(霧山昴)
著者 シッダルタ・カラ 、 出版 大和書房
アフリカのコンゴは、コバルトを産出する。コバルトは、充電式リチウムイオン・バッテリーに必須の原材料。コンゴにおけるコバルト鉱業で働く現地の人々は、つるはし・シャベル・鉄筋といった素朴な道具しか持っていない。そして、稼ぎは1日に1ドルとか2ドル。スマートフォン・タブレット・ノートパソコン・電気自動車は、このコバルトなしには動かない。
2021年にコンゴで採掘されたコバルトは11万1750トン。全世界の供給量の72%を占める。コンゴでは、1960年に初代首相のルムンバがCIAによって暗殺されて以後、一度も平和的な権力移譲はない。暴力的なクーデターが繰り返された。
国民の4分の3が貧困ラインを下回る生活をし、平均寿命は60.7歳。小児死亡率は世界11位。清潔な飲料水を利用できる国民は26%のみ。多くの子どもたちが家族を支えるために働かざるをえない。
2021年、中国は世界の精製コバルトの75%を生産した。コンゴにも中国系企業が進出している。どの種類のバッテリーでも原料に占めるリチウムの割合は7%ほどで、コバルトの占める割合は60%。コンゴ人の半数はカトリックで、4分の1はプロテスタント。ここで生まれる子どもには先天性の障害をもって生まれてくるのがきわめて多い。
コンゴ国民は、コンゴの鉱山から利益を受けていない。コンゴで最後に国勢調査があったのは1984年のこと。2009年、カビラ大統領はコンゴ政府と中国企業の合併会社シコマインズと契約を結んだ。
2016年、アメリカの会社は採掘権を中国の企業に26億5000万ドルで売却した。これで、コンゴにはアメリカの採掘企業はなくなり、中国の企業が引き継いだ。2021年、中国の別の企業が1億3750万ドルで採掘権の25%を取得した。質の良いコバルトは地下20~30メートルのところにある。なので、トンネルを掘り進める。
中国の企業は、どこよりも低い額で入札するので落札する。そして、中国から労働者を連れてきて、低賃金で働かせる。中国の企業は、中国政府から資金を受けとっている。トンネルの崩落事故が毎日のように起きている。
中国人は専用のレストランで食事をとる。たとえば中国人シーの給料は月1300ドル。これはトンネルを掘っている労働者の平均賃金の8倍になり、全体的にみると、平均賃金の20倍にもなる。
コンゴ人の子どもたちは、犬のように死んでいく。電子機器に使われるコバルトを産出していながら、現地のコンゴ人は、電気すら来ていない村に暮らしている。スマートフォンなど見たこともない。そして、中国が圧倒的にコバルトを独占している。
そうか、そうなのか…重たい現実があります。
(2025年10月刊。2750円)


