著者:亜美伊 新、出版社:経済界
ラブホテル業界は低迷状態にあり、斜陽産業とまで言われていると聞いて驚きました。なぜなのでしょうか・・・。
著者は、ラブホテルが利用者の満足する空間ではなくなったから、圧倒的にオシャレな空間となり、以前のようなセックスの匂いが消えたからと言います。そうなのでしょうか・・・。ラブホテルはシティホテル化しているがそれは、オシャレなだけで、まるで個性がなくなったと指摘しています。値引き競争が激しい割には利用者は増えていません。
ラブホテルは日本固有の文化であり、世界中どこをみても、こんなものはないというのにも驚かされました。アメリカにもイタリアにも、そしてフランスにもラブホテルはありません。最近、やっと台湾や韓国にポツポツできているだけだというのです。
著者はラブホテル専門の建築設計家として、30年間に1638のラブホテルをデザインしました。すごい数です。そのデザインしたラブホテルが写真で紹介されています。中世ヨーロッパ風あり、ホワイトハウスやエンパイヤステートビルあり、はたまたスペース・シャトルありの奇抜な外観。そして、内側を見ると白い2頭だての馬車あり、銀河鉄道「999」、ポップコーン屋台、ボクシングの部屋など、とんでもなく奇想天外の部屋があります。大人の遊園地のような、わくわくするような部屋が客に受けたといいます。ラブホテルの部屋は男女の愛のドラマを演じるための劇場。だから、部屋のデザインも思いっきり非日常空間であることが望ましいということです。なんと1泊30万円の部屋をつくったところ、利用者がひっきりなしにあったそうです。
ラブホテルでいちばん大切な要素は淫靡さ。ふだんは味わえない淫靡でエロスの空間。どこか妖しげな雰囲気。これから味わうこと、体験することへの期待。行く前からドキドキする。抑えきれないドキドキ感。心の噴出するエロスを大切にする。なーるほど・・・。
ラブホテルは入るときよりも、出るときの方を重視する。いかに出やすい環境をつくるかが重要になる。いかに出やすいかでお客のリピート率が上がる。さりげなく出れる。しかも堂々と出ることができて、なおかつ人目に触れない環境。これががポイントだそうです。ふむ、ふむ。
かつて、ラブホテルの出口に焦点をあててずっとカメラを構え、車のナンバーで持ち主を調べあげ、「不倫の証拠をつかんだ。公表されたくなかったら、お金を支払え」という脅迫文を送っていた男の刑事弁護人になったことがあります。ところが、不倫カップルをふくめて、ほとんど脅迫は成功しなかったというのに驚きました。
ラブホテルの従業員をしていたら、もとの会社の同僚が昼間から上司の男性と一緒に何度も入ってくるのを見た。窓口で顔をあわせるシステムでなくて良かった。そんな話を聞いたこともあります。
この本によると、「言い訳テレフォン」というのがあるそうで、笑ってしまいました。家庭にばれないように電話をかけるとき、バックにマージャン店の雰囲気やパチンコ台の音、また新幹線の音がカセットテープから5分間だけ流れるような仕掛けがあるというのです。すごい知恵です。
ラブホテルは10億の資金があれば安定的な経営ができるそうです。つぶれかかったラブホテルを2.5億円で買い、少し改装したとして5億円で経営できる。年の利回り23.5%の利益が確実に得られるおいしい商売だ。著者は強調しています。
ラブホテルのことを少し知って、久しぶりに行ってみたくなりました。ご一緒にいかがですか。もちろん、現地調査にですよ・・・。
ラブホの経営学
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