(霧山昴)
著者 伊藤 隆 、 出版 鳥影社
小鳥たちの見事な写真集です。信州・諏訪地域、霧ヶ峰高原、八ヶ岳山麗そして諏訪湖周辺で野鳥を撮っています。すごい執念です。霧ヶ峰高原は、著者宅から車で20分ほど。野鳥撮影のため、年に40~50回は足を運ぶとのこと。まさしく、ホームグラウンドですね。
それでも野鳥撮影を始めて、まだ15年とのこと。本職は公認心理士で、スクールカウンセラーや心理カウンセラーの仕事に従事しています。
脚立のついた超大型のカメラを抱えた著者の写真もあります。早朝や休日を利用しての野鳥撮影です。それこそ好きでなければ絶対にやれないことですよね。
カメラは一眼レフからミラーレスへと大きな転換点を迎えているとのこと。私もフィルムカメラのときはペンタックスを海外旅行先にまで持参し、フィルムを30個以上もスーツケースに入れていました。帰路は現象していないフィルムがX線検査で露出させられないか心配して、特別の袋に入れて日本へ持ち帰っていました。
派手な冠羽と大きなくちばしが印象的なヤマセミは実に生き生きしています。
白一色の冬景色の中に浮かび上がるピンク色のオオマシコは派手というより躍動感にあふれています。
もっと原色の赤に近い身体の色をしているのが、文字どおりアカショウビン。3時間も待ってとらえた貴重な写真が紹介されています。
鮮やかなブルーの尾羽が特徴的なカワセミは、私の自宅近くの小川に見かけることもあります。
わが家の庭に来てくれるのはメジロ、そしてジョウビタキです。秋から冬にかけて、私が庭仕事をしていると、ジョウビタキがほんの1メートル先の小枝に止まって、私を見つめ、「何してんの?」と声をかけてくれます。独特の鳴き声で存在を知らせてくれるのです。人間のやってることにすごく関心があるようなんです。その愛らしい仕草に心が惹かれます。
こんな立派な野鳥の写真集(130頁)なのに、1800円という安さです。思わず頭が下がりました。
(2023年3月刊。1800円+税)
ここにいます
