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宇宙で過ごした137日

著者 若田 光一、 出版 朝日新聞出版
 九大出身の若田光一さん(46歳)は、2009年3月15日から7月31日までの137日間、国際宇宙ステーションに滞在しました。そのときの日記が公開された本です。
 宇宙には空気がなく、陽が当たるところは120度、陰に入ると零下150度。大変な温度差がある。
 日本人初の宇宙飛行に成功したのは、1990年にTBSの記者だった秋山豊寛さん。その後、毛利衛さんなど、計6人の日本人宇宙飛行士が宇宙に飛び立っている。
 宇宙ステーションには、今回初めて日本実験棟「きぼう」が付属し、若田さんはそこで実験を始めた。今回の宇宙滞在には、宇宙ラーメンも持ち込まれた。かなりとろみのあるスープで、濃いめの味付けだ。スプーンですくって食べるといいますから、私たちの食べる普通のラーメンとは違うようです。
 電話ボックスくらいの個室に入って寝る。無重力では身体に無理な力が働かないので、寝がえりや寝違えもなく、快適に眠れる。宇宙酔いに悩まされることもなく運動し、食事もしっかり取ることができた。宇宙では体液が上半身に偏るため、とくに滞在初期には鼻詰まりが起きやすい。
 宇宙ステーションに滞在中の飛行中が一日に使える水は3.5リットル。衣類は洗濯できない。宇宙普段着は蛍光灯でも反応する光触媒をつかって消臭力を高める仕掛けだ。
 おしっこ(尿)を飲み水に変える水リサイクル装置が実用化された。出てくる水は、無色透明で蒸留水と言う感じ。これはNASAが150億円もかけて開発した。トイレから出る尿を集めて、加熱したり、ぐるぐる高速で回して遠心力で分離したりして、飲料水に再生する。
 3カ月に一度だけ、プログレス補給船によって新鮮な食べ物が運ばれてくる。若田さんは、新鮮なリンゴを食べることができた。
 日本の「きぼう」は、開発と製造に7600億円かかった。
 長期滞在する飛行士は、1日2時間の運動が作業予定表に組み込まれている。これを毎日欠かさなくても、一ケ月のうちに下半身は最大2.5%も骨密度が下がる。骨折しやすくなるだけでなく、体内のカルシウムの摂取と輩出のバランスが崩れ、骨から溶けだしたカルシウムが尿に混ざって、尿路結石を引き起こすリスクも高まる。
 宇宙ステーション内の写真がふんだんにあって、ビジュアルに宇宙飛行士の活動の分かる楽しい本です。といっても、高所恐怖症に近い私は、宇宙に飛び出す勇気はありません。本を読むだけでガマンしておきます。
 
(2009年11月刊。1300円+税)

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