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雑草の成功戦略

著者:稲垣栄洋、出版社:NTT出版
 世の中に変わり者と言われる人は多い。とくに弁護士の世界では変わり者だらけと言って決してオーバーではない。かく言う私も、よく、「あんたは変わっているねー」と言われる。自分では「人格円満な常識人」だと思っているし、依頼者に対して「あなたは、もっと常識を身につけなくてはいけませんよ」とお説教することが多いのに・・・。何がそんなに変わっているのか、自分ではあまり思いあたるところがない。客観的には、それだけ本人に自覚が足りないということなのだろう。(こりゃ、ダメだ)
 ところがこの本を読んで、変わり者こそ世の中の進歩、そして生物の進化をうみ出していることを知って、大いに安心した。自然界では、生物の特性の分布は正規分布することが多い。平均値に近いものが一番多く、平均から離れるに従ってその頻度は少なくなる。ところで、平均値からかけ離れた個体が存在することによって、環境が変わると正規分布が変化していくとき重要な役割を果たすことになる。正規分布の端を切り捨ててしまうと進化は起こらなくなり、環境の変化に対応できない。変わり者こそ、進化にとって重要な役割を果たすのである。
 変わり者の私は、ここで、膝をうって、「そうだ、そうだ」と叫ぶ。この本を読むと、私たちのごく身近に咲いている雑草たちが、厳しい条件のなかで生き抜いていくために、いかに苦労と工夫をしているか、教えられる。たとえばタンポポ。花が咲き終わると、花の茎は地べたに横になる。しかし、種子ができあがると再び茎は立ち上がる。咲いている花をより目立たせるために、咲き終わった花は倒れて身を引くというのだ。なるほど、自然の仕組みは実に偉大だ。

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