著者 萩尾 望都 、 出版 幻戯書房
私は著者の漫画を全部読んだわけではありませんが、そのいずれにも驚嘆したことを覚えています。『ポーの一族』『11人いる!』『残酷な神が支配する』は読みました。そのストーリーといい、画(絵)といい、その感嘆は言葉になりませんでした。
本書は著者の長年のエッセーを集めたものです。絵だけでなく、文章も秀逸でなかなかのものです。奈良の復興寺で阿修羅像を見て、そのそばのソファーで著者がぐっすり眠ってしまったという話には笑ってしまいました。意外に図太い神経の持ち主のようですね。
著者は17歳のときに漫画家になる決心をしました。それは手塚治虫の『新選組』を読んだときのこと。うひゃ、すごいですね。17歳にして早くも漫画家を志したとは・・・・。早熟なんでしょうね、きっと。
著者の少女時代(もうちょっと年長かな・・・・)、母親との関係は最悪だったと語られて、います。マンガぐらい黙って描かせてよ。不良になっているわけでもないんだし・・・・。
禁じられているマンガを描くなんて、なんて悪い娘でありましょう、申し訳ございません。怒りと罪悪感とをシーソーしていた。うむむ、今では偉大なマンガもかつては大変だったのですね・・・・。
実は、私は著者の母親については、子どものころ、私の家によく来られているので知っているのです。母は女学校時代の仲良しだったようです。それで、著者の最近の顔写真が新聞に紹介されたとき、思わず、お母さんにそっくりじゃん、とうなってしまったのでした。
子どもって、大きくなると親にますます似てくるものなんですよね。著者もその一人なのでした・・・・。ますますのご活躍を期待しています。
(2011年6月刊。1800円+税)
一瞬と永遠と
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