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宇宙はなぜ美しいのか

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著者:キース・J・レイドラー、出版社:青土社
 この本には、いろんな数字が紹介されています。
 まずは、原子の大きさです。直径1ミリのボールベアリングがあったとする。これをどんどん大きくしていって、それを構成する原子1個が直径1ミリの大きさになったとしたときには、ベアリング自身は直径10キロメートルになっている。
 1リットルの水は3×1025 個の分子が含まれている。その数の水分子をつなぎあわせて一本の糸をつくったとする。その長さは、なんと10兆キロメートル。これは、1光年より少し長い。この糸は、地球と月とのあいだを1200万回も往復できる。
 原子と原子核の大きさの違い。原子を半径10メートルにまで拡大したとすると、その体積はバスの体積になる。ところが、そのとき原子核の半径は1ミリよりも小さい。今度は原子核を本の大きさにまで拡大したとすると、電子は1キロメートル以上も離れた先にある。
 金は、原子核の質量が大きいため、電子が光の速度に近い速さで動いている。これが金と銀が違って見える理由。うーん、これはなんだかよく分かりません。
 地球にもっとも近い恒星はプロキシマケンタウリ星で、4.3光年離れている。
 いまマッハ30(音速の30倍。毎秒10キロメートル)ですすむ宇宙船があるとする。光速の3万分の1。だから、1光年の距離を旅行すると、3万年かかる。それで、プロキシマケンタウリ星に到着するには13万年かかる。
 惑星をもつらしいもっとも近い恒星だと20光年先のところにあるから、そこに着くには60万年もかかる。惑星上でなければ生命は維持できない。しかし、それにしても60万年というのはあまりにも長い。
 人間の1個の細胞はブリタニカ大百科事典30巻の10倍の情報を蓄えることができる。ところが細菌の細胞はずっと容量が小さく、100万分の1ほどなので、新約聖書に含まれた情報くらいしか蓄えられない。
 ヒト細胞の核を100万倍に拡大してスーツケースの大きさにしたとする。すると、そこにある一本の染色体は長さ50キロメートル、太さ1ミリになる。つまり、スーツケースに太さ1ミリ、長さ50キロメートルのひもを46本詰めこんでいることになる。細胞はこれをやり、しかも46本の糸の上にあるコドン(塩基)のひとつひとつにアクセス可能なのである。1人の人間の全細胞の全DNAを引き伸ばせば、それは地球と月のあいだを8000回も(太陽となら250回)往復する。
 実際には、たった1本の染色体の長さが5センチであり、46本の染色体の全長は2メートル。それが小さな核のなかに詰めこまれていて、詰めこまれたあと相応の化学反応ができる。いやあ、すごい、すごい・・・。
 極大の世界と極小のそれとが似ているというのも、胸がワクワクするほどの面白さですよね。

