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美姫血戦

カテゴリー:未分類

著者:富樫倫太郎、出版社:実業之日本社
 幕末の箱館(今の函館)、五稜郭をめぐる維新政府と幕府軍との最後の戦争を舞台とした小説です。といっても、主人公は松前で日本初のパン屋を開業した和菓子職人なのがユニークです。そうなのか、日本で初めてパンをつくるために、職人はパン種(だね)を手に入れるのに苦労したのか・・・、よく分かりました。
 新選組の土方歳三も箱館にまで流れてきていました。ここで、戦死したのです。
 松前藩の内部での勤王派と佐幕派との内紛も背景となっています。維新政府軍は、新式の大砲や小銃ももっていましたが、烏合の衆のために統制がとれず、初戦ではなかなか苦戦したようです。それでも援軍を次々とくり出して幕府軍を追いつめていきました。小説ではありますが、箱館戦争の様子がよく分かりました。
 そして、パンづくりです。最大の問題はパン種をどうするかということでした。当時、箱館にはロシアの領事館があり、パンをつくっていました。でも、パン種は厳重な秘密になっていたのです。大金をつかって教えてもらうか、弟子入りして作り方を盗むしかないという状況でした。それを、日本人の助手から玄米からでもつくれるということを教わり、試行錯誤のうえ、なんとか成功したのです。味噌をつかって味のいいパンをつくることができたということも描かれています。
 主人公が慕う姫君は結核にかかっていました。結核は当時はまったく不治の病でした。父の仇をとろうとして、治療も放棄して銃をとって戦おうとする、いじらしい姫君がいとおしく思われてきます。幕末の函館の姿を知ることのできる小説です。

素数ゼミの謎

カテゴリー:未分類

著者:吉村 仁、出版社:文芸春秋
 アメリカには、17年ごとに地上にはい出てきて鳴くセミがいます。地域ごとに、仲間の群れが何十もあって、それぞれの地域で13年あるいは17年ごとに出てくるのです。
 氷河時代を生きのびたセミたちは、温かくなって身体が大きく育つまで、ひたすら天敵の来ない地下で生活します。それも17年という気の遠くなりそうな期間です。すごいものです。偶数だと、地上に出たとき別の種のセミしかいなくて、同種のセミに会えずに終わる危険があります。いろんな種類のセミが混ざりあってしまわないためには、素数しかないのです。大自然の巧まらざる偉大な工夫のひとつです。
 それにしても、13年とか17年に1度だけ、何億匹も大量発生し、あたり一帯では話もできないほどうるさいというのは驚くべきことです。そして、地上に出て鳴くのは、わずか2週間だけなのです。これは日本と同じです。17年セミの大きさは日本のセミより小ぶりだそうです。
 写真と図解によって、この素数ゼミについて解明されています。大変分かりやすい本です。セミが恐竜時代からの生き物であることも、この本で知りました。たかがセミ、されどセミなのです・・・。

全核兵器消滅計画

カテゴリー:未分類

著者:中嶋 彰、出版社:講談社
 地球上のすべての核兵器をニュートリノをつかって消すことができる。うーん、すごい・・・。これはSF(サイエンス・フィクション)ではない。本のオビのそう書かれています。
 核軍拡競争の結果、今や地球上には2万発もの核兵器が存在します。それも、次第に小型化していますので、いつアルカイダの自爆テロの武器にならないとも限りません。恐ろしいことです。
 原爆に大爆発を起こさせる条件は、核物質の十分な合体とイニシエーターによる中性子の大量供給。プルトニウム240は、この2つの条件をことごとく台無しにしてしまう。だから、プルトニウム240の割合を減らして、プルトニウム239の比率を大幅に高めないと原爆は完成しない。
 ニュートリノは、身近な存在だ。太陽で発生したニュートリノは、地球にも降りそそいでいる。その数は、1平方センチあたり毎秒600億個にのぼる。ただし、ニュートリノは幽霊のような素粒子で、頭の上にやってきたニュートリノは、気がつかないうちに身体のなかを通過し、地球を貫通してどこかへ去っていく。電気的には中性で、検出するのは非常に難しい。そのニュートリノにも質量があると考えられている。予想によれば、ニュートリノの質量は電子の100万分の1。
 「超高エネルギーのニュートリノビームを利用した核爆弾の破壊」という論文を菅原寛孝が発表した。粒子加速器(ミュー粒子蓄積リング)で超高エネルギーのニュートリノを発生させ、ニュートリノを地球の裏側にある核爆弾に向かって発射する。そして、このニュートリノは、直径が1万3000キロメートルある地球の内部を光に匹敵する速さで通過して核爆弾に達する。すると、核爆弾は未熟爆発を起こし、バラバラに分解されてしまう。
 これに必要なニュートリノを発生させるには、瞬間的とはいえ、原子力発電所50基分が必要となる。つまり日本の発電設備の4分の1を投入しなければならないわけである。
 それでも、地球上の全核兵器を不能兵器に化してしまえるんだったら安いものだ。
 まさに、すごい発想の本です。でも、この本を読んでいると、なるほど、これもありうるんじゃないの、そんな気がしてきました。地道に核兵器の廃絶をめざす運動に取り組むのは、もちろん必要なことです。いずれにせよ、科学者には科学者の責任があるということも改めて考えさせられる本でした。

