版社:小学館
 マグロ漁船で7年間コック長をしていた体験談を語った「まぐろ土佐船」(小学館文庫)を読んでいましたので、今度も期待して読みました。いま、著者は千葉の習志野台でマグロ料理を中心とした居酒屋を営んでいます。東京からちょっと遠いのが難点ですが、ぜひ一度は行ってみたいと思っています。
 マグロは世界で202万トンとれ、日本が31万トンとり、ほかに36万トンを輸入している。つまり、世界のマグロの3分の1を日本は消費している。
 養殖マグロ。見た目には立派な魚体だ。その頭に包丁を入れると、まるで豆腐を崩すように包丁が入っていく。天然のマグロだったら、それこそ鋸でさえはね返すほどの堅さがあるのに・・・。これが本当にマグロと言えるのか。
 日本に名高い青森県大間(おおま)のホンマグロ。残念ながら、私は一度もお目にかかったことも、食べたこともありません。2000年の初セリで200キロのマグロ1本になんと2020万円という超高値がついて大騒動になりました。普通でも1本200万円から300万円します。このときは1キロ10万円もの値段がついたのです。シーズン中に、100隻あまりの漁船が出て、1日でたった4本のマグロしかとれないこともあたりまえの世界のようです。いったい、どんな味がしてるのでしょうね・・・。
 津軽海峡はエサが豊富で、そのエサを追う漁群もある。太平洋からきたマグロと、日本海から上ってきたマグロがぶつかる。脂の乗ったサンマ、イワシ、イカなどをたっぷり食べ尽くし、北の冷たい海が身を締める。それが大間のマグロだ。
 300キロ近いマグロになると、牛肉と同じで、数日間寝かせていたほうが深い味になるとのことです。
 やせたマグロとか色の出ないマグロを安く買って、赤身をよくたたき、食用の植物性油脂を混ぜる。よく練りあわせると、大トロでも中トロでも思いのままに仕上がる。これがスーパーや回転寿司で見かけるピンク色のネギトロ。ホンマグロ入りのネギトロというのは、本当は20%以上、ホンマグロが入っていないとダメなのに、実際にはホンマグロのネギトロとして売られている。
 台湾のマグロ船にスカウトされた日本人のベテラン船員の給与条件は次のようなもの。月給40万円。水揚2億円以上のときには、月4万円の手当がつくうえ、水揚げ高の
1.2%の歩合もつく。1航海14ヶ月で4億円の水揚げなら、トータルで1000万円。税金がないので、全額が自分の所得になる。
 いま冷凍マグロは、荷をまるごと売買する一船買取引きに変わり、築地市場に水揚げすることはない。商社が毎日、相場を身ながらマグロをセリにかける。これは1976年に卸売市場法改正でセリを通さない相対取引が認められたから。大手の商社はマイナス60度の巨大な冷凍庫をもち、莫大な資金力で、マグロ船一隻分すべて買い上げる。大手スーパーなどの量販店は、市場を通さず、直接に商社へ注文して、大量に買い付ける。これで商店街から魚屋が消えていく。築地の仲卸も代々受けつがれてきたノレンをおろして閉店するところが出始めた。
 日本のマグロ・ブームの内情と問題点をかなりつっこんで知ることができます。私はこの本を午前中に読みましたので、昼食は寿司屋に入ってネギトロ丼を食べました。ああ、大間のホンマグロのトロをぜひ一度食べてみたい・・・。

美女たちの日本史

カテゴリー:未分類

著者:永井路子、出版社:中公文庫
 いま、女帝を認めるかどうか議論されていますが、著者は、飛鳥時代から奈良時代までは、女帝と男帝は8人ずついて、その比率は五分五分だったのだと強調しています。私も知りませんでしたが、昔から日本では女性が強かったことは体験的な実感としてもよく分かります。女帝は例外でもなんでもないのです。
 推古天皇は、当時の東洋諸国で初めて出現した女帝です。その治世は592年から36年も続いています。中国の則天武后よりも早いのです。その後、元正天皇という未婚の女帝も出現しています。35歳のときのことです。その治世は9年間でしたが、その後も太上天皇として69歳で亡くなるまで共同統治にあたりました。実権を握っていたのです。つまり、女帝が例外だとか、お飾りなど、とんでもありません。
 奈良朝は、天皇家でも貴族でも、一族で殺しあったり、政争や合戦に加わったり、じつに血なまぐさい権力闘争の時代だった。ところが、平安時代になると政争のかたちが変わった。死刑が停止された。権威である天皇が殺されるようなことはなくなった。しかし、平安朝は、あくどいことも平気でやる時代だった。うーん、そうなのかー・・・。
 ぐーんと時代は下がります。日野富子のことが紹介されているなかで、次のように書かれています。
 上流社会では子どもが生まれると必ず乳母がつく。乳母は育てあげた若君がいよいよ成年男子になったとき、セックスについても手をとり足をとって実地教育をすることが多い。つまり、乳母は将軍の恋人でもあった。へーん、そうなんだー・・・。ちっとも知りませんでした。だから乳母の力って無視できないほど強いんですねー・・・。
 戦国時代の政略結婚についても、次のように書かれています。
 この時代は想像以上に情報社会であり、その情報は女性によって婚家から実家へ、実家から婚家へと流れていく。だから、女性を政略結婚の犠牲者だと考えるのは間違いで、彼女たちも国人層の一人としての役目を果たしていた。一方で仲よくしながら、実家に通報してスパイ活動もするというのが当時の女性の役割だった。
 日本史の表と裏に登場してくる女性の果たした役割の大きさを改めて認識させられる本です。まことに日本は昔から女性でもってきた国なのです。私は本当にそう思っています。

