(霧山昴)
著者 官澤 里美 、 出版 第一法規
著者は男性弁護士です。名前から女性と間違われそうですが、中年の男性弁護士です。
幼いころの顔写真が本書に紹介されていますが、いまや立派な壮年弁護士です。
私より一まわり若い、現役バリバリの弁護士でもあります。
著書第二弾は、弁護士倫理について、実践的に解説していて、とても役に立つ内容となっています。私自身も綱紀委員会での議論に参加するようになり、弁護士倫理を実践的に勉強していますので、初心を学ぶうえでも勉強になりました。
「ちょっと一言」コラムによる解説があり、また、「イソ弁」が悩むような状況での対話もあって、とても身近に考えさせられる仕組みの本になっています。
著者は、農家として12代目ということなのですが、本当でしょうか・・・。日本人のルーツは単純な「百姓」だと、12代もさかのぼることは不可能だと思うのですが・・・。
会社の社長が死に際に、長年の不倫を告白したという話が紹介されています。墓場までもっていってほしい秘密もあるのですよね・・・。
相談を受ける前に「利益相反チェック」がますます必要になっています。そのためには、住所そして氏名をフルネームで言ってもらう必要もあります。案外、それに抵抗する人もいるので困りますが・・・。
事件解決の依頼を受ける前に難しいのは、見通しについて何と言うか、です。
甘い見通しを言うのは禁物。それは悪い結果が出たときに責められることになる。しかし、厳しすぎる見通しを言うのも考えもの。あまりに厳しく言うと、それなら、もうやめておこうということになりがちです。そうすると、もらえるはずの着手金・報酬もいただけません。
弁護士生活30年以上、そして弁護士倫理を10年以上、ロースクールで教えてきた体験に基づいた本ですので、大変わかりやすく、しかも実践的な本です。
若手弁護士には、ぜひとも読んでほしいと思います。
(2015年4月刊。2500円+税)
弁護士倫理の勘所
