(霧山昴)
著者 石井 優 、 出版 講談社ブルーバックス新書
骨の骨組み(柱)はコラーゲン繊維から成り立っている。コラーゲン繊維は、分子量が10万で細長いコラーゲンタンパク質がたくさん集まって出来ている。コラーゲンタンパク質は、らせん状のバネのような構造をしていて、これが少しずつ重なり合ってできているのが、コラーゲン繊維。
骨粗しょう症には、症状がない。なのでかかっていても気づかない人が多い。骨粗しょう症は治療できる病気。
「古い骨」を壊すのを破骨細胞と呼び、新しい骨をつくるのが骨芽細胞。正常(健康)な骨では、この破骨細胞による骨破壊と、骨芽細胞による骨再生が釣り合っている。このバランスが崩れると、たとえば骨粗しょう症になる。
破骨細胞は骨の「古くなった部分」を探し出して、それを対象とし破壊している。その意味では賢い細胞である。決してランダムに手当たり次第に壊しているのではない。
骨をつくる成熟した骨芽細胞から放出される小胞は、別の骨芽細胞にくっつくと、その骨芽細胞が骨をつくるのを抑制する機能をもっている。
骨折したあとの復傷過程など、骨の代謝回転が亢進(こうしん)しているときには、破骨細胞と骨芽細胞の物理的接触が明らかに増強している。
骨は、カルシウムとリンの生体内最大の貯蔵庫としての役割を担っている。体内では、細網内に血液中のカルシウムの量が厳密に制御されている。その濃度を一定に保つために、必要に応じて骨からも血液中に動員する。このとき、破骨細胞が活性化して骨を壊すことで、血中にカルシウムを放出させる。
カルシウムは細胞内のシグナル伝達を担っている。これをセカンドメッセンジャーと呼ぶ。カルシウムは生命維持に必須の機能を担っており、枯渇すると死を意味するので、そのために骨という貯蔵庫がある。
リンは、食物から摂取され、通常、尿や便に排出されることでバランスが保たれている。生命の構成要素としては、リンは極めて重要であり、体内に骨という貯蔵庫があるのは合理的なこと。
リンは、カルシウムのように細胞内で濃度が劇的に変化したりすることはない。
カルシウムは生体にとって重要な元素だが、血中に過剰にあると毒性を発揮する。なので高カルシウム血症には迅速な治療が必要となる。
骨から分泌されて電解質代謝だけでなく、さまざまな系を制御する骨ホルモンが注目されている。その代表がオステオカルシン。骨芽細胞からつくられるオステオカルシンには、糖尿病や肥満の発症を抑制する可能性がある。
体の中の血液系細胞はすべて骨髄の中で生まれて育ち、全身へと流れていく。骨髄の中には、すべての血液系細胞を生み出す元となる細胞、造血幹細胞が存在する。
長期に記憶されている免疫細胞が、どこに潜んでいるのか、諸説あるが、骨髄内に潜んでいるというのが有力。
十分に理解したとは、とても言えませんが、骨は重要な役割を果たしていることを改めて認識しました。ところで、この本に紹介されていますが、フランス料理に「リ・ド・ボー」という、仔牛の胸腺をソテーしたものがあります。先日、東京のフランス料理店で久しぶりに食べました。とても美味しい高級食材です。
(2025年5月刊。1100円+税)


