著者:山岸常人、出版社:朝日新聞社
瀬高の清水寺には立派な五重の塔があります。奈良の法隆寺の五重塔は8世紀にたてられたものですが、心柱(しんばしら)は地面から塔の頂上まで1本で突き抜けています。ところが、12世紀に建てられた京都府加茂町の浄瑠璃寺の三重塔は1階部分には心柱がありません。
この本には、塔内部の構造が写真とともに図解されていますので、素人なりによく分かります。よくぞ複雑な構造物をコンピューターもない時代に建てたものだと感服します。
10世紀に建てられた京都・山科の醍醐寺の五重塔もまことに優美な姿です。安定した荘重なプロポーションだと紹介されていますが、まったくそのとおりです。見ているだけで、心がなごみ、うたれます。
16世紀に建てられた奈良の根来寺大塔(多宝塔)は、四角い建物のなかに円筒形の建物がはさまれた感じです。はじめて、こんな形の塔があるのを見ました。100年ほどもかけてつくられたというので、私は二度びっくりしてしまいました。日本の建築は、時間をかけてつくるのが本来の姿だったというのです。うーん、そうなのか・・・。そう言えば、知人がたてた1億円の豪邸を見学しに行ったことがあります。そこは一人の大工さんが1年半ほどかけ、材料選びからじっくりコツコツとつくりあげていったという説明でした。そうなんですねー・・・。
会津若松市にあるさざえ堂という建物の奇抜さにも驚かされました。内部に螺旋状の階段があって、上りながら2周すると最上階に至るというのです。
堂塔の構造が部品の名称とともに解説されています。いろんな工夫がなされていることがよく分かります。京都や奈良をゆっくり散策してみたくなりました。ご一緒にいかがですか・・・。
塔と仏堂の旅
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