(霧山昴)
著者 藤川 大樹 、 出版 文春新書
特殊詐欺は相変わらず猛威をふるっています。何千億円もの大金が暴力団に流れ込んでいるのです。日本の警察は、本気になって捕まえようとしているとはとても思えません。
電話をかける「かけ子」の集団は、今やミャンマーに置かれているようです。そこに体当たり取材を敢行した状況が紹介されています。ミャンマーのほか、先日はインドネシアにもあるという報道がされていましたし、カンボジアにもあるようです。詐欺集団は摘発を免れるため、カンボジア警察に1ヶ月3万ドルを支払っているとのこと。
2025年5月、カンボジアで特殊詐欺に関わっていた日本人29人が拘束されたことは耳新しい出来事でした。カンボジアで、特殊詐欺拠点が広がっているのは、政府・与党の「腐敗」が背景にある。カンボジアでは、15万人以上が特殊詐欺に従事しているとみられている。まさしく、一大産業と化しているのです。
同じく、ミャンマーにも40もの特殊詐欺拠点があり、10万人が従事している。そこでは中国系犯罪組織が取り仕切っていて、軍隊と結びついている。日本人をリクルートするときの甘いコトバは…。
「月給30万円(2千ドル)。寮完備でまかないあり」
「仕事をしながら、英語とタイ語が学べる」
これに惹かれて、のこのこ入っていくと、厳しく管理された閉鎖社会に閉じ込められる。1日14時間半も働かされ、ノルマを達成できないと、殴られ、電気ショックを受けさせられる。まさしく現代の奴隷ですよね。そして、奴隷状態から脱出できるためには、親族が大金を積む必要があります。そこにも、またビジネスが成立しているのです。なんという底知れぬ恐ろしさでしょうか。
日本で仕事がないので、海外でおいしい仕事があると騙されて出かけると、パスポートを取り上げられ、オリの中に閉じこめられ、詐欺の電話かけをやらされるのです。
それにしても、詐欺電話でひっかけても、そのお金を受け取る人間が必要です。しかも、瞬時にしなければいけません。このマッチングをするのは日本でしないと無理ですよね。すると、日本にも相応の組織がフル稼働しているはずです。警察は、そこを摘発すべきだと私は思うのですが…。
(2026年1月刊。1210円)


