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ユダヤ人の歴史

鶴見太郎(中公新書)

驚くほど読みやすく、さくさくと一気に読了してしまいました。ユダヤ教とキリスト教の違いの一つがメシヤ(救世主)の扱い。ユダヤ教では、メシヤは今日まで出現していないし、いつ現れるのかは不明のまま。ところが、キリスト教では、メシヤはイエスなのです。

そもそも、メシヤをギリシャ語では「クリストス」と呼び、キリストは日本語慣用表現。イエス・キリストというのは、イエスがメシアであるという信仰をあらわしたもの。しかし、ユダヤ教では、イエスをメシアと認めません。

キリスト教では新約聖書を主たる聖典とするけれど、旧約聖書も聖典の一つとしている。それは、ゼロからキリスト教が生まれたのではなく、神との旧契約が更新された先にキリスト教があるとするから。ユダヤ教のラビはカトリックの司祭のような聖職者ではない。ラビは、いってみれば法曹。ラビは聖者やミシャナー、タルムードに精通している。ラビは法的助言や判断を行う。ユダヤ人なら勉強して認定されたら誰でもラビになれる。世襲されることの無い祭司とは違う。ラビは徹底に議論して、多数決で決定する。

ユダヤ教徒に知識人が多いのは、そもそも教育を重視しているから。教育には、時間とお金がかかる。シナゴーグでは、ユダヤ教の律法を信徒の前で朗読する議会がある。自分の息子がそれをうまくこなすのを見る(同胞に見せつける)ためなら、教育コストは惜しくないのだ。ユダヤ教は、イスラム教と類似(共通)するところが多々あるということも初めて自覚しました。

ユダヤ教で、ラビ(律法学者)がもっとも偉いように、イスラム教でもウラマ(イスラム法学者)がもっとも偉いとされている。ウラマーはラビと同じく聖職者ではない。宗教施設についても、シナゴーグもモスクも、偶像禁止が徹底している。人間の姿やそれを想起させる絵や詩は、一切見られない。

ユダヤ教は権力者と癒着していた。これは、ユダヤ人が庶民から得た儲けを税金として吸い上げる。なので、協力者にとって、ユダヤ共同体は守るべき財産(権益)なのだ。

ユダヤ人を金づるとして利用する権力者、それを腐敗ととらえる庶民のあいだにユダヤ人がはさまれた。

女性の相続に関して、イスラム法のほうが女性に有利。

ユダヤ人の言語である「イディッシュ」とは、ユダヤのこと。

「人種」という概念は、あまりに杜撰なものなので、今ではほとんど使用されない。かのヒトラー・ナチスは精神障害者の人たちを送別して死に至らせました。その愚を再び犯さないようにしましょう。

ユダヤ人は、ヒトラー・ナチスによるホロコーストで600万人が死亡した。このころ、世界にユダヤ人は1700万人いた(1939年)ので、その3分の1が死亡したのです。アメリカには、450万人いました(同)。

ユダヤ人といえば、アインシュタインが有名ですが、ウクライナのゼレンスキーもユダヤ人です。

アメリカの連邦最高裁の判事にルイス・ギンズバーグがいましたが、今もエレナ・ケイガンという女性の判事がいるそうです。

それにしても、イスラエルのネタニヤフ首相のガザ侵攻はひどいですよね。もう2年になりますし、6万人以上が殺害されているなんて、許せません。自らの汚職事件を先送りするためにガザ作戦をネタニヤフは利用しているとも言われています。そうであるなら、ますます許せません。

宗教を含めて、平和共存できる世界をお互い、目ざしていきたいものです。1月に刊行されて、11月に15版というのはすごい売れ行きです…。

025年11月刊。1080円+税)

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