著者 日高 敏隆・海野 和男 、 出版 朝日出版社
チョウの楽しい写真が満載の素敵な本です。
チョウは、はね(翅)の根元ではなく、どうたいに背中と腹をつなぐ筋肉があり、この筋肉が伸びたり縮んだりすると、背中と腹が動く。それにくっついてはねも動くから飛べる。
チョウとガは、ともに鱗翅類という、羽に鱗粉がついた昆虫の仲間である。昼間に飛ぶのがチョウ、夜に活動することにした仲間がガと呼ばれる。
チョウは紫外線を光として感じる。モンシロチョウは、紫外線をふくめた色の違いでオスとメスを見分けている。
人間には紫外線は見えない。というのも、紫外線の作用はとても強く、もし目の奥まで入ってくると、目の奥が日焼けしたようになって、見えなくなってしまう。それでは困るので、紫外線を吸収するレンズのようなものが入っていて、紫外線がそこでとまり、奥まで入ってこないようになっている。モンシロチョウは紫外線が見えるけれど、赤色は見えない。
チョウの飛ぶ道(チョウ道)は一定だが、それは地形によるのではなく、光と温度による。だから、春と夏ではチョウは道は異なる。季節によって、天候によって、一日のうちの時間によって、そして気温によってさまざまに変わる。しかし、個々のチョウによって変わるのではないチョウ道が存在する。だから、チョウ道は確実に予言できる。しかし、チョウ道があるのは、アゲハチョウの仲間だけでモンシロチョウにはチョウ道はない。
チョウは花を見るとき、姿、形、大きさによって判断していない。モンシロチョウは、赤、黒、緑には寄ってこない。チョウは、すぐ近くからしか見えないから、いつも一生懸命はねをヒラヒラさせて、自分の近くを探している。
こんな見事なチョウの写真集が1900円で手に入るなんて、申し訳ない気がするほどでした。
(2011年6月刊。1900円+税)
チョウはなぜ飛ぶか
