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これからの男の子たちへ

(霧山昴)
著者 太田 啓子 、 出版 大月書店
小学6年生と3年生の2人の息子の子育て真最中の女性弁護士が男の子の育て方について体験をふまえて問題提起しています。
なるほど、なるほど、そうなんだよな…と私も反省させられるところが多々ありました。
子育てするなかで、人間というのは、ごく幼いうちから社会の中で生きる「社会的存在」なのだとつくづく感じさせられた。
「カンチョー」は性的虐待だ。スカートめくりは激減した。なるほど、これまた、そうなんですよね…。
男性学なるものがあることを初めて知りました。
男性学とは、充実した仁政を送っているとはとても言えない、さまざまな問題をかかえている悩める男たちが、より豊かな人生を送るために生み出された、男性の生き方を探るための研究。うむむ、私も改めて勉強しなくては…。
アルコール依存症患者の9割は男性。アルコール依存症は否認の病。自分にお酒の問題があることをなかなか認めない。「助けてほしい」「気持ち分かってほしい」と、自分の弱さや悩みを言葉にして周囲に援助を求めればいいのに、しらふでは「男らしさのとらわれ」から出来ず、飲酒によって子どものように退行することで周囲にケアさせる行動がみられる。
インセルという言葉も初めて知りました。自分で望んだわけでもないのに、女性と性的関係をもてない男性のこと。
「女嫌いの女体(にょたい)好き」という表現もあるそうです。女性を蔑視しながら、女性との性的関係に固執する男たちのことです。女性を泥酔させてレイプする性犯罪を繰り返していた集団に属する男たちがそうです。女性と仲良くなって同意のうえでセックスするのではなく、女性の意思を無視して、いかに数多くの女性とセックスしたかを競い、自慢しあうという男たちです。私なんか、そんな話を聞くだけでも嫌になります。
痴漢被害者に気がつかない、気がついても助けようとしない大人たちがいかに多いか…。ここは私も大いに反省させられました。いえ、目撃したということはないのです。ただ、目撃したり、助けを求める叫びを聞いても、それに応えて行動できるか心もとない、自信がないということです。やはり、勇気がいります。
「ひるまない」ことの大切さが強調されています。すぐに行動しなければいけないっていうことも多いわけなんですよね。むずかしいことですが…。
この本で著者は3人と対談して、さらに問題点を掘り下げていて、これまた視点が広がり、大変勉強になりました。5歳と2歳の2人の男の子(孫です)と格闘中の娘にもぜひ読んでもらいましょう。増刷が相次ぎ、早くも5刷です。これは、すごーい。この分野に世間の関心が集まるのは、とてもいいことだと思います。
(2020年11月刊。1600円+税)

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