(霧山昴)
著者 赤根 智子 、 出版 文春新書
いやあ、偉いですね。日本の検察官をすっかり見直しました。国際刑事裁判所がロシアのプーチン大統領、そしてイスラエルのネタニヤフ首相の逮捕状を発付したことは知っていましたが、その裁判所の所長は日本人なのです。その所長をつとめている著者が苦労話を打ち明けている本(新書)です。ぜひ、広く日本の司法界で読まれるべきだと思いました。
写真で見ると、弱々しそうな印象というと叱られそうですが、決して威丈高ではなく、淳々と道理を解き明かすタイプのように見えます。本人は、とても粘り強いとのことですから、その通りなのだと思います。
そして、ロシアは逆に著者を指名手配したとのこと。ひどいものです。なるほど、プーチンのしそうなことです。ウクライナから子どもたちを連れ去ったのは戦争犯罪にあたると著者は裁判官として証拠にもとづいて判断したのです。
このロシアによる指名手配のニュースのおかげで、著者がICCの所長であることが日本にも広く知れ渡りました。私も、その一人です。
著者がICCの所長に就任したのは、2024年3月のこと。著者は、日本の検察官を長く務め、法務総合研究所、そして国連アジア極東犯罪防止研究所の所長も歴任している。
ICCは、戦争犯罪や人道に対する犯罪を行った個人をローマ規程という国際条約にもとづいて訴追し、処罰する裁判所(2002年に設立)。オランダのハーグに本部がある。日本は2007年に加入しているが、アメリカもロシアも、また中国も加入していない。トランプ大統領は、ICCに対して敵対的な姿勢を示している。
ICCの発付した逮捕状によって、フィリピンの前大統領ドルテルテを逮捕した。
著者の任期は2027年3月まで。それまで全力で奮闘するとのこと。ぜひとも、みんなで応援したいものです。
ICCに似ているものに、国際司法裁判所(ICJ)がある。
このICJは国連の機関であり、国家間の紛争を扱う。このICJの所長も本年(2025年)3月、日本人の岩澤雄司が務めている。すごいですよね、ICCもICJも、どちらも日本人の所長だなんて…。いつもアメリカべったりで主体性がないとみられている日本ですが、意外に真面目さと粘り強さが評価されているようです。
著者は、戦争犯罪、侵略犯罪という、中核犯罪全般に対する処罰規定を日本も規定すべきだと提起しています。なるほど、きっとそうなんでしょうね。また、ジェノサイド条約に日本は早く加わるべきだとも提案しています。アメリカもロシアも中国も加入しているのに、日本が加入していないと知ると、恥ずかしくなります。
そして、最後に、今ICCは有続の危機にあるので、ぜひ日本は全力でICCを守ることを訴えています。大賛成です。日本のやるべき国際貢献の一つですよね。
読んで元気の出る新書でした。ご一読を強くおすすめします。
(2025年6月刊。950円+税)
白内障の手術を受けました。白いもやもやがかかっていて、どうしようもなかったのです。手術は痛くないし、20分で終わるということでしたが、ドキドキして手術室に入りました。目は開いたままで、全身麻酔でもないので、意識は清明ですから、メスが入るのが見えるのではないかと心配していました。
すると、麻酔の目薬を注入されるので、視界はぼんやりして、まばゆい小さな光がゆらゆらしているのが見えるだけで、メスなんか見えません。痛くないと聞いていましたが、ときどチクッとした痛みはあり、MRI検査のときのような音、ゴオーっという音が聞こえてくるのです。ええっ、痛みはあるじゃないの、と思わず内心つぶやいてしまいました。
眼球の中のレンズをこわして破片を吸い出し、そこに新しいレンズを入れる手術です。
たしかに20分ほどで終わりました。その日は、眼帯をして帰宅し、翌朝一番に診てもらいました。目にゴロゴロと違和感があると症状を訴えました。医師からは、目に傷つけましたので、それくらいは感じますが、いずれ消失しますと言われました。


