著者 ジェフリー・アーチャー 、 出版 新潮文庫
イギリス人の著者が20世紀前半のアメリカ社会の断面を見事に小説化して描いています。驚嘆しながら、手に汗を握る思いで、上下2冊の文庫本を息を呑みつつ、頁をめくるのももどかしい思いで読みすすめていきました。たいした筆力です。
なにしろ、ポーランド社会から始まり、収容所の厳しい生活、アメリカへの移民、アメリカの銀行とホテル業界の内幕、これらがこと細かく描写されていくのです。その迫力にはただただ圧倒されてしまいます。
そのうえで、若い男女の物語が変貌を遂げ、新たな恋愛物語に変転しながら結実していくのです。そのスケールの大きさには息を呑まざるをえません。
歴史をよく調べ、経済構造を頭にたたきこみつつ、やはりストーリー展開の素晴らしさです。
気分転換にはもってこいの一冊です。旅行のおともにいかがでしょうか・・・。
(2008年8月刊。705円+税)
ケインとアベル
アメリカ

