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魚と人の知恵比べ

(霧山昴)
著者 マーク・カーランスキー 、 出版 築地書館
 魚釣り、とりわけフライフィッシングの世界を奥底までのぞき込んでいる本です。
 フライフィッシングといえば、すぐにアメリカ映画『リバー・ランズ・スルーイット』を思い出します。見事な竿さばきが展開するシーン(情景)は今も鮮明な記憶として脳裏に残っています。
 フライフィッシングには、破ってはならないルールが2つだけある。その一つは、水中で転んではいけない。その二は、フライをできるだけ長く水中に保たなければならないこと。
 川に棲むマスは、水温が20度をこえると、エサをとることも繁殖することもなく、死んでしまう。温度の高い水には含まれる酸素が足りないからだ。
 フライフィッシングは、もともとサケ科の魚を釣るために考え出された。サケ科は頭が良くて狡猾で、強く、運動能力が高く、頑固な生き物だ。人間は簡単には釣れない。
海水魚は昆虫を食べない。マス用と海用のフライには、小魚やエビに似せられていることが多い。
竿は弓なりにたわみ、生まれて初めて、至上の喜びともいえる魚の「引き」を感じる。釣り人の素質がある者なら、引きの喜びを一度味わったら、決して忘れられない。それは、筋肉に刻み込まれ、繰り返し繰り返し、感じたくなる。
 釣り人の目的は、魚が疲れきるまで遊ばせること。そうして初めて魚を取り込むことができる。そのような状態にある魚は、血中の乳酸濃度が高まる。濃度が高まりすぎると、魚は死ぬ。
 魚釣りの楽しさを、私は父から教わりました。父の運転するオートバイのうしろに乗って父にしがみついて、弁当をもって菊池川の上流に足をのばしました。それほど釣れたという記憶はありませんが、清流に向かっていい気分でした。私自身は大川あたりの筑後平野のクリークでの鮒(フナ)づりです。浮きがすーっと沈んでいくのに当たると心が踊りましたね…。
 フライフィッシングは残念なことにしたことがありません。それにしても、フライフィッシングだけで290頁もの紹介本です。これもすごい世の中ですよね。
(2023年5月刊。2700円+税)

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