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生態学講義

(霧山昴)

著者 中田 兼介 、 出版 羊土社

 生き物を知れば、人間理解も進む。50年以上も弁護士をしていて、人間社会のさまざまなトラブルにぶつかってきました。どうして、そうなんだろう……と、何度も思い悩んだことがあります。そして、いろんな生き物の本を読むと、なあんだ人間って、特殊な生物なんかじゃないんだと気づかされます。

 たとえば、オシドリ夫婦とよく言われますが、鳥では「不倫」はあたり前のことです。そして、チンパンジーは「政治」をします。2位と3位が連合して1位のオスを蹴飛ばしてしまいますが、永続するわけではありません。同じようにやられる危険はいつだってあるのです。

そして、人間は今やAI頼みになりつつありますが、道具を使うのは猿だって同じです。宮崎の幸島のサルは海で芋を洗って食べますし、カラスはすべり台ですべって遊びます。

 それでは、人間はいったい何が他の生物と違うのか、はっきりした境界線は本当にあるのでしょうか……。

西日本のゲンジボタルは、東日本のホタルの倍の速さで光を点滅させる。5月連休明けになると、わが家から歩いて5分の小川にホタルが明滅するのを見ることができます。自然豊かな田舎に住む良さの一つです。

 アメリカ東部のホタルは、密度が少ないときは、てんでバラバラに光っているけれど、15匹以上集まると、全体が同調して周期的に光るようになる。そんな光景を見たいものです。

 ヒトの祖先は、90万年前、1280人に減って絶滅寸前の状態が10万年も続いた。ええっ、そんなこと聞いたことがありません。いったい、どうしてそうなったのでしょうか、そして、どうやって危惧を脱出できたというのでしょうか……。ぜひ知りたいです。

 すぐ目先に役に立たないことでも、いつかはきっと役に立つことがある。世の中って、そういうものでしょ。目先の原発振興金に目がくらんで、放射線廃棄場処理施設を誘致するなんて、無責任きわまりありません。株主配当しか考えないような投資家に足元をすくわれたらいけないのと同じです。

日本人の平均身長は1980年をピークに縮みはじめていて、2014年生まれは、男性で1.5センチ、女性で0.6センチ短くなると予想されている。出生時に低体重だった子どもが増えたのが原因。これも環境の影響。ちなみに、私の身長はかつて167センチだったのが、今や2センチ以上にも縮んで、165センチを切っています。残念です。腹回りだけが成長していますので、今ではこちらの「成長」をくい止めるのに必死です。

 オウムによく似たヨウムは賢い鳥の代表ですが、お互いを助けあう利他的行動をします。前に助けてもらったら、次に自分が助けるほうにまわるというのです。すばらしいです。

 アミノアリには女王アリがいない。だけど、ふつうより大きなアリが、たくさん卵を産むけれど、ほとんど仕事をしない、そんなアリがいるけれど、攻撃されることもなく、協調・共有している。いろんな形態の生き物がいて、「みんな違って、みんないい」という金子みすずの世界なのですね。その意味で、トランプは最悪ですし、そのトランプに迎合するばかりの高市首相には心を許すことができません。

(2025年11月刊。2420円)

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