(霧山昴)
著者 上野 歩 、 出版 小学館文庫
東京にはアメ屋横丁と同じように有名な、カッパ橋道具街があります。残念ながら、「アメ横」には行ったことがありますが、「かっぱ橋」にはまだ行ったことがありません。巣鴨のおじいさん、おばあさん銀座も、まだ話で聞くだけです。ぜひ一度行ってみようと思います。
おろし金(がね)もいろいろ。ふわふわとした柔らかい食感が出るおろし金、シャキシャキした粗い食感になるおろし金、少しの力で大根がおろせるおろし金、金属アレルギーの人用のおろし金、一人暮らし用、一度に20人前の大根おろしをつくるための業務用、生姜(しょうが)用、チーズ用、ワサビ用、山芋用、柑橘系の皮用…料理人によって求める味わいも、使い勝手も、用途も違う。全ての人の希望をかなえる道具はない。
でも、それに応じようとする料理道具屋があってもいい。効率を無視し、在庫回転率も無視する。ええっ、そんなんで商売人として生き残れるのでしょうか…。
店が繁盛するのは、その店がどれだけ多くの客から愛されているかによる。うーん、分かりますけれど…。インターネット万能時代に、対面営業で、果たして生き残れるのか…。
時代を変革するのは、いつだって、若者、バカ者、そしてよそ者だ。
これは、弁護士の世界、そして法曹の世界にもあてはまる法則なのではないかと思います。
和食の料理人なら、刺身などの切り身を薄く切る柳刃、野菜用薄刀、魚をさばくための出刃、それぞれ大小。こう数えると、少くとも6本の包丁を使い分ける。ともかく、日本料理にとって、包丁は、とても大事なことは明らか。
ファミリー・レストランのショーウィンドーに飾ってある料理サンプルは日本独特のものだそうです。いかにも美味しそうに、よくできていますよね。一品料理をアラカルトで注文するときには、必須ですが、コースで注文すると不要。だけど、注文するまでのドキドキ感を味わうためには、食品サンプルも必要ですよね。
そんなドキドキ感が伝わってくる文庫本でもあり、読みながら心の満ち足りた思いを楽しむことができました。
(2022年4月刊。税込814円)
料理道具屋にようこそ
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