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明日からは兵士

著者:権春五、出版社:PHP研究所
 お隣の韓国には今なお徴兵制度がある。26ヶ月ものあいだ、青春を犠牲にして、人間を殺人マシーンにするための訓練に慣らされる。上官の命令に盲従し、死を恐れず突撃していく兵士をつくりあげるためには、肉体が頑健であること以上に、自分の頭でモノを考えないことが必要だ。モノを考えない国民が多いのは、支配する側にとっては好都合かもしれない。でも、前途ある青年の柔軟な頭が2年あまりも思考停止させられ、型にはめられてしまうことの国家的なデメリットもまた、測りしれないほど大きいと思う。
 この本は、2年間を無事に生きのびた人の視点から描かれ、プラス思考で貫かれている。『オマエラ、軍隊シッテルカ』(バジリコ)は、もう少し悲惨な側面も描いている。
 ところで、李会昌候補が大統領に当選できなかったのは、家族8人の男性のうち、軍隊に行ったのは、たった1人だけだった。しかも、その1人は6ヶ月の短期兵だったことが暴露されたことが大きかった。韓国では26ヶ月の兵役義務を果たさない者は一人前の男とみなされない。私は、しみじみ、平和な、徴兵制のない日本で生まれ育って良かったと思った。人を殺す訓練を積んでなければ一人前の男だとみなされないなんて、とんでもない。

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