(霧山昴)
著者 エミール・ゾラ 、 出版 岩波文庫
岩波文庫でフランス文学の古典が出たので、読んでみました。
大学生以来フランス語を勉強しているわけですので、50年近くにもなることからフランス文学を原典で読めたら、どんなにいいことでしょう・・。
でも、現実は原典を読むどころか、覚束ない会話力がサビてしまわないように維持するのがやっとなのです。トホホ…。
この文庫本はゾラの短編集です。ゾラというと、「ジェルミナール」などの長編小説を思い出しますよね。
普仏戦争(プロシア=ドイツとフランスの戦争)の現実を批判的な立場から描いた「水車小屋攻撃」など、読ませます。
訳者の解説によると、ゾラの作品は戦争一般の残酷さと愚劣さを、のどかな田園風景のなかで展開する牧歌的な恋と対比することによって浮き彫りにしようとしている。
戦争というものは、勝とうが負けようが、平和な市民生活を破壊するものでしかない。このことを、じっくり味わうことができる。かのアベ首相に読ませたいものです。
フランス全体が愛国的な、好戦的な雰囲気に包まれるなかで、ゾラは反戦を訴える勇気を示した。
今の日本にもなんとなくそんな雰囲気がありますよね。それを根本であおっているのがアベ首相を先頭とする自民・公明の与党です。口先では「平和を守るために必要だ」なんて聞こえのいいことを言って、日本の青年を平気で死地に追いやる安保法制法を「成立」させた責任は重大です。
ゾラの小説を読みながら、今年も、安保法制法の廃止を目ざしてがんばる決意を固めました。
(2015年10月刊。860円+税)
水車小屋攻撃
ヨーロッパ

