著者 鳩山 由起夫・高野孟 、 出版 花伝社
民主党政権が誕生したとき、これで日本の政治が少しはまともになり、人間本位の政治に向かうと期待した国民は多かったと思います。
ところが、残念なことに、今の民主党・野田政権は自民党・野田派としか言いようがありません。そして、この本で、他ならぬ鳩山由紀夫が同じことを言っているのです。
消費増税、原発再稼働、TPPそしてオスプレイ。この4つとも、自民党政権なら賛成だろうが、本来の民主党ならば、すべて慎重でなければならない。だから、自民党・野田派と言われることになる。
今の野田内閣はあまりにも自民党に近寄りすぎている。せっかく政権交代して、自民党政治と決別するはずだった民主党が、なぜか自民党のほうばかりを向いて政策を遂行しようとしているのが、大変に気がかりだ。その最たるものが消費税の増税だ。民主党と自民・公明が歩み寄り、3年前に民主党のマニフェストで約束した後期高齢者医療制度の廃止や最低保障年金制度の導入も棚上げし、事実上、撤退してしまった。
もし、消費税が5%あがったら、マチの中小企業の3分の1は倒産するだろう。これが現実なのだ。
原発については、もともと推進派だったが、今なお福島第一原発の事故がどういう原因で起きたのか判明していないとき、政府が原発再稼働を決めるのは、どうにも理屈に合わない。
日本の領土の中にアメリカの軍隊がずっと居続けて、未来永劫、守られ続けていくと考えるのは、すなわち一国の領土の中に他国の軍隊が駐留し続けることによって日本の安全が守られると考えるのは、世界史のなかでも、きわめて異常な姿だ。
普天間問題で立ちはだかった壁に対して勝利をつかむことができなかったことは、力不足で申し訳なかった。
思いやり予算が、財政の厳しいアメリカにとって大変な魅力であるのは間違いない。アメリカに対して、ただいつも従順に従うばかりではなく、言うべきときにはノーというのが真の友情だ。
イラク戦争のとき、小泉首相(当時)が、自衛隊を派遣したのは、歴史的に誤りだった。しかし、日本政府はいまなおその間違いを認めていない。
私は鳩山由紀夫を支持するつもりはまったくないのですが、その言っていることはかなりあたっている、正しいと共感しました。
80頁あまりの薄くて読みやすい小冊子です。ぜひ、あなたも手にとってみて下さい。
(2012年9月刊。800円+税)
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