法律相談センター検索 弁護士検索

歩みを止めるな!

(霧山昴)
著者 吉田 正仁 、 出版 産業編集センター
1981年に鳥取県で生まれた日本人の若者が、28歳のとき、世界をリヤカーとともに徒歩で地球一周の旅に出た記録です。
リヤカー徒歩の旅で巡った国は60ヶ国。よくぞ無事に日本へ帰り着くことができたものです。もちろん強盗にあったこともあります(南アフリカで一度だけ)が、生命だけはとられず、旅を続けました。そして、病気とケガ。お腹をこわしたことは何回もあったようですが、それでも重症・入院とまではならず、なんとか旅を続けています。
旅先のあちこちで、人の親切を受けています。それを知ると、人間って、悪い人ばっかりじゃないんだねと、性善説を信じたくなります
リヤカーをひいて歩くと、1時間に進めるのは、わずか5キロ。
2009年の正月に中国の上海を出発したときは、歩きはじめて9日目で腱鞘炎。カザフスタンの無人地帯で遭難。ウクライナで荷物を盗まれ、極寒のブルガリアでは、凍傷で入院。コソボではスパイ容疑で警察に拘留。いやはや、なんという多難な旅でしょうか…。
自らの意思で歩き続けた著者は、やめたいとは一度も思わなかったとのこと。意思が強いのですね…。
重量200キロのリヤカーは、折り畳み式で、耐荷重が170キロ。組み立てるには工具不要で5分もかからない。静岡県牧之原市にあるナガノ製。
著者の話せるコトバは英語。でも南米では英語が通じない。さあ、どうする…。便りはボディ・ランゲージのみ。なんという度胸でしょうか。
世界中に、日本人宿があるそうです。宿の経営者も宿泊客もすべて日本人という宿です。信じられません…。本棚には、数百冊の日本の本が並んでいるのです。チリにあるのは、「汐見荘」。
ペルーにある、サイクリングで旅する人向けの宿の国籍ランキングの一位は、フランス。そしてドイツ、アメリカと続く。日本人は15番目。日本人も意外に健闘しているんですね…。
著者はスマホなしの旅行が基本です。スマホに頼ると、不安や緊張がなくなり、感受性を失ってしまう。旅の途上でテントを設営するとき、人目につかないところが鉄則。やはり、怖いのは人間なのですよね…。そんな場所が見つからないときには、人家の庭など、逆に確実に人目につく場所にテントを張らせてもらう。中途半端な場所が一番よくない。ただし、怖いのは人だけではない。ゾウやクマも怖い。
徒歩の旅で必要なものは、テント、寝袋、調理用ストーブ、食器類、雨具に衣類。カメラも。リヤカーなら、タイヤと工具。靴は、著者は21足を履きつぶした。
27歳から歩きはじめて10年間、37歳になっていた。7万7500キロを歩き通した。いやあ、言葉になりません。すごすぎますね…。この10年間、どこかに定住しようとは思わなかったのでしょうか。すごい女性にめぐりあって、子どもともうけて家庭をもつ…、なんてことを考えなかったとしたら、これまた私には理解できません。
お金はどうしたの、インターネット(パソコン)は…、いくつも疑問が湧いてきました。それはともかく、お疲れさまでした。
(2021年5月刊。税込1320円)

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.

タイトルとURLをコピーしました