著者 リチャード・クラーク、ロバート・ネイク 、 出版 徳間書店
サイバー兵士が、損害や混乱をもたらす目的で、国家が別の国家のコンピューターもしくはコンピューター・ネットワークに侵入する行為が、サイバー戦争である。
著者はアメリカの安全保障、テロ対策国家調整官などを歴任しています。この本を読んで、もっとも怖いと思ったのは、「敵」国家のコンピューター・ネットワークのすべてを破壊してしまったときには、最前線にいる司令官は孤立し、上官との通信ができず、また生き残った後任の存在を知らずに自分ひとりで決断せざるをえなくなり、それは、えてして戦い続けることを選択しがちだということです。
つまり、情報を断たれた第一線の現場司令官は上部の停戦命令を知ることなく、戦争続行指令を出し続けるだろうということです。これは、現代世界では最悪の破局を招きかねません。これって、とても恐ろしいことですよね。
サイバー戦争に関して、5つの教訓がまとめられています。
第一に、サイバー戦争は現実である。第二に、サイバー戦争は光速で展開する。第三に、サイバー戦争は全地球規模で発生する。第四に、サイバー戦争は戦場をとびこえる。第五に、サイバー戦争はすでに始まっている。
ちなみに、北朝鮮の国内には、アメリカと韓国のサイバー戦士が攻撃するような目標がほとんど存在していない。
サイバー戦争は、ある種の優位性をアメリカに与える一方、他のどの国よりも深刻な危機にアメリカを陥れる。
アメリカの情報機関の高官によると、中国はサイバー空間におけるアメリカの最大の脅威ではない。ロシアのほうが絶対に上だ。そして、高度の技能をもつサイバー戦闘部隊は、イスラエルにもフランスにも存在する。
サイバー犯罪者は、インターネット攻撃の経路をとして利用し、標的の情報を入手したあと、標的にダメージを与える。
このように、インターネットにたよる国家は「敵」の国家から、そのシステムをスパイさせるだけでなく、破壊されてしまう危険があるのです。
私のようにインターネットに頼らない生活を送る平凡な市民にとっては何でもありませんが、国家にとっては何でもありませんが、国家にとっては存立の危機につながるものがサイバー攻撃・戦争なのです。
(2011年3月刊。1700円+税)
世界サイバー戦争
