著者:高崎宗司、出版社:平凡社
戦後の日本にいた在日朝鮮人60万人のうち9万人以上が北朝鮮へ「帰国」していきました。それを学術的に冷静に分析・検討しようとした本です。なるほどとうなずけるところが多々ありました。
北朝鮮を「地上の楽園」と手放しで礼賛した人物は、オレはそんなことは言っていないとして謝罪を拒んでいるようですが、当時の日本は、それこそ朝日も産経も、要するに右も左も、人道的見地からこの帰国運動をすすめていたということがよく分かりました。
日本政府は、戦後、朝鮮人を厄介払いしたいと考えていました。それは、生活保護を受けている人が多かったこと(8万人をこえ、年間17億円かかっていた)、生活難からの犯罪者が多いこと、共産主義者が多いこと、などからです。
帰国者を受け入れた北朝鮮にとっては、労働能力のない、また病人が多かったということで頭を痛めたようです。受け入れ先も決まらないうちに、毎週1000人もの帰国者が2年間にわたって押し寄せていったとのことです。
日本人妻をふくめて、帰国者のその後の生活状況について、今なおよく伝わってきません。大変に不幸なことだと思います。もちろん、いくつか断片的に、いかに悲惨な状況におかれているかは、本やニュースなどで知らされてはいるのですが・・・。
それにしても、1945年12月に日本共産党が再建されたとき、党員総数180人のうち100人が朝鮮人だったというのには驚いてしまいました。
帰国者のなかには、北朝鮮が期待どおりでなかったら、またすぐ日本に帰るつもりの人々もいたようです。ところが、不幸なことに、そんな自由な往来は許されず、一方通行のみで今日に至っています。残念なことです。鎖国のような今の事態は改められるべきだと私も思います。いかがでしょうか・・・。
帰国運動とは何だったのか
未分類

