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菌の声を聴け

(霧山昴)
著者 渡辺 格・麻里子 、 出版 ミシマ社
鳥取県の山奥に智頭(ちづ)町があり、そこで「タルマーリー」という店を経営している夫婦の苦闘が語られています。店は保育園を改造した建物で、パンとビールをつくっています。森に囲まれたカラフルな建物で、いかにも楽しそうです。とても美味しそうなパンの写真が載っています。近ければ行ってみたい店です。
パンもビールも、菌による発酵でできる発酵食品。著者は、31歳から東京と横浜の4つのパン屋で4年半修行した。
「タルマーリー」のパンづくりはとても非効率的だし、一つひとつの判断基準もあいまいで、失敗は日常茶飯事。「タルマーリー」では、週に5日、パンを焼く。その5日分のパン生地は月曜日に、すべてまとめてミキシングして作り、焼く日ごとに生地を取り分けて、冷蔵庫に寝かしておく。焼く前日に冷蔵庫から取り出し、ホイロで発酵させて焼く。ビール酵母をつかうと、以前よりも柔らかく、食べやすいパンができた。ビールのおかげで、圧倒的に楽になった。
パンづくりで、とくに気をつかうのが酵母の調整。パン屋は毎日、この緊張感ある作業をしないといけないので、とても疲れる。伝統的なパンの製法は、手間暇かかるし、重労働だ。なので、いつも疲れている。
「タルマーリー」では、グルテンが多くない岡山産と九州産の小麦だけでパンをつくっている。グルテンが多いとパンは膨らみやすいが、歯ごたえが強くなる。グルテンの弱い小麦をつかうことで、結果的に「さくっと歯切れのよいパン」という評価を得た。
種まき小麦、そしてひきたての小麦粉をつかう。
「タルマーリー」って何だろうな…、と思っていると、この夫婦が「イタル」と「マリコ」だということに気がつきました。なーんだ、自分の名前をつけているんだなと納得しました。
ともかく、自分の思うどおりに自分の人生を生きていこう、そして、子どもたちには大自然の恵み触れさせようという意欲的な生き方に溢れています。なかなか出来ることではありませんよね…。
(2021年5月刊。税込1980円)

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