著者 ショーペンハウアー 、 出版 光文社文庫
多読が病みつきになっている私には耳の痛い指摘のオンパレードの本です。でもでも、多読しているからこそ、こんな良書にも出会えたというわけです。
著者はデカンショ節で有名な人物です。えっ、デカンショ節を知らないというのですか・・・。驚きました。痛み入ります。ほら、あの、デカンショ、つまり、デカルト・カント・ショウペンハウアーという哲学者三人の本を読んでいた戦前の高校生(今の大学生)たちの決めゼリフのことですよ・・・。
本を読むとは、自分の頭ではなく、他人の頭で考えることだ。たえず本を読んでいると、他人の考えがどんどん流れ込んでくる。
多読に走ると、精神のしなやかさが奪われる。
自分の考えをもちたくなければ、絶対確実な方法は、1分でも空き時間ができたら、すぐさま本を手にとることだ。
まさしく、私は1分でも空き時間ができたら、すぐに本を手にします。そのための本をカバンに常にしのばせているのです。
あれこれ書き散らすと、ことごとく失敗するはめになる。学者、物知りとは物書きを読破した人のこと。
本から読みとった他人の考えは、他人様(ひとさま)の食べのこし、見知らぬ客人の脱ぎ捨てた古着のようなものだ。本から読みとった他人の考えは、化石に痕をとどめる太古の植物のようなものだ。
人生を読書についやし。本から知識をくみとった人は、たくさんの旅行案内書をながめて、その土地に詳しくなった人のようなものだ。
ええーっ、そ、そうなんでしょうか。くやしいですよね。こんなに読書人がさげすまされるなんて・・・。
読書は、自分で考えることの代わりであり、精神に材料を提供する。
多読によって走るべきではない。少なくとも、読書のために、現実世界から目をそらすことがあってはならない。
この点は、私も同じです。絶えず現実世界に身を置いて考え、実践しています。
誰だって、判断するより、むしろ信じたい。
これが人間の本性なんですよね・・・。
どんなにすばらしい考えも、書きとめておかないと、忘れてしまい、取り返しがつかなくなる危険がある。だから、私は、すぐ身近にメモ用紙を置いています。車中にもメモとペンを置いていて、信号停止のあいだに素早くメモする要にしています。車中でひらめくことは多いのです。メモ用紙に最適なのは、カレンダーの裏紙です。いつも前月のカレンダーをはぎとると、カッターナイフを使ってメモ用紙にしています。その固さがメモするのにちょうどいいのです。
良書を読むための条件は悪書を読まないことだ。なにしろ人生は短く、時間とエネルギーには限りがあるのだから、悪書は知性を毒し、精神をそこなう。
反省させられながらも、本を読み続けます。今年は今までに430冊を読みました。
(2013年5月刊。743円+税)
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