小泉純一郎、血脈の王朝

カテゴリー:未分類

著者:佐野眞一、出版社:文芸春秋
 今の有権者は、スポーツ紙で政治を知り、ワイドショーでそれを確認している。
 この本に、このように書かれています。本当にそのとおりだと思います。そうでなければ、小泉・自民党が「大勝」できたはずはありません。この言葉は、小泉首相の秘書をつとめる飯島勲が記者にもらしたものです。このように、小泉首相はメディアにどう映るかを徹底して研究し、計算しているのです。
 小泉人気とは、突き放した見方をすれば、国民とメディアが総結託した構図のなかに、真紀子人気を光景として浮かびあがった蜃気楼にも似た現象だ。
 国民とメディアが結託したとは、私にはとても思えません。メディアの手のひらの上で国民は踊らされているだけでしょう。また、蜃気楼は間違いありませんが、意外なことに、残念なことに、かなり長続きするものではあります。
 小泉首相には心を開いて話せる盟友やブレーンは1人もいない。異常なほどの孤独癖がある。しかし、実姉の信子にだけは、どんな細かいことでも話をしているようだ。ところが、この信子は独身のまま小泉の世話をしてきたものの、マスコミとはまったく没交渉で、写真も今から40年前のものが1枚公表されているだけ。うーむ、なんという政界奥の院なのでしょう。今どき写真をとるなんて、マスコミがその気になったら、いとも簡単なことだと思うのですが・・・。
 小泉は周囲にほとんど誰も寄せつけず、肉親の信子を唯一心の拠り所として、その政権を長期化しようとしている。それほど一国の首相に近い存在でありながら、写真もないなんて、マスコミはだらしなさすぎます。
 小泉の祖父である小泉又次郎は普選運動の闘士として庶民の人気が高かった。逓信大臣を2度もつとめている。この又次郎は、鳶(とび)出身で、背中から二の腕、足首まで入れ墨を入れていた。なるほど、そんな人物がいたのですか・・・。
 小泉政権は、支持率、アメリカ、マスコミ、財務省の4つの要素で支えられている。唯一の支持基盤が国民的人気にあることが自分でも分かっているから、テレビカメラがまわっているときと、回っていないときとでは、別人のように小泉の態度が変わる。
 スイッチが入ってアドレナリンが出ているときは、すごくテンションが高い。ところが、アドレナリンが出ていないときは、声も聞きとれないくらい小さく、話もまったくつまらない。テレビカメラがまわっていないと、ものすごくお座なりな対応になる。その落差は日増しにひどくなっている。
 ふーん、なんとなく分かる対応です。それくらいの軽い男なんですね。こんな薄皮まんじゅうのようなペラペラ男に日本国民がいつまでも黙ってついていくとは思えませんし、思いたくないのですが・・・。
 この本には、田中真紀子がいかに人間としてつまらない、わがまま勝手をしてきたか、その実像が描かれています。でも、つい最近、新聞に、小泉首相を鋭く批判するコメントを寄せていました。若者はテレビなんか見るばかりで考えが足りなくなっている。もっと新聞や本を読んで自分の頭で考えようという訴えものっていました。その点はまったく同感です。田中真紀子の人間像には共感できませんが、たまにはいいこと言うと、つい手を叩いてしまいました。

ジーニアス・ファクトリー

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著者:ディヴィッド・プロッツ、出版社:早川書房
 ノーベル賞受賞者の精子をもらってわが子を育ててみたい。そんなことを夢見る女性がこの世には少なくないようです。
 妊娠しないので医師に診てもらったら、夫がベトナム戦争で負ったケガのせいだと分かったわ。そんなとき、ドナーが全員ノーベル賞受賞者だという画期的な精子バンクができたって話を聞いたのよ。なんて素晴らしいのかしらと思ったわ。あなたの父親は、ノーベル賞受賞者なのよ。
 母親から、こんな告白を聞いて、子どもは素直に喜べるものなのでしょうか・・・。
 1980年、アメリカはカリフォルニア州に精子バンク「レポジトリー・フオー・ジャーミナル・チョイス」が創設されました。1999年に資金難から閉鎖されるまで、200人以上の子どもがそこから誕生しました。創設者のロバート・グラハムは「10人の賢人は1000人のばかに勝る。人類は知的淘汰によって進化を管理できる」と豪語したそうです。ところが、実際には、ノーベル賞受賞者が高齢であったせいか、その精子を利用した女性は誰ひとり妊娠しませんでした。
 高齢者の精子から生まれた子どもの先天的欠損症のリスクは高いとのことです。遺伝的異常をきたしやすいため、ドナーは40歳以下に限定する精子バンクがほとんどです。
 1988年のアメリカ当局の調査によると、このとき精子バンクは数百軒あり、 1万1000人もの医師が人工授精術を実施していた。年間3万人の子どもが匿名のドナー精子で生まれていたから、既に100万人のドナー・ベイビーが誕生していることになる。
 そして、ドナー・ベイビーは成長してから自分の父親を知りたくなる。このところ、インターネットをつかって精子バンク家族を探し出そうとする試みが増えている。ヤフー・サイトにも2004年には3000人が登録している。探しているのは恋人ではなく、父親や子どもである。これによって血縁者が出会ったのも600件をこえている。
 ところで、刷り込み理論というのがあるそうです。父親側から刷り込まれた遺伝子は、根源的な感情や直感的な行動をつかさどる大脳辺縁系に関わりがちである。つまり、天才児をつくるためのに必要なのは、母親の方なのだ。だから、今や健康的で知的な女性の卵子はいまや垂涎の的で、いかがわしい巨額ビジネスを生んでいる。スマートで若い女子学生なら、健康な卵子を売って、1万ドル、2万ドル、果ては5万ドルの大金を手にできるようになっている。母親側の遺伝子が生まれてくる子どもの知性に関係するという認識が広まれば、この卵子バブルはもっとひどくなるだろう。うむむ、なんということ・・・。
 このグラハムがつくりだした天才児がいました。2歳でコンピューターを操り、5歳でハムレットを読み、IQは180。この天才児は成人してから次のように語りました。
 高いIQをもっているという事実は、ぼくを善人にも幸せにもしなかった。知性が人格をつくるのではない。それを生むのは、愛情ある家庭で愛情ある両親が、子どもに重圧を与えずに育てること。血筋で優れた人間をつくるとは思わない。
 子どものころから人目にさらされてきたことは、彼の人生を大いに歪めたようです。いつも人目にさらされぬいていたから、内気で孤独だった。子どもにとっては、もっと安心できる環境で育つ方がずっとよいのだ。
 なるほど、なるほど、そうなんだー・・・。すごく納得した気分になって最後のページを閉じました。