国際離婚

カテゴリー:未分類

著者:松尾寿子、出版社:集英社新書
 外国人の伴侶を見つけて国際結婚をしたいと願うのは、圧倒的に日本人女性の方が多い。彼女らは、決して小額とは言えない費用を支払って国際結婚紹介所に登録する。彼女らは、映画やテレビで見た世界から連想するようなアッパークラスの生活を夢見る。しかし、上流クラスの人たちと結婚することが、どれだけタフな神経を要求されることなのか、彼女たちは肝心なことが分かっていない。言語を操れるのは当たり前。それよりも話す内容が重視される。料理ができるかなんて、そんなのは問題じゃない。とてつもない錯誤がある。しかし、その錯誤によって、国際結婚紹介ビジネスは成りたっている。
 私の住む小都市にも、国際結婚紹介業を営む40歳代の男性がいます。近所にできた大手スーパーにおされて家業が倒産したあと、ショーパブで働く外人タレント向けの宝石販売業をしていましたが、もっともうかるビジネスに転身したのです。成約すれば、かなりの一時金が入ってくるそうです。では、そのあとで破綻したら、どうするのかと訊いたら、それなりのフォローはするけれど、もちろん責任をとることはないということでした。
 国際結婚は年間3万件。国際離婚は年1万5千件。日本人夫と外国人妻の離婚が1万2千件。日本人妻と外国人夫のそれは3千件。
 イギリスでは、離婚に合意しているときの別居期間が2年間、合意がなくても5年間の別居を証明できれば離婚できる。ドイツでは、それが1年と3年と短く定められている。
 日本と海外とでは、このように離婚に関する手続が異なっている。海外では専業主婦は不利に扱われることが多い。
 イスラム社会では、マフルという日本の結納金にあたる慣習がある。夫が離婚したいと行っても、このマフルを全額支払わない限り、夫側に離婚の権利はない。
 アメリカは、経済力が高い配偶者が親権を主張すれば、それが認められる国。もし母親が無職なら、働いている父親に親権がいくことはめずらしくない。
 結婚が破綻したとき、これからどういう人生を送っていきたいかと問いかけて答えられない日本人女性が少なくない。自分の人生すべてを国際結婚にかけ、結婚にあわせた人生設計をしてきたからではないか。それは時代に逆行している。
 離婚して子どもを連れて日本に帰ってきても住みにくい国。これが日本なのに、ちっとも分かっていない・・・。
 私の娘も海外に2年ほど住んでいました。それこそ国際結婚でもするのかと心配していましたが、なんとか独身のまま帰国してきました。生活習慣の違いなどを乗りこえるのがいかに大変なことか、この本を読むと改めてよく分かります。
 関東地方に育った私の配偶者は、いまでも豚骨スープの博多ラーメンは性にあわないといって食べようとしません。ラーメンは、やっぱりしょう油味がいいというのです。逆に私には、あんな水っぽいラーメンなんて本物のラーメンじゃないとしか思えないのですが・・・。

日本海海戦から100年

カテゴリー:未分類

著者:マヌエル・ドメック・ガルシア、出版社:鷹書房弓プレス
 対馬沖でロシアのバルチック艦隊と東郷平八郎元帥の率いる日本海軍がたたかったのは今から100年前の1905年5月27日でした。この対馬沖海戦をアルゼンチン海軍の大佐が日本軍の戦艦に乗って観戦していたというのです。初めて知りました。ほかにはイギリスの武官も乗っていたそうです。この本は、そのアルゼンチン武官による日本海海戦の戦闘状況と教訓についての報告です。
 なぜアルゼンチンかというと、イタリアの造船所でアルゼンチンのために巡洋艦2隻が建造中だったけれど、アルゼンチンと競争相手にあったチリとの間で和解協定が調印されて、アルゼンチンは購入できなくなったことから売りに出されたのです。ロシアと日本とが競って購入しようとしましたが、タッチの差で日本が購入できました。当時の日本円で 1500万円(153万ポンド)です。そのころの海軍省の予算が年に2900万円、日本の国家財政規模が2億6000万円というのですから、いかにも破格の値段です。日本は言い値のまま即金で購入しました。この二隻が日本海海戦に間にあい、大きな働きをしました。日進と春日です。
 この本を読むと、日露戦争に備えて、日本政府が10年の歳月をかけて着々と準備をすすめていたことがよく分かります。大国ロシアの方は、東洋の遅れた小国の日本なんかひとひねりだと見くびり、何の準備もしていなかったのです。
 著者は、日本とロシアの戦力を対比させて、兵器そのものの優劣というより兵員の教育・用兵上の戦術の違いだということを再三再四、強調しています。ロシア艦隊は、ただひとりロジェストウィンスキー提督によってすべてが統制されており、他の指揮官には自主的な権限は何も与えられていなかった。ところが、日本艦隊の方は東郷長官は細かいことにかかわりあわず、大局的な指揮にあたるのみで、戦闘の細部は各艦隊の指揮官に一任していた。
 日本海軍の水兵たちの士気は高く、その射撃は常に平然と順序だてて実施され、射撃の効果と弾着はよく観察されていた。ロシア側も活発に射撃はしていたが、照準は不正確で発射弾数の割に日本軍への損傷を与えることが少なかった。なるほど集団行動に順応しやすい日本人ですから、そうかもしれませんね。
 日本海海戦で日本艦隊の戦死者は88人、負傷者は611人だったのに比べて、ロシア側の戦死者は6000人に達した。ロシアのバルチック艦隊には1万5000人の将兵が乗り組んでいて、6400人が日本海軍の捕虜となり、1700人が中立湾に逃れ、900人がロシア領土にたどり着いた。
 日本海海戦の実情を知る一つの資料だと思いました。

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