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すごい科学論文

(霧山昴)

著者 池谷 裕二 、 出版 新潮新書

 脳科学者として有名な著者は、実は薬学部出身なのだそうです。この本(新書)は、週刊誌での連載エッセイをまとめたもので、当初は「週刊朝日」(2023年5月に廃刊)、そして今は「週刊新潮」に連載しているとのことです。それはともかくとして、毎日100本から500本もの論文に目を通しているとのこと。すごいです。

 麻酔薬がなぜ効くのか、今もって解明されていない。不思議ですよね。同じく、意識も解明されていないそうです。人間の身体の不思議ということでしょうか…。

オランウータンは、傷つくと、「アカルクニン」という植物の葉をとって食べ、30分ほど丁寧にかみ砕きペースト状にしてから、その患部に塗りこんだ。ふだんは食べない植物の葉で、5日後に傷口は閉じて、1ヶ月後に完治したとのこと。スマトラ島の現地の人々にとってもこのアカルクニンは、薬用植物として利用しているそうです。不思議な話ですよね。

 老化は徐々に進むのではなく、ステップ式に進行する。老化が突如すすむ「加速期」と、それほど老化が進まない「停止期」が交互に訪れる。身体の老化は精神の老化とは異なるもの。

 アルツハイマー病は、遺伝的な要因にはよらない。ガンマ波をあてると、アルツハイマー病の原因物質の蓄積が抑えられ、認知機能が健康なレベルに保たれた。

 タコにもレム睡眠がある。タコは眠ると白っぽい色になるが、1時間に1回ほど、あたかも起きているかのように暗い色に変化する。

メスの老齢シャチは、若いメスのために生殖に必要な食料を確保したり、孫の世話をしたりする。

チンパンジーは50歳以降は出産しないが、それからも生きているのは珍しくない。そして、ホルモン量を調べて閉経を確認した。

ヘビは1億5千万年前にトカゲから分岐し、足を捨て、独自の感覚器や毒腺を発達させた。

カリブ海の島にすむアカゲザルは、もともとは攻撃的な性格で、社会的寛容性は低い。しかし、台風によって島の植物(森林)が破滅的被害を受けたとき、攻撃性は低下した。そして、社会的寛容性をもつ個体ほど生存率が高まった。

 世界で最大の生物は、アメリカのオレゴン州に生息するオニナラタケというキノコ。直径3キロメートルもの広さがある。このオ二ナラタケの寿命は、なんと数千年。そんなキノコがいるんですね。驚きます。

 人は、睡眠中に話しかけられると、きちんと聞いて、指示通りに正しく表情をつくる(この確率は80%)。眠っていても、意識はあるわけですね…。自覚していないだけなんですね。

名前をつけられたウシは牛乳の出がよいというデータがある。不思議です。でも、名前をつけるということは、それだけ飼主が愛情をもってウシと接し、育てることにもつながるということからだと解説されています。なーるほど、です。

 ミトコンドリア・イブは存在しない。人類は、ある特定の女性ではなく、現在では絶滅した多様なヒト種がいくつも混じりあって出来たもの。なるほど、そうなんだと素人の私も思います。

 ネアンデルタール人の遺伝子が混じっている純血種は、アフリカ系黒人、つまり白人のほうが混血なのです。

心を通わせる会話のコツは表情をマネすること。

私の知らなかった話、意外な話が盛りだくさんの本でした。

(2025年6月刊。960円+税)

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