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「どぜう屋・助七」

著者  河治 和香 、 出版  実業之日本社
 浅草駒形にある「駒形どぜう」6代を小説にした、江戸情緒を心ゆくまで堪能できる小説です。
 私にとってドジョウって、なんだか泥臭い味のようで、食べてみようと思ったことはありませんでした。でも。この本を読んで、一度、1日600人の客が来るというこの店に足を運んでドジョウを食べてみたくなりました。
 なにしろ、210年の歴史をもつドジョウの店なのですから・・・。
 有名な作家である獅子文六が昭和36年に、東京の好きな店として、駒形のどぜう屋と神田のヤブをあげています。神田のヤブのほうはいって食べたことがあります。たくさんの人でにぎわっていました。
 「駒形どぜう」のほうは、はじまりは、もう江戸時代も幕末のころのことです。
 人々が助けあって生きていました。しかし、次第に殺伐な社会風潮になっていきます。ペルリの黒船が来て、新選組が京都に出来て、剣道を教える道場が大流行していました。
 こんな世相の移り変わりを、小説のなかに時代背景としてよく取り込んでいます。
 今でも「駒形どぜう」で出す酒は、伏見・北川本家の「ふり袖」、そして、「どぜう汁」の味噌は「ちくま味噌」である。
 本当に、おいしそうな店です。しっかり江戸気分に浸ってしまいました。
(2013年12月刊。1600円+税)

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