著者 佐和 みずえ 、 西村書店 出版
1903年(明治36年)、日本人の若い女性が中国大陸に渡り、万里の長城を越えて、モンゴルの王宮に出かけてのでした。
実験にもとづく小説です。日本軍の中国そしてモンゴルへの侵略と支配の先兵となってしまうのではありますが、一人の日本人女性の勇敢な生き方が情感あふれるタッチで描かれています。その意味で、大変読ませます。
そんなように紹介すると、おまえはいつから侵略日本の手先になったのかと、きついお叱りを受けそうです。まあ、そう言わずに、小説として、また、日本人女性の善意ある活躍が政治に翻弄される物語として読んでもいいかなと思います。
それだけ、モンゴル国を取り巻く状況も描かれているということでもあります。
侵略軍としての日本人の嫌やらしさも多少は描かれていますので、戦前の日本を知るきっかけになる本だと思いました。
(2010年2月刊。1500円+税)
草原の風の詩
