(霧山昴)
著者 鈴木 美香子 、 出版 人文書院
身近な人がどこかに旅行したら、行った先の土地の菓子土産を買ってきて、職場の仲間に配るって、日本的な風習であって、諸外国どこでもやっているのではないそうですね。しかも、日本でも実は1970年代ころに始まったもので、古くからあるのではないんだそうです。
今なら、福岡でいうとヒヨコとか「博多とおりもん」、東京は「ばな奈」、三重の「赤福」、京都の「八ッ橋」、広島の「もみじ万十」、札幌の「白い恋人」とか、すぐにいくつもあげられますよね。
私も実用新案侵害事件として「〇〇慕情」「〇〇旅情」という地元のお菓子の名称をめぐる紛争を扱ったことがあります。そのとき、中味のお菓子はある大手メーカーが一手に製造していて、全国に包装紙だけ変えて送り出していることを知りました。なあんだ、そうだったのか…と苦笑してしまいました。
お菓子じゃない、その土地のネーム入りの記念品も、実は「メイド・イン・香港」だったりすることがありますよね。
お菓子が個包装されたことで、土産品の菓子を配りやすくなった。これは、「グリコ森永事件が起きて、毒物混入を避けるための安全策から。知りませんでした…。
私はメールを極力つかわないようにしていますので、旅先では絵ハガキを何セットか買い求め、ちょっとしたお礼のときに活用しています。素敵な絵ハガキが来ると、しばししげしげと眺めて、ときを忘れます。
羊かんは、佐賀の小城(おぎ)羊かんが好みですが、岐阜には「柿ようかん」があり、青森には「リンゴようかん」があります。静岡の「桃ようかん」なるものはまだ食べたことがありません。
伊勢の「赤福もち」は、一度、事件になりましたね。今は、もち直したようです。岡山は、「きびだんご」ですね。これは1960年代に始まり、山陽新幹線が岡山まで延伸した1972年以降に急成長したとのこと。名古屋は「ういろう」ですね。これも、1970年ころから、テレビCMで広まったとのこと。
私にとって、「ヒヨコ」は福岡土産なんですが、東京にも「ひよ子」があり、東京土産として、定着しているそうです。同じ会社なんですよね。
これらの菓子を製造しているのは、マスダックという東京の会社。
大阪・夢洲(ゆめしま)での関西万博は大失敗すると思いましたが、大勢の日本人が押しかけたのは事実のようですね。日本人は、昔から本当に旅行好きの民族なんですね。江戸時代の伊勢参りもすごかったようです。
といっても、イスラム教徒のメッカ参拝もすごい人出ですね。旅行好きは日本人だけではないようです。まあ、土産品って、もらったら、うれしいものではあります。包装紙を眺めるのも楽しいですし…。
(2025年7月刊。2400円+税)


