(霧山昴)
著者 横山 勲 、 出版 集英社新書
この新書のオビには、「コンサル栄えて国滅ぶ」とあります。まさしくコンサルタント会社は口ひとつで企業や自治体を手玉にとって、濡れ手に泡のボロもうけをしている気がしてなりません。この本では、コンサルタント会社が地方の弱小自治体に寄付をして取り入って、自分の思うままにプランニングして地方自治体から多額の公金(もちろん税金です)を巻き上げていることが暴かれています。それは驚きの手法です。
福島県国見町(人口8000人)が12台もの高規格救急車を購入するという。しかも、それは町外でのリース事業に使うので、町民の役には立たない。1台4000万円もする救急車で、総額4億3200万円だ。それを、随意契約で納税した企業が引き受け納車する。本当は、そんなに高額のものではないのではないか。いわば水増ししている疑いもあった。
河北新報の記者が果敢に取材していって、ついに小さな自治体を狙い撃ちにして公金を吸い上げる「過疎ビジネス」の実態を明らかにし、河北新報で大々的キャンペーンを張ったのです。
資金を浄化させ、超絶いいマネーロンダリングをしている。町に寄付して資金を持たせて運用でもうける。
企業版ふるさと納税としての寄付なので、4億円のうち3億6000万円は還付される。4億円を出して4000万円の利益が出てもうかる。そのうえ、コンサル会社は事業主体としてコンサル料が得られる。完成した救急車はリース事業に使われるから、運用でさらに利益が出る。
国見町の場合、救急車リース事業の仕様書を作成する段階からコンサル会社が実務に関与し、確実に事業を受注できるようにつくりあげておく。
財政力指数が0.5以下の自治体が狙われる。
メールのなかで、複数の職員が受信し、組織的に対応しなければならない業務上の情報であれば、それはれっきとした行政文書だ。もはや個人的なメモとは言えない。
甘い話を簡単に信用してはいけない。というのは昔からの鉄則なんですけどね…。
(2025年11月刊。1100円)