戦争の論理

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著者:加藤陽子、出版社:勁草書房
 いくつかの論文の寄せ集めなので、体系的な掘り下げに欠ける弱点がありますが、そこで指摘されているのは鋭い気がします。
 たとえば、日露戦争について、海軍は極秘版の「海戦史」をつくっていたが、そこでは敵前大回頭後30分だけの砲撃でバルチック艦隊が潰滅したという大艦巨砲主義はとうてい導き出せないとのこと。そうではなく、主力艦と巡洋艦隊が丁字と乙字の戦法でバルチック艦隊を攻撃し、その後の水雷艇隊と駆逐隊による雷撃が勝敗を決したというのが正確な理解だ。
 秋山真之は乃木希典率いる陸軍第三軍に一日も欠かさず書簡を送っていた。
 旅順の攻略に4、5万の勇士を損するも、それほど大なる犠牲にあらず。国家存亡に関わるところだから。203高地は旅順の天王山というより日露戦争の天王山。
 もともと参謀本部は、開戦前の計画にはなかった遼東半島南部の旅順攻略という支作戦などに貴重な兵員と武器弾薬をさきたくないと考えていた。陸軍側は旅順攻略に躊躇していた。その消極的な陸軍を督励し、膨大な犠牲を払わせて203高地を奪取させたのが海軍だったという事実は、陸軍への負い目の感覚とともに、海軍としてはできれば忘れたいことであった。
 うーん、そうだったのかー・・・。
 日本軍は、このとき独自の戦略を創造したと軍事史研究者は指摘している。それは、旅順の攻防戦を、単に陸軍の要塞戦としてみるのではなく、陸海軍の共同作戦とみる見方である。なるほど、そのように見るべきなのかー・・・。
 日露戦争のはじまる前に、日本側の指導者の大部分、政党勢力、国民は、開戦数ヶ月前までは、この戦争に消極的な態度をとっていた。ところが、一大飛躍があった。たとえば、のちに大正デモクラシーの旗手となる知識人の吉野作造は、日露戦争の開戦直後に次のように述べた。
 ロシアによる満州の門戸閉鎖は非文明である。世界の平和的膨張のためにロシアを打倒しなければならない。
 ええーっ、そんなー・・・。あの吉野作造がこんなことを言ってたなんて、ちっとも知りませんでした。話はまったく変わりますが、日本人は好戦的かどうかという議論があります。しかし、やはり一般的に決めつけることはできないようです。同じ吉野作造は、こうも言っています。
 日本社会には徴兵忌避を容認する気風が根強く存する。しかし、これは排すべきだ。日本の兵役制度は、貴族富豪の子弟について、事実上、兵役拒否を黙認しているが、これはけしからんことだ。
 でも、誰だって兵隊にとられて死にたくはないですよね。お金があればなんとか戦場に行かないようにするのは当然のことでしょう。もちろん、金と権力のある連中が戦場の後方でのうのうとしていて、戦争でもうかり、名誉まで得るというのを認めるというわけではありません。
 最後に、日本人が兵隊も民間人も、侵略した先の外地から速やかに9割以上も日本へ帰国できたことの意味も考えられています。侵略した先の国々でさんざんひどいことをした割には大半の日本人が帰国できたという裏には、中国人の寛大な人道主義もありますが、アメリカや蒋介石の思惑と都合もあったようです。この本を読んで初めて知りました。
 なかなか味わい深い本だというのが私の読後感です。

