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競争やめたら学力世界一

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著者:福田誠治、出版社:朝日新聞社
 フィンランド教育の成功というサブタイトルがついています。いやー、実に良い教育ですよ。こんなに伸び伸びとした教育を受けることができたら、本当にどの子もすくすくと学力が伸びると思いますね。今の日本では全国どこでも中高一貫の学校がもてはやされていますけれど、私は大いに疑問です。なにより、それがうまくいったとしても、格差を拡大させるばかりで、日本社会は現在のアメリカ社会のように暴力が横行する、すさんだ社会になってしまうでしょう。それも私は心配です。
 世界学力調査でフィンランドはずっと世界一位を誇っています。この本は、人口500万人の小国フィンランドが教育の力によって世界のIT産業の先端にいる秘密を探っています。フィンランドの面積は日本とほとんど同じで、宗教はルター派キリスト教徒が85%。
 フィンランドでは高校間格差はほとんどないので、たいてい地元の学校に進学する。職業学校への進学率が高い。フィンランドの学校は、できない子の底上げはするけれど、できる子は放っておく。できるから。そもそも、学校は生徒の成長を支援するところだ。
 フィンランドの教育の特徴は、ひとことで言うと、いやがる者に強制しないということ。あの手この手で促しはするけれど、要は本人のやる気が起きるまで待つ。というのは、人間というものは、もともと興味・関心をもって、自ら学んでいくものだから。強制すれば、本来の学習がぶち壊しになってしまい、教育にならず、かえってマイナスだ。
 私は、ホントにそうだと思います。思い出すと、私も大学受験のとき、たくさん本を読みたいものだと痛切に願っていました。いま、腹一杯、本が読めて、本当に幸せです。
 フィンランドの教育は、自分で学べ、うまく学べないときには援助する、というもの。
 大学には同年齢の30%が、高等職業専門学校には35%が進学する。このほか、大人も成人学校で学んでいる。だから、フィンランドは、世界有数の高学歴社会だ。普通科高校では、1994年に学年制が廃止され、単位制になった。大学に入学するまで、たいてい2〜3年かけて社会的経験するのが普通なので、それほど卒業を急がない。
 国は教科書の検定をしない。教科書の作成過程には教師組合の代表も、教師も加わり、一部の者が独走することはない。教科書を選択するのは一人ひとりの教師であり、それを校長が承認する。教科書は一つの教材でしかなく、その使い方は教師個人にまかされる。
 一クラスの生徒は24人まで。午後4時になると、生徒も教師もいなくなる。教師は授業が終われば、生徒と一緒に帰宅してよい。夏休みの2ヶ月間も、まるまる学校に来なくてよい。だから、フィンランドの教師は、おそらく世界一じっくり準備して授業にのぞむことができる。
 職員室は、教師がくつろぎ情報交換する場であり、日本のように会議をするところではない。教師は、同じ学校に定年まで勤めることがほとんど。
 フィンランドの子どもたちは、競争やテストがなくても、なぜかよく学んでいる。
 フィンランドは図書館利用率が世界一。一人あたり年21冊を借りている。日本は年に4.1冊。人口56万人のヘルシンキ市に図書館が38もある。同じ規模の日本の都市だと6〜13ほどしかない。私の町では、移動図書館(バス)まで廃止されてしまいました。
 教師と生徒にゆとりがあると、学力が伸びるという見本のような国です。日本も参考にすべきだとつくづく思いました。

