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動物と人間の世界認識

著者:日高敏隆、出版社:筑摩書房
 私がいるから世界があるのではない。世界があるから私がいるのだ。唯物論はこう言っていると思います。しかし、「私」が人間でないときに、「私」から見える世界は全然異なるものなんですね。この本は、そこを詳しく解き明かしています。
  人間の目からは、オスもメスも白色にしか見えないモンシロチョウですが、オスとメスとでは色が違います。メスは紫外線と黄色のまざった色なのです。モンシロチョウには紫外線が見えるから、その違いが分かるのです。ところが、モンシロチョウには赤が見えません。しかし、アゲハチョウには赤が見えます。ネコは、紙にネコの絵を描くと、ホンモノのネコと誤認してしまう。近寄って匂いをかいで、やっとネコじゃないと認識する。
  メスのニワトリの耳に手術して聞こえないようにしたら、卵を産んだものの、かえってヒナを次々に親ドリがつついて殺してしまった。ヒナドリの声が聞こえないから、怪しげな侵入者だと誤認して殺してしまったのだ。
  このように、目だけでなく、耳や鼻も世界を認識する手段として重要な役割を果たしており、それによって全然別の「世界」がそれぞれの動物にはあるというのです。本を読むと、「私」たちの世界も広がるというわけなんです。

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