プロファイリング・ビジネス

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著者:ロバート・オハロー、出版社:日経BP社
 9.11のあと、アメリカはますます監視社会と化しつつあります。
 FBIは2004年現在、4000万人について2億5000万セットの指紋を管理しており、さらに毎週3万7000個ずつ増えている。
 民間のデータ管理会社であるチョイスポイントの売上高は8億ドルをこえる。9.11前より30%も増加した。司法省だけでも6700万ドルを支払っている。
 アメリカ合衆国愛国者法は、9.11以前なら強硬派ですら不可能と考えていたような強硬手段を合法化した。アメリカ政府は直ちにこの権限を徹底的に行使している。1年目だけでも1000人をこえる外国人が令状なしで拘束され、その身元は公表されなかった。数千人のイスラム教徒がアメリカ国籍・外国籍を問わず、連邦捜査官の監視下に置かれた。彼らの動静、電話、eメール、インターネットへのアクセス、クレジットカードの支払い状況が四六時中、チェックされた。
 2003年には、アメリカ政府は、犯罪事件よりもテロの捜査に盗聴令状を申請し、 FBIは外国情報監視裁判所から1700件あまりの令状をとり、電子傍受の令状も  1442件うけとった。しかし、そこで誰が容疑者だったのかは、司法関係者以外には一切明らかにされていない。
 個人情報が盗まれ、他人になりすます犯罪が増えている。2002年だけで、700万人のアメリカ人がID詐欺の被害にあっているとみられている。熟練のハッカーなら、コンピューターのなかから名前や社会保障番号、口座番号を盗み出すことができる。最近発覚したケースでは、ハッカーは小売店に代わって決済をコンピュータ処理していた企業からVISA、マスターカード、アメリカンエキスプレスのカード番号を100万件も盗んでいた。しかも、カードの保有者はFBIが捜査を開始するまで、ハッカーが侵入したことを知らされていなかった。情報を盗むのはまったく簡単だが、犯罪を防ぐのは恐ろしく難しい。少なくとも現段階では不可能に近い。
 顔認識のシステムが売りに出されている。しかし、誤った警報が200回も鳴り、そのたびにシステムではなく、警察官が判断しなければならなかった。照明をコントロールする必要もあった。そこで、顔認識システムを採用する空港も警察も少ない。
 犯罪記録のデータベースのうち3分の1は不正確だとFBIも認めている。不正確なデータによって、かえって安全が侵され、潔白な人たちの権利まで侵害される危険がある。
 名前がテロリストと似ているというだけで、空港で足どめをくらう乗客が増えている。それぞれの諜報機関や国土安全保障者が搭乗拒否、要注意リストへの掲載を求めて連日のように名前を送りつけてくるため、連邦航空局と運輸保安局のブラックリストはふくれあがるばかりだ。
 どこの警察でも、システムをつかって人をチェックしたことのない警察官なんていない。ある警察官は、関心のある女性の身元をネットワークをつかって洗い交際を迫り、オンラインで知りあった女性を念入りに調べあげた。ある刑事は、このシステムをつかって別居中の妻の行状を追った。元FBI機関員で私立探偵のマイク・レビンは、FBIの全国犯罪情報センターから機密情報を盗み出し、1件100ドルで転売していた。警察関係の機密書類のブラックマーケットは繁盛している。
 日本でも恐らく同じことが起きているのでしょう。発覚していないのか、マスコミが報道しないのか、きっとどちらかです。少し前のことですが、東京・警視庁で幹部警察官の不倫を追求するためNシステムがつかわれたということが発覚したことがあります。不倫だけなら犯罪ではないのですから、明らかに逸脱ですが、そのとき何ら問題となりませんでした。
 もはや、私たちには隠れる場所すらない。
 これが、この本の結論です。ところが、隠すものがないのなら、何を心配する必要があるだろうか。こんな反論があるそうです。とんでもない言い草です。誰だって他人に知られたくない秘密のひとつやふたつはあってあたり前です。だからこそ個人のプライバシーは尊重されるべきなのです。本当に怖い世の中です。

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