雷鳥が語りかけるもの

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著者:中村浩志、出版社:山と渓谷社
 ライチョウは有名ですが、残念なことに、私はまだ現物を見たことがありません。
 この本を読んで、人を恐れない日本のライチョウは、実は世界で珍しい存在だというのを知りました。アメリカでは、ライチョウは人の姿を見たらすぐに飛んで逃げていくそうです。人間に射たれて食べられるからです。そう言えば、我が家にすむスズメもそうです。家の屋根瓦の下に巣をつくっていますし、しょっちゅう出入りしているくせに、巣を出入りするときだけは物音ひとつ立てません。実に静かにしています。でも、いったん外に出たら例のピーチクパーチクとかまびすしいこと、このうえありません。
 高山にすむライチョウの写真がたくさん紹介されています。日本のライチョウは静かに近づくと1メートルの距離でカメラを構えて写真がとれるそうです。わが家の常連のキジバトは2メートルが限界です。毎朝エサをやっていても、そうなのです。
 ライチョウは飛べないわけではありません。ちゃんと飛べます。日本のライチョウは人間にいじめられてこなかったので、人の姿を見ても逃げないのです。ライチョウは高山にすむ神の鳥として、古来からあがめられてきたのです。
 ライチョウが高山にしかすまないのは、ライチョウが氷河期の遺留動物だから。高山は氷河期の気候に似ているので、雷鳥はそこで生き延びることができた。
 雷鳥は北海道や東北地方にはすんでいない。標高が高くても、高山帯の面積が小さいので生きのびることができなかった。本州には、強い風と冬に多い雪があり、一年中、葉が緑のハイマツがある。そこは雷鳥の営巣場所として、また隠れ場所として雷鳥にとって重要な役割を果たしている。また、ヒツジが日本にいないことが幸いした。ヒツジは白い悪魔だとも言われている。山の草々を食べ尽くしてしまうから。それでは雷鳥は生き残ることができない。
 雷鳥のオスはナワバリをめぐって激烈なたたかいをくり広げる。メスを確保すると、オスはメスを守ってつがいをつくる。ヒナがかえるとメスが子育てをし、オスは単独行動になる。ヒナは天敵のオコジョに補食されたり、危険が高い。だいたい3分の1以下に減ってしまう。
 冬のあいだ、ライチョウは、とにかくじっとしている。動かず、じっとしていると目立たない。それが最良の護身術なのだ。
 中央アルプスにもかつてライチョウがいた。しかし、駒ヶ岳にロープーウェーをかけ、年間に数十万人もの人間が入るようになって、数年のうちにライチョウはいなくなった。
 ライチョウのオスのナワバリは平均して直径300メートルほどの大きさだ。ライチョウはニワトリに近い種類なので、砂浴びが大好き。
 一夫一婦のライチョウだが、まれに一夫二妻のライチョウもいる。
 日本に生息するライチョウは、3000羽ほど。ライチョウの夫婦は、翌年も生き残るのは全体の3分の1ほどにすぎない。ただ、オス・メスともに生きていたら、翌年も同じペアを組む可能性は高い。
 ライチョウが減っているのは、日本に高山気候の地域が少なくなったことにもよると指摘しています。つまり、地球温暖化がここでも原因となっているのです。ライチョウ保存の試みも始まっていますが、なかなか難しいようです。
 実物のライチョウをぜひ山で近くに見たいと思いました。

警察VS警察官

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著者:原田宏二、出版社:講談社
 警察官でありながら、警察の不正・まやかしとたたかっている人々を紹介した本です。世の中にはこんな勇気をもっている人がいるんだなと改めて人間の偉大さに感銘を受けました。
 警察の裏金づくりは昔からあり、きっと今も続いているのでしょう。ところが、マスコミはまったく問題にしていません。残念なことに権力に歯向かう勇気がないからです。
 裏金の使途は、上層部のヤミ手当、官官接待の費用、異動時の餞別、部内の飲食などにあてられる。その金額は300〜400人規模の警察署で年間6000万円は下らない。現場の捜査員などの激励経費にあてられることもあるが、それは例外。裏金システムは幹部が自由につかうためのものであり、現場の警察官のためのものではない。その手口は全国一律。裏金システムがばれないためのつじつまあわせの事前準備が、国の機関である警察庁会計課の指導で入念に事細かに行われている。
 いやあ、ひどい話ですよね。不法を取り締まるべき立場の公務員が、税金を私物化していて、誰も問題にしないというのですからね。
 勇気ある人々を励ますためにも、ぜひ、あなたにもこの本を買って読んでほしいと思います。

サイバー監視社会

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著者:青柳武彦、出版社:電通通信振興会
 アメリカのチョイスポイント社の個人情報データベースには2億2000万人について250テラバイトの情報が蓄積されて、毎日4万データが追加されている。ここが、大規模のなりすまし犯罪グループに情報を渡してしまった。犯人グループは、身元を偽って50件のアカウントを同社に登録し、正当な目的で情報を閲覧するように見せかけて、消費者の名前・住所・社会保障番号、クレジット履歴などの個人情報を引き出した。14万5000人の個人情報が漏れた可能性がある。
 プロの犯罪集団はここまでやるのですね。コンピューターに登録された情報は、どんなに守ろうとしても漏れていく危険があるということです。
 京都府宇治市の住民基本台帳のデータが流出した事件で、市民がプライバシーを侵害されたとして市に損害賠償を求めて訴訟を起こした。裁判所は1人について1万5000円を認めた。これは市の委託を受けたデータ処理システム会社のアルバイト従業員がデータを複写して社外に持ち出し、名簿業者に販売したもの。1人1万5000円といっても、住民全員が原告となったとしたら、総額は31億円を上まわることになる。
 この本では、Nシステムも街頭の防犯カメラもその有用性が強調され、危険性は軽視されています。私は、社会全体の連帯心をもっと高める総合的方策をとるべきだと考えていますので、著者とは考えを異にします。それでも、問題を多角的に考えようとする姿勢自体は評価できると思いました。

朝鮮王朝史(上)

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著者:李 成茂、出版社:日本評論社
 朝鮮王朝(李朝)500年の栄枯盛衰のドラマを活字にする本格的通史。オビにこのように書かれていますが、読めばなるほどと納得します。なにしろ上巻だけで600頁あります。私は東京までの往復2日間かけて、じっくり読みとおしました。
 上巻は、李成桂の建国から、ハングルが制定された世宗朝、「チャングムの誓い」の舞台となった中宗朝を経て、第18代の顕宗朝までです。李朝500年が、激しい波に浮かんであらわれては消え去っていく様子が活写され、手に汗にぎる思いにかられます。
 歴史は過去との対話である。
 けだし名言です。過去を知らないことには、現在の自分を知ることは決してできません。
 歴史において、善悪は表裏一体であり得る。小国の韓国が、これまで生き延びてこれたのは、能力を重視し、優秀な人材を選び、国家を経営してきたからである。能力主義こそ、韓国の誇るべき精神的資産なのだ。
 科挙制度と朱子学は、400年かかって韓国のものになった。つまり、10世紀にとりいれられた科挙制度は14世紀になって韓国に定着した。12世紀に導入された朱子学は16世紀の退渓(テゲ)、栗谷(ユルゴク)の時代になって、やっと韓国のものとして定着した。
 国王が世襲されるのに対し、官僚は科挙によって選ばれたから国王より優秀だった。彼らは巧妙な制度をつくって王権を制約した。人事権と軍事権は、形式的には国王にあったが、実質的には臣僚たちが握っていた。
 臣僚のあいだで朋党が生じ、党争が公然と横行する。国王は朋党間の調整に汲々とするばかりだった。皇帝権が強かった朝鮮では朋党は公認同然だった。
 朝鮮の歴代諸王たちの治世は、おおむね20年ほど。20〜30代に即位して、40〜50代に死去することが多かった。宣祖、粛宗、英祖のように30〜50年も在位した王は例外的だった。
 次の王位継承者である世子の資格条件として、長子相続の原則は、朝鮮時代にすでに確立されていた。しかし、王位の継承のような政治的に重要かつ複雑な問題を原則どおりに行うというのは、それほどたやすいことではなかった。朝鮮王朝時代500年間に推載された王は27人。そのうち王の嫡長子など、正当性に何ら問題のなかったのは、わずか10人にすぎない。残り17人の王は、世子の冊封過程や王位継承において、原則にそぐわない非正常な継承者であった。兄弟次子継承もある。物理的実行行使によって即位した世祖、中宗、仁祖、王子でない遠縁の王族として大統を継いだ宣祖、哲宗、高宗、庶子として冊封された光海君や景宗、さらに世子が交代した定宗や世宗もいる。
 王位継承には、能力や道徳性のようなものも重要な条件となっていた。王位の傍系から初めて王位を継承したのは宣祖だった。
 大院君とは、王に後嗣がなく、死後、王族から王位継承者が出た場合、その父を指す呼称だ。
 李氏朝鮮の内情を総括した歴史絵巻物を見ているような気持ちになる本でした。

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