著者 藤田 一郎、 出版 飛鳥新社
私の子どものころ、味の素をふりかけると頭が良くなる、身体にいいというのが大流行しました。それまでは耳かき一杯だったのが、サッサという音とともに大量にふりかける、味が良くなるだけでなく、多いほど身体に効果があるということでした。
しかし、この本はそれを二重に否定しています。驚くべきことに、第一に味の素は、そんな広告・宣伝をしていないのというのです。本当でしょうか……。私には信じられませんでした。
第二に、グルタミン酸を外部から脳に取り込むことが脳の情報処理に役立つかと言うと、答えはノーだというのです。これは私にも理解できます。ギャバも青魚(DHA)も、食べた後脳細胞に到達するのは難しいのです。経口摂取しても脳にまでは届かない。
では、今はやりの脳トレはどうか?
簡単な計算問題を速く解いていると、血流量が増加した。しかし、この血流量の増加と脳の機能の工場とは別の話である。なーるほど、ですね。
英語の熟練度が高い人ほど、英語文法の処理に関わる前頭葉領域における活動領域は小さくなる。
ある物事の情報処理を脳がくりかえるうちに、脳のなかに効率的に情報処理する仕組みが生まれ、より少ない神経細胞集団で情報処理をすることができるようになる。
脳トレ・サプリは脳に効果のないことを警告する、脳科学者による100頁にも満たない薄い本ですが、面白くて一気に読みました。
(2009年11月刊。714円+税)
脳ブームの迷信