かわいい孫の愛し方

カテゴリー:未分類

著者:岡崎光洋、出版社:熊日出版
 甘やかしが孫をダメにする。そんなサブタイトルがついています。なるほど、そうなんです。孫がかわいいからといって、ガマンすることを身につけさせるしつけをせずに、どんどんお金にあかせて欲しがるものを買い与えつづけていったら、孫の人間性をゆがめてしまうのは必至ですよね。
 おじいちゃん、おばあちゃんが、孫へ直接的な甘やかしすぎたり、逆に冷厳すぎたり、また子夫婦の子育てへ過干渉する。これが問題なのです。
 なぜ甘やかしすぎるのか。あるおじいちゃんは、自分の家はかつて貧乏で、何も買ってもらえずに友だちにバカにされた。だから、孫にだけはそんな思いをさせたくない。それだけで、甘やかしているわけではない、と言ったそうです。これでは、おじいちゃんの単なる自己満足でしょう。孫には、ほしいと思っても、ガマンしなければいけないときもあることを教えるべきです。
 父親が父親でなく、心理的には「息子」のままにとどまっている男性がたくさんいる。いつまでもだらしなく、わがままで、大人になっていない。
 おじいちゃんたちの孫への溺愛や迎合がストレートに孫に届きすぎている。
 おじちゃん、おばあちゃんが、子や孫にきちんと伝えるべきことは次の3つ。
 ひとつは歴史。ふたつ目は心の大きさ。そして、命のはかなさ。
 兄弟20日、孫20日。これは、20日もともに暮らすと、お互いにあきてきて嫌気のさすことが多いということ。なんだか思いあたるフシがあります。皆さんはいかがですか。
 たいていの孫は、どんなに祖父母からかわいがられていても、最終的にはいずれは母親を一番慕うようになるし、必要とする。幼いときに、どんなにおばあちゃんっ子、おじいちゃんっ子であっても、いずれ、お母さんを一番求める。
 うーん、222頁という薄い本ですが、いろいろ考えさせられました。幸か不幸か、私にはまだ孫がいません。そのうち孫誕生ということになったら、この本を読み返してみようとは思っています。

アリラン坂のシネマ通り

カテゴリー:未分類

著者:川村 湊、出版社:集英社
 私は「冬のソナタ」も「四月の雪」もみていませんが、韓国映画には心魅かれるものが多く、かなりみています。カルチャーショックと言っていいほどの衝撃を受けたのは「風の丘を越えて──西便制」でした。パンソリのすごさにはただただ圧倒され、声も出ませんでした。日本の歌謡曲の源流はパンソリにあるとも言われていますが、この映画に登場するパンソリの迫力にはとてもかなわないのではないでしょうか。
 1970年代の韓国の民主化運動のなかで韓国の伝統的な民衆文化が見直され、大学に民俗芸能研究のサークルができ、学生デモの戦闘に農楽隊が立ったそうです。この映画をまだ見ていない人は、ぜひDVDで見てください。強くおすすめします。
 ただし、パンソリをうたう芸人は、韓国では社会の最下層に位置する、いわば被差別民だということです。いまでもそうなのでしょうか・・・。どなたか教えてください。
 「シュリ」「JSA」「シルミド」「ブラザーフッド」。いずれもすごい映画でした。
 著者は、現在の韓国映画の隆盛には、明らかに、その背後に1人の多大な貢献(後見)をなしえている人物がいると強調しています。それは、ご存知の金正日氏です。
 「シュリ」は245万人、「JSA」は250万人、「友へ、チング」268万人、「シルミド」と「ブラザーフッド」は1000万人。すごい観客動員数です。
 それまで、北朝鮮の人間はカッコよく描いてはいけないという暗黙の禁忌があった。ところが、「シュリ」は、北朝鮮の人間をカッコよく描き、「JSA」は人間的に描いた。
 「ブラザーフッド」には、アメリカ軍はほとんど登場してこない。いわば、朝鮮戦争を主体思想によって描いた映画だ。このように、38度線があるからこそ、韓国映画の世界は、ヒューマニズムにあふれる優れた作品、感動的な力作や大作をつくることが可能となった・・・。
 うーん、なるほど、そういう見方もできるのかー・・。たしかに、社会の緊張感が日本とはまるで違うということを実感させられる映画ですよね。
 この本には登場していませんが、最近の映画で、「おばあちゃんの家」もいい映画でしたね。「春香伝」もよかったですよ。少し前の「南部軍」という映画を見たいのですが、DVDになっているのでしょうか。どなたか教えてください。
 ソウルにアリラン坂のシネマ通りというのがあるそうです。一度はソウルに行ってみたいと思っています。

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.