著者:江上剛、出版社:新潮社
会社勤めの経験のない私が言うのもなんですが、大会社はどこも闇の世界と深くつるんでいる気がしてなりません。大会社には、たいてい汚れた仕事をする専門の部署があり、ベテランがいます。そして、ときどき摘発され、自殺者まで出ることがあります。
でも、いつかの新聞コラムに「盆栽でしかない」と評されていました。要するに、上の方へ(司直の手は)伸びなくて、下に広がるばかりだ、というのです。なるほど、言い得て妙ですね。
第一勧銀の銀行マンとして、最後は広報部次長の要職まで勤めた著者が、非情な銀行の内幕を暴いています。ストーリーとしては、少々できすぎという気もしましたし、退職刑事でこれほど人情味(そして信望)もある人がいるだろうか、と疑問には思いました。
銀行の貸しはがしの実情も描かれています。過労死した銀行員のお通夜のときに、退職金の金額を並べたて、これだけもらえて良かったですね、そう言い放つ銀行員の同僚も登場します。そういうこともあるんだろうな、そう思いました。会社のためと思って尽くしていた人に対しても会社は非情なものだと、事件を通して何度も思ったことが私にもあります。
復讐総